子犬の飢餓について知っていただきたいこと

子犬の飢餓について知っていただきたいこと

丸々とした子犬は可愛らしいですよね。そんな子犬が正しいやせ細った飢餓状態になっている姿を想像できますか?この記事は、私が動物病院で出会った飢餓状態の子犬について、皆さんに知っていただきたく作成しました。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

なくならない子犬の飢餓

カゴに入った子犬たち

飢餓状態の犬を見たことはありますか?

周りには食べるものがたくさんあって、正しい飼育方法を誰でも知ることができるはずなのに、飢餓状態で動物病院にやってくる子犬たちがいます。

飢餓とは、長期にわたり食料が足りずに低栄養状態となり、衰弱や場合によっては、生命に関わるような状態となってしまうことを言います。

どうして子犬たちは飢餓状態となってしまったのでしょうか。何かの病気でしょうか?

子犬が低栄養状態になってしまうような病気は確かにありますが、身体のどこにも飢餓以外の異常がない子犬もいます。

その子犬たちはただ単純に食事が足りていなくて、飢餓状態になっていたのです。

子犬が飢餓状態になる理由

道路で眠るやせ細った犬

子犬たちの食事は、なぜ足りなかったのでしょうか。

考えられるのはただ一つ、与えられている毎日の食事が足りていないためです。

では、子犬の食事が足りないのはなぜでしょうか。

飼い主さんは子犬を飢えさせたいとは思っていません。

そして多くの場合、初めて子犬を飼うからと、ご飯の量もしっかり量っている方が多いのです。

そのご飯の量はどうやって決めたものかというと、ペットショップやブリーダーから教えてもらった通りに与えているとのことでした。

ペットショップやブリーダーが、子犬を飢餓状態にしたいと思っているはずはありません。

もちろん飼い主さんも、子犬に健康に育ってほしいと思っているはずです。

ですが、子犬の成長が思っていたよりも早かったり、活発で消費カロリーが多かったりすれば、当然食事を増やさなければなりません。

このときに消費カロリー量を見誤ってしまうと、子犬は栄養が足りずに痩せてしまいます。

子犬の時期は、体重測定と、それを踏まえての食事の見直しを、まめに行わなければなりません。

また、あってはならないことだと思いますが、「小さい子犬の方が可愛いから」と、食事を意図的に少なく与えている場合があるようなのです。

ですが、いくら小さくてもガリガリに痩せている子犬を可愛いと思いますか?

毛がフワフワしている犬種は、触ってみないと分からないかも知れませんが、やせ細った子犬の抱き心地は白骨標本のようです。

また、栄養が足りていない子犬は、毛艶が悪く表情も暗いと感じることがあります。

そういった子犬に出会うと、とても悲しい気持ちになります。

犬を初めて飼う方は健康的な子犬の体型が分からず、動物病院で痩せていると指摘されて、初めて食事が足りていないことに気がつきます。

そういった場面をこれまで何度も見てきました。

ある飢餓状態の子犬のお話

首をかしげるトイプードルの子犬

最後に、これまで出会った飢餓状態の子犬の中で、強く記憶に残っている子の話をしたいと思います。

その子は、まだ生後半年ほどのトイプードルの子犬でした。

夜間救急に、ぐったりして動かないと連れてこられたその子犬は、身体も冷たくガリガリに痩せていて、今にも死んでしまいそうでした。

何かの感染症や先天性の病気も疑われましたが、検査の結果飢餓状態であることが疑われました。幸いにも一命をとり止め、長い入院生活となりました。

飢餓状態ならばと、いきなりたくさんご飯を食べさせてしまうと別の問題が発生します。

飢餓状態が長く続いたあと、急に栄養補給を行うと、心不全や呼吸不全、意識障害など様々な症状を起こすことがあり、これをリフィーディング症候群といいます。

触れば骨と皮しかないような子犬に、食べたいだけ食べさせてあげられないもどかしさは、二度と経験したくありません。

この子犬が飢餓状態になった原因は、信じ難いものでした。

この子は飼い主のもとにやってきてから、飢餓になって倒れるまで、初めにペットショップで指示された量の食事しか与えられていなかったのです。

これでは明らかに栄養が足りません。

実際にペットショップからどのような指示があったのかは分かりませんが、本当に驚きました。

時間をかけて、子犬らしい体型と表情を取り戻したトイプードルの子犬は、新たな飼い主さんの所へ引き取られていきました。

退院するころには、スタッフにオヤツをねだるくらいの食いしん坊になっていたので、今頃ぽっちゃり犬になっているかもしれません。

私は、痩せた子犬を見るたびに、この子犬のことを思い出していまうのです。

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ユーザーのコメント

  • 投稿者

    50代以上 女性 匿名

    初めて飼うにしても成長と共に食事量が増えていくのは、全ての生き物に言えることだと思うのに_。
    正直、そんな事も思わないの?考えないの?っと呆れてしまいます。
    飼い方の勉強をして欲しいです。
    初めてだからと言って無知が許される訳ではありません。
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