人間と犬の歴史
犬がいつ人間により家畜化したかは諸説ありますが、1万9000年~3万2000前とも言われています。肉や乳を利用する家畜からその後、豚や牛などの人間の財産である家畜を外敵から守ってくれる番犬としてのパートナーへと変化します。暖房器具がない時代には、保温用に犬を手元近くに置きました。長い時を経て現在では家族の一員という存在になっています。特に最近では室内飼いが多くなり、犬と人間が多くの生活部分を共有しています。その様な密接な関係が、犬が人間を慰めてくれる大きな要因に繋がっていると思います。
犬が人間を慰めるのは「本能」
理由1.反応を見て判断しているため
言葉をコミュニケーションツールで使用しているのは地球上の動物で人間だけです。猿や犬などの中には、人間の簡単な言葉を理解している事もありますが、これは言葉自体を理解しているのではなく繰り返しの学習や人間の表情や反応を見て判断しているのです。犬は人間とコミュニケーションを取りながら学習することが大好きです。言葉を使わない代わりに五感をフル活用し、人間の怒ったり笑ったりする表情と、それに感情がどのように伴うかを理解しています。犬は人間が悲しみの表情を浮かべたり涙を流している姿を見て、自分が寄り添ったり涙を舐めることで存在自体が「癒し」になることを知っているのです。
理由2.群れの性質
また、犬は群れをなして暮らす性質を持っています。飼い主を群れの一員と認識し、同じ行動を取る性質があります。近所の犬が一頭吠えたら、周りの犬も何か状況は知らなくても同じように吠える行動と一緒です。飼い主が落ち込んでいたらそっと寄り添ったり、笑っていたら嬉しそうにしっぽを振っています。
様々な場面で人に癒しを与えるセラピードッグについて
セラピードッグとは
動物と触れあうことでストレスの軽減や癒される動物を通した癒しをアニマルセラピーと言います。セラピーとは「治療・療法」という意味で患者の機能向上を手助けするとされています。乗る人間に調和してくれる乗馬や、イルカと泳いでリラックスする方法などが有名です。
セラピードッグとは、その名の通り、犬が病気や怪我、精神的に痛手をうけた人間に寄り添うことにより会話や笑顔を増やす、気力を高めて元気になるなど、リハビリテーションの一部として心身の改善を目指します。弱った人間が積極的に犬に関わることで、行動範囲が増えたり、不自由な体の一部の可動域が広がるなども報告されています。
セラピードッグになるには犬種は問いませんが、忍耐力がある個体が向いています。基本的なしつけに加え、高度な訓練が必要です。トイレットトレーニング、服従(どんな時もハンドラーの指示をきく)、アイコンタクト、誰にどこを触られても大丈夫など、弱者に寄り添う為の学習をし身に付けて初めて現場で活躍する事になります。
セラピードッグが活躍する現場
- 病院
- ホスピス
- 高齢者施設
- 児童養護施設などの福祉施設
- 地震や自然災害の被災地 など
まとめ
無償の愛で人間の体や心を癒してくれる犬の特性が現代の生き辛い社会の中で大きくクローズアップされています。また、飼育拒否や遺棄され、保健所で殺処分を控えた犬が保護され、訓練を受けセラピードッグになっている子もいます。心に深い傷を負った子が人に寄り添い自身のトラウマを癒し活躍する機会も少数ですがあります。これまでの人間と犬の歴史に加え、これからの時代はもっとなくてはならない存在になっていくのは間違いありません。