犬が大量に摂取すると危険な『栄養素』5選 食べすぎたときに起こり得る注意すべき症状とは?

犬が大量に摂取すると危険な『栄養素』5選 食べすぎたときに起こり得る注意すべき症状とは?

体に良いはずの栄養素も、愛犬が摂りすぎると毒になることがあります。「体に良さそうだから」と安易に与えず、正しい知識を身につけましょう。

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記事の監修

めのうアニマルクリニック院長。猫が大好きなあまり、犬と猫を分けた動物病院を開院。「犬にも猫にも優しい動物病院」をコンセプトにしています。腫瘍学を得意分野としていますが、しつけに対しても力を入れており、パピークラスを開校して子犬のトレーニングを行っています。

犬が大量に摂取すると危険な「栄養素」5選

煮干しをもらう犬

1.カルシウム

「骨を丈夫にしたい」という思いからカルシウムを過剰に与えるのは禁物です。特に成長期の子犬に多く与えすぎると、骨の発育スピードに異常をきたし、関節の変形や軟骨のトラブルを引き起こすリスクが高まります。

本来、体内で調整されるべきミネラルバランスが崩れ、かえって骨がもろくなったり、他の栄養素の吸収を妨げたりすることも。ドッグフードには十分な量が含まれているため、サプリメントの追加には慎重になるべきです。

2.ビタミンA

ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を保つ大切な栄養素ですが、水に溶けない「脂溶性」のため、摂りすぎると体(主に肝臓)に蓄積されてしまいます。

大量摂取が続くと、骨に異常な突起ができたり、関節の痛みで歩き方がおかしくなったりする「ビタミンA過剰症」を招く恐れがあります。

レバーなどの肝臓類には非常に多くのビタミンAが含まれているため、体に良いからと毎日たくさん与え続けるのは非常に危険です。

3.ビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収を助けますが、摂りすぎると血液中のカルシウム濃度が異常に高くなり、全身の臓器に悪影響を及ぼします。特に腎臓へのダメージが大きく、最悪の場合は急性腎不全を起こして命に関わることもあります。

犬が誤って人間用のビタミン剤を食べてしまった場合などに起こりやすく、激しい嘔吐や多飲多尿といった症状が見られます。一度ダメージを受けた臓器は元に戻りにくいため、徹底した管理が必要です。

4.ナトリウム(塩分)

犬も少量の塩分は必要ですが、人間と同じ感覚で味の濃いものを与えると、すぐに過剰摂取になります。過剰な塩分は心臓や腎臓に大きな負担をかけ、高血圧やむくみの原因になります。

また、短時間に大量の塩分を摂取すると「食塩中毒」を引き起こし、激しい下痢や嘔吐、震え、さらには意識障害を招くことさえあります。人間のお惣菜やパンなどは、犬にとっては塩分の塊であるという認識を持つことが大切です。

5.鉄分

鉄分は血液を作るのに欠かせませんが、一度に大量に摂取すると消化管や肝臓に深刻なダメージを与えます。よくあるケースが、飼い主が飲んでいる鉄分サプリメントの誤飲です。

摂取後数時間で吐血や下痢などの症状が現れ、一旦落ち着いたように見えても、数日後に肝不全などの重い症状が出てくることもあります。サプリメントは犬の手が届かない場所に保管し、万が一食べてしまった場合はすぐに動物病院を受診しましょう。

「栄養の摂りすぎ」が起こりやすい原因

犬にサプリを与える人

サプリメントの与えすぎ

愛犬の健康を願うあまり、複数のサプリメントを組み合わせて与えてしまうことが過剰摂取の大きな原因のひとつです。

例えば、関節用、毛並み用、総合ビタミン剤など、それぞれに同じ成分が含まれている場合、合計すると一日の許容量を大きく超えてしまうことがあります。

サプリメントは薬ではありませんが、体の機能を変化させる力を持つものです。良かれと思って足したものが、逆に愛犬の健康を損なっていないか、配合成分を細かくチェックするようにしましょう。

人間用の食べ物

「少しだけなら大丈夫」という油断が、栄養の過剰摂取を招きます。人間用の食べ物は、犬の体にとって過剰な塩分、糖分、脂質が含まれています。

特に加工食品には、人間には無害でも犬には毒性が強い添加物や、栄養バランスを大きく崩す成分が濃縮されています。一口のパンやハムであっても、体の小さな犬にとっては一食分に相当する塩分量になることも珍しくありません。

人間の食事と犬の食事は完全に別物であると理解し、ルールを決めて守るようにしましょう。

おやつのあげすぎ

おやつは飼い主と犬のコミュニケーションになりますが、特定の成分に偏ったおやつを毎日大量に与えるのはリスクが伴います。例えば、ジャーキーばかりを大量に与えればタンパク質やリンが過剰になり、煮干しばかりであれば塩分やマグネシウムが過剰になります。

おやつはあくまで「嗜好品」であり、一日の総カロリーの10%程度に抑えるのが基本です。愛犬が喜ぶからといって、栄養バランスを無視しておやつを主食のように与えるのは控えましょう。

食べすぎたときに注意すべき症状

診察を受ける犬

特定の栄養を摂りすぎたとき、体は必ずサインを出します。まず分かりやすいのは、嘔吐や下痢といった消化器のトラブルです。これは体に入った余分なものや毒素を外に出そうとする防御反応ですが、何度も繰り返す場合は重症化のサインです。

また、これまでは元気に走り回っていた愛犬が、急にぐったりしたり、散歩に行きたがらなくなったりする場合も要注意です。目に見えない体内の臓器がダメージを受けている可能性があります。

さらに、尿の色が異常に濃くなったり、水を飲む量や排尿の回数が急激に増えたりしたときは、腎臓が限界を超えているサインかもしれません。これらの変化を「たまたまかな?」と放置せず、異変に気づいたらすぐに獣医師に相談する習慣をつけましょう。

健やかな暮らしを守るために飼い主ができること

ご飯を待つ犬

愛犬の健康を守る最もシンプルで確実な方法は、栄養バランスが計算された「総合栄養食」のドッグフードを基本にすることです。これには犬に必要な栄養がすべて適切な量で含まれているため、健康な犬であれば余計なサプリメントを足す必要はありません。

もし特定の栄養素を強化したいと考えるなら、自己判断で行わず、健康診断の結果などをもとに獣医師のアドバイスを受けましょう。

また、誤飲を防ぐための環境作りも飼い主の重要な役割です。人間用のビタミン剤やサプリメントは、犬が開けられない戸棚に保管する、あるいは落としても気づける場所で扱うといった工夫を徹底してください。正しい知識と管理こそが、愛犬の寿命を延ばす鍵となります。

まとめ

おやつをもらう犬

栄養は「足りないこと」を心配しがちですが、実は「摂りすぎること」の方が、体の小さな犬にとっては深刻な毒となる場合があります。

基本の食事を大切にし、おやつやサプリメントはルールを持って正しく活用しましょう。日々の観察を欠かさず、適量を守る知識が、愛犬の笑顔を支えます。

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