犬のレントゲン検査の費用
犬のレントゲン医療費は各病院で異なります。地域差もあるようですので、正確な金額を知りたい場合には直接病院へ問い合わせてください。ここでご紹介する金額は、おおよその平均的な金額です。
小型犬~中型犬の平均金額
レントゲン撮影検査1枚につき、1,000~3,000円
大型犬~超大型犬の平均金額
レントゲン撮影検査1枚につき、2,000~5,000円
全犬種の平均金額
レントゲン読影料1回の検査につき、1,500~4,000円
犬が暴れたり、攻撃的になってしまったりする際は、鎮静処置が必要となることがあります。その場合、レントゲン検査費用と鎮静処置費用がかかります。
犬のレントゲン検査の内訳と撮影枚数
犬のレントゲン検査には、撮影検査費や読影料、場合によっては鎮静や麻酔などの費用がかかります。また、レントゲン検査で撮影する枚数は1回に2~5枚程度で角度を変えて撮影されます。
犬の腹部の場合
横になった状態で 左右から1枚ずつ、仰向け1枚をレントゲン撮影して、計3枚。
犬の後ろ足の場合
症状があると思われる部分を左右から1枚ずつ、仰向けで1枚、足の曲げ伸ばしを変えて1枚ずつのレントゲン撮影して計3~4枚。
犬の背、腰、股関節回りの場合
仰向けで1枚、後肢の角度を変えて仰向けで1枚、左右から1枚ずつレントゲン撮影して計4~5枚。
犬の前足の場合
症状があると思われる部分を左右から1枚ずつ、足の曲げ伸ばしを変えて1枚ずつレントゲン撮影して計2~4枚。
犬の胸、肩、頭部の場合
左右から1枚ずつ、仰向けで1枚ずつ、伏せた状態で1枚、レントゲン撮影して、計3~5枚。
犬の撮影する場所や枚数によっても異なりますが、レントゲン撮影でしっかりと異常を見つけるためには、平均的に3~4枚の撮影が行われます。
犬のレントゲン撮影にかかる平均的な費用
犬のレントゲン撮影検査の1回の平均費用は、小型~中型犬で5,000~10,000円、大型~超大型犬で8,000~15,000円となります。ただし、犬のレントゲン検査を緊急時に夜間救急病院や救急病院にて受ける場合、検査や処置の他に、夜間料金(8,000円~)、緊急対応料金(5,000円~)などの費用が別途かかります。
また緊急時には、事前に費用の説明や検査項目についての詳しい説明などをせずに、急いで必要なレントゲンの検査、処置をする場合があります。
犬のレントゲン検査は保険適用されるのか
犬のレントゲン検査は、保険適用される場合と適応されない場合があります。動物の医療保険への加入が増えてきましたが、保険適用範囲を詳しくご存知でしょうか?
保険の規約
犬のレントゲン検査は病気やケガの診断のため、および治療に必要なレントゲン検査は多くのペット保険で支払い事由に該当します。すべての保険会社は、保険金支払い事由に該当するわけではありませんが、検査結果にかかわらず、検査については支払いをする保険会社が多いようです。
犬のレントゲン検査を健康診断としてうける場合は、保険支払い事由に該当しない保険会社がほとんどです。
犬の健康管理としては病気ではない場合、0歳~5歳までは年に1回、5歳~8歳までは年に2回、8歳~は3カ月に1回の定期的な健康診断が望ましいと言われています。健康診断でとくに異常が見つからなかった場合は、レントゲンを含む検査は保険支払い対象外となります。
しかし、犬のレントゲン検査によっての健康診断になんらかの異常が発見され、治療が開始された場合は、最初のレントゲン検査から保険金を請求できることがあります。
つまり、ケガや病気の症状がない場合には、レントゲン検査の結果に異常が無ければ保険金は支払われませんが、レントゲン検査の結果、治療が必要になった場合は保険金の支払い事由に該当するため、保険金が支払われることがあるということです。
先天性疾患の場合
先天性疾患とは、産まれた時にすでに何らかの遺伝性疾患を持っていることです。
犬に生まれつき足の関節などに異常があり、成長過程で治療や手術が必要となったケースでは、遺伝性疾患を原因とするレントゲン検査や治療に対しての保険金は支払われないということです。保険会社によっては、「先天性疾患による犬のレントゲン検査、治療などに保険金を支払いません。」としている場合もあります。
保険契約に関する書類の中の、保険金をお支払いできない場合について詳細に記してある項目を、ぜひこの機会に確認しましょう。
犬がレントゲン検査した際の体への影響
犬のレントゲン検査が必要となった時に気になるのは体への影響ですが、ほとんどの場合は体への影響やリスクはありません。
放射線量
犬のレントゲン撮影場所は体の部位によって異なりますが、1回のレントゲン撮影での被ばく線量は、0.05~0.2マイクロシーベルト程度です。私たちは何もしていなくても、宇宙、大地、空気から1年間に2.4マイクロシーベルトの放射線量を被ばくしています。
癌になるリスクなど、健康被害への影響が大きいとされる被ばく線量は、年100~200マイクロシーベルトとされているので、自然界から受ける被ばく線量と比べてみても、犬のレントゲン検査での被ばくによる健康被害や体への影響はほぼ無いと考えてよいでしょう。
犬のストレス軽減のための鎮静剤
犬のレントゲン検査をする場合、獣医師や看護師2名で体をおさえて動かないようにして撮影をします。犬にとっては非日常的な出来事のためとても混乱します。
そんな時に犬に行われるのが鎮静剤の投与です。鎮静剤は、全身麻酔時の導入にも使われ、鎮痛や精神安定を目的として投与されます。痛みや不安を取り除き、全身麻酔に比べて体への影響も少ないため、安全に検査ができます。
犬のレントゲン検査に飼い主が立ちあうことはほとんどないので、飼い主の姿が見えず、知らない場所で体の自由を奪われる犬の不安は高まります。しかし、犬が不安で暴れてしまうとレントゲン撮影は不可能ですし、攻撃性が現れてしまうと適切な検査治療はできなくなります。
暴れる犬の場合は、口輪やエリザベスカラーをつけてレントゲン撮影を行うことがほとんどですが、激しく暴れたり攻撃性がひどい場合には鎮静剤を投与し、犬と撮影者の安全性を確保することになります。
レントゲンを撮る際、犬の様子に不安がある場合には獣医師に相談してみましょう。
犬のレントゲン検査でわかること
犬のレントゲン検査ではどんなことを発見できるのかご存知ですか?どんな時にレントゲン検査をするのかをご紹介します。
緊急でレントゲン検査が必要な症状や状況
- 交通事故
- 腹部のふくらみ
- 誤飲
- 呼吸異常
- 難産
- 排尿異常
交通事故による骨折や内臓破裂、出血が疑わしい場合には速やかに犬のレントゲン検査が行われます。誤飲や呼吸異常にもレントゲン検査が行われます。腹部の膨らみや嘔吐、大量のヨダレ、呼吸の乱れなどがある場合、胃捻転や胃拡張の診断もレントゲン検査で診断できます。
レントゲン検査で分かる体の異常(造影検査を含む)
- 骨、関節の異常
- 腫瘍などの発見
- 肺、腹部、胸部の異常
- 血管の異常
- 出血、血流の異常
- 呼吸器官の異常
- 心臓の異常
- 口腔内の異常
- 尿路の異常
- 妊娠
など
他にも、犬の歯の治療の際にレントゲン検査が行われます。
レントゲン検査で分かる病気
- 肺がん
- 肺炎
- 肺水腫
- 肺気胸
- 胸水
- 腸閉塞
- 尿路結石
- 胆石
- 腹水
- 心肥大
など
犬のレントゲン検査だけで病気の特定をするわけではなく、血液検査やエコー検査などと合わせて、正確に体の状態を診断して適切な治療へと繋げます。
また、犬のレントゲン検査だけで診断が難しい場合には、内視鏡検査、MRI、CTなど他の検査も必要になってきますが、まずはレントゲンを撮って状態を把握するというのは、病気の発見には欠かせない検査と言えます。
まとめ
犬のレントゲン検査は、異変に気が付いて診察を受ける時にその場でできることがほとんどです。少々拘束されて検査を行うので可哀そうになりますが、一瞬の検査です。早期発見や疑わしい病気の可能性を否定する検査としても、初期の段階での犬のレントゲン検査はとても重要です。
もちろん犬のレントゲン検査では分からない病気もありますが、獣医師から検査をすすめられた時には受けさせましょう。
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女性 けんしろう