犬が「ペットとして飼われていた」時代、犬のご飯といえば人間の食べ残しを与えることが普通でした。しかし、犬を「家族として暮らす」今、犬には人間の食べ残しを与えてはいけないという考えが主流になっています。そうはいっても、つい人間が食べているものを愛犬へ与えたくなる飼い主さんもいるのではないでしょうか。
しかし、やはり人間の食べ残しを含む、人間の食事を犬に与えるのはNGです。いったいどういった理由でそのように言われるようになったのでしょうか。今回は「犬に人間の食べ残しを与えてはいけない理由」をご紹介します。
犬の寿命の変化
犬と人間の関係性も時代と共に変化してきました。
- 犬の「存在」の変化
- 「住環境」の変化
- 「医療」の発展
- 「食生活」の変化
例えば犬の存在。昔は番犬やペットといったように、犬と人間には明確な差がありました。しかし、現代ではペットというよりかは、家族として捉えている人が増えていますよね。そのため犬を外で飼育するよりも家族と一緒に室内で飼育するケースがほとんどです。また、動物医療についても大きく発展しています。これらの要素により犬の寿命も大きく変わっています。
また、「食事」についても変化がありました。これまではペットに与えるのだから残飯でもOKという考えでしたが、「犬には犬に合った食事」が必要であることをほとんどの人が知るようになりました。そのため犬に合った食事、つまりドッグフードの質もどんどん上がっていきました。
これらのあらゆる変化や発展によって犬の寿命は大きく延びています。例えば人間の残飯を食べていた頃よりも犬の平均寿命は「7歳以上」も延びたと言われているのだそう。犬の生活環境や食生活の改善が犬の寿命に大きく関わっているのです。
犬に人間の食べ残しを与えてはいけない理由
犬の食生活が寿命を延ばすことに大きく関わっていることが分かりました。これを踏まえて、犬に人間の食べ残しを与えてはいけない理由を考えてみましょう。
犬にとっては有害な食べ物がある
犬と人間は異なる動物です。そのため人間にとっては害がなく、しかも美味しい食べ物だとしても、犬にとっては有害になってしまうことがあります。例えばネギ類やチョコレートなどは、犬が食べてはいけないものだと多くの飼い主さんはご存知ですよね。
これらの犬にとって有害な食材を与えてしまうことで、犬は中毒症状や消化不良を起こしてしまいます。個体にもよりますが、少量でも死に至るケースもあれば、少しずつ摂取することで犬の寿命を縮めていたといったケースもあります。
人間にとって無害なものが犬にとって無害だとは限らないのです。やはり犬には犬の食事を与える必要があるのです。
必要とする栄養素が異なる
犬が最も必要とする栄養素はタンパク質です。しかし人間は炭水化物ですよね。その他の栄養素も犬と人間とでは必要な量や内容が異なるのです。また、塩分や糖分、脂質なども犬と人間とでは必要な摂取量が大きく異なります。例えば人間食べる食事は犬にとってはそのほとんどが塩分、糖分、脂質過多です。人間の残飯を与える場合、人間の基準で作られているはずですので、犬は健康になるどころか健康を害することになってしまうのです。
まとめ
人間の食事はあくまでも人間が基準の食事です。犬には毒になるものもあれば、犬が必要な栄養素とも大きく異なります。人間の食事を与えることで塩分過多や糖分過多となることは、犬の高血圧や肥満を引き起こし、その他の病気のリスクも高めてしまいます。
つい、飼い主さんが可愛い愛犬に自分が食べているものを与えたい気持ちはわかります。しかし、少量であってもやはり人間の食事を与えることはおすすめしません。そのためにも気を付けたいのは、犬に「一度でも」人間の食事を与えてしまわないことです。犬は経験をもとに学んでいく動物です。一度人間の食事を与えてしまうと「またもらえる!」と期待をしてしまいます。期待されてしまうと、つい与えてしまう飼い主さんもいるでしょう。だからこそ「犬には人間の食べ残しは与えない」というのは一貫性をもって徹底することをお勧めします。
もちろんこれらのことを理解したうえで、「犬に無毒」で「犬に必要な栄養素」をよく理解したうえで作られる料理であれば、人間の食材を使って犬に合わせたご飯を手作りすることには問題はありません。
愛犬を大切に思うからこそ、その食事管理には気を付けていきましょう。