犬は『満腹』にならないって本当?

結論からいうと、犬にも食事によって空腹や満腹を調節する体の仕組みがあるため、「いくら食べても満腹にならない」というわけではありません。ただし、食べ物への関心の強さには大きな個体差があります。
必要なカロリーを十分に摂取していても、食べ物を見たりニオイを感じたりすると、さらに食べようとする犬もいます。そのため、「まだ欲しがっている=食事量が足りない」とは限りません。また、ドッグフードを数十秒から数分ほどで食べ終える早食いの犬では、食事という楽しみがすぐに終わってしまうため、食べ終えた直後から次の食べ物を期待して催促することもあります。
さらに、犬が見せる「食べたい」という行動は、本当の空腹だけが理由とは限りません。過去に見つめたり吠えたりしたときにおやつをもらえた経験があれば、「こうすれば食べ物が出てくる」と学習している可能性もあります。
犬がしつこくご飯を欲しがる主な理由

犬が食事のあともしつこく食べ物を欲しがる場合、単に「食いしん坊だから」で終わらせず、何が要求につながっているのかを考えてみましょう。
食事量が足りていない
まず確認したいのが、現在与えている食事量です。成長期や運動量の多い犬などでは、必要なエネルギー量に対して食事が不足していれば、本当に空腹を感じている可能性があります。
一方、フードのパッケージに書かれている給与量はあくまで目安です。同じ体重の犬でも、年齢や避妊・去勢の有無、活動量、体質などによって必要なカロリーは異なります。体重だけではなく、肋骨の触れ方や腰のくびれなど体型も確認し、適量が分からない場合は獣医師に相談するとよいでしょう。
食べるスピードが速い
食事を一気に飲み込むように食べる犬では、数十秒ほどで食事が終わってしまい、「もう終わり?」と物足りなそうにすることがあります。早食いが目立つ場合は、早食い防止用の食器やフードを入れられる知育玩具などを使い、時間をかけて食べられるよう工夫してみましょう。
ただし、「ゆっくり食べれば必ず満腹になる」ということではありません。早食いへの対策は、食事時間を楽しませたり、一気食いを防いだりするための工夫のひとつとして取り入れてください。
催促すればもらえると覚えている
犬は、自分が取った行動のあとに何が起きたのかを経験から学習します。食後にじっと見つめたらおやつをもらえた、吠えたらフードを追加してもらえた、といった経験が繰り返されると、「催促すると食べ物が出てくる」と覚えることがあります。
一度定着した要求行動は、飼い主によって対応が異なると続きやすくなります。「自分は与えないけれど、家族の誰かが与える」という状態も避け、家族全員でルールを統一しましょう。
退屈している・かまってほしい
食べ物への要求に見えても、実際には「暇だから何かしたい」「飼い主にかまってほしい」と感じている場合があります。散歩や遊びなどの刺激が少ない生活では、食事やおやつが1日のなかでも特に大きな楽しみとなり、食べ物への執着が強くなることも考えられます。
食後に要求が始まったら毎回食べ物で応えるのではなく、普段の運動や遊びが十分かを見直してみましょう。散歩でニオイを嗅ぐ時間を作ったり、おもちゃ遊びやノーズワークを取り入れたりすることも、食事以外の楽しみを増やす方法です。
病気や薬の影響で食欲が増している
これまで普通だった犬が突然食べ物を強く欲しがるようになった場合には、体調の変化も考える必要があります。
食欲が異常に増す「多食」は、糖尿病や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)など、いくつかの病気で見られることがあります。また、ステロイド薬など、一部の薬では副作用として食欲が増す場合もあります。
特に「たくさん食べているのに痩せてきた」「水を飲む量や尿量も増えた」といった変化がある場合には注意が必要です。
しつこくご飯を欲しがる場合の対処法

愛犬が食事を欲しがるたびに追加でフードやおやつを与えていると、摂取カロリーが増えて肥満につながる可能性があります。まずは、本当に食事量が足りているのかを確認するところから始めましょう。
フードの給与量だけでなく、毎日のおやつやトッピングなども含めて、1日にどのくらい食べているのかを把握します。体重を定期的に測り、体型の変化も確認してください。早食いが目立つ場合は、早食い防止用の食器や知育玩具などを利用するほか、1日の総量を変えずに食事回数を分ける方法が合う犬もいます。
また、退屈が関係しているようであれば、散歩や遊び、ニオイ嗅ぎ、頭を使う遊びなどを取り入れ、食事以外にも楽しめる時間を作りましょう。そして重要なのが、要求している最中に食べ物を追加しないことです。吠えたり前足で催促したりするたびに与えると、その行動が強化される可能性があります。
食事を与える時間やルールを家族で決め、落ち着いているときに用意するなど、一貫した対応を続けましょう。
まとめ

「犬は満腹にならない」といわれることがありますが、犬にも空腹や満腹を調節する体の仕組みがあります。ただし、必要な量を食べていても食べ物を欲しがる犬は珍しくありません。
食後も催促を続ける背景には、食事量の不足だけでなく、早食いや退屈、「要求すればもらえる」という学習などが関係している可能性があります。まずは1日の食事量と体型を確認し、食べ方や運動、遊び、飼い主の対応を見直してみましょう。
一方、以前より急に食欲が強くなった、食べているのに体重が減る、多飲多尿などの変化が見られる場合には、病気が隠れている可能性もあります。
「食いしん坊だから」と決めつけず、愛犬の普段の食欲を把握しておくことが、異変への早い気づきにもつながります。



