犬から飼い主にうつる『人獣共通感染症』とは?感染した場合の危険な症状まで

犬から飼い主にうつる『人獣共通感染症』とは?感染した場合の危険な症状まで

犬と暮らしていると、「うつる病気なんて本当にあるの?」と気になることがありますよね。犬から人へうつる病気は人獣共通感染症(ズーノーシス)と呼ばれ、咬み傷、引っかき傷、尿や便、皮膚や被毛との接触、ノミやダニなどを通じて感染することがあります。犬が元気そうに見えても病原体を持っている場合があるため、正しく知っておくことが大切です。ここでは、人獣共通感染症とは何か、犬からうつる可能性がある代表的な病気、感染したときに注意したい症状、日常でできる予防策をまとめます。

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記事の監修

めのうアニマルクリニック院長。猫が大好きなあまり、犬と猫を分けた動物病院を開院。「犬にも猫にも優しい動物病院」をコンセプトにしています。腫瘍学を得意分野としていますが、しつけに対しても力を入れており、パピークラスを開校して子犬のトレーニングを行っています。

『人獣共通感染症』とは?

噛む犬

人獣共通感染症とは、動物と人のあいだでうつる可能性がある感染症のことです。犬を介して人へ感染することがあり、主な経路としては、咬み傷、引っかき傷、尿や便、皮膚や被毛との接触、ノミやダニなどが挙げられます。

日常のふれあいがすぐ危険というわけではありませんが、傷があるときや衛生管理が不十分なときには注意が必要です。大切なのは、過度に怖がることではなく、正しい知識を持って予防することです。

代表的な人獣共通感染症6つ

カルテの束

犬から人にうつる病気といっても、種類や感染経路はさまざまです。ここでは、代表的なものを知っておきましょう。

1.狂犬病

狂犬病は、感染した犬などに咬まれたり、唾液が傷口や粘膜に入ったりすることで感染する致死率の高い病気です。発症すると100%亡くなってしまい、一部の地域を除いて世界中で今も発生が続いています。

日本国内では長く発生していませんが、海外渡航や輸入動物との接触がある場合は特に注意が必要です。

2.レプトスピラ症

レプトスピラ症は、感染した動物の尿で汚れた水や土などを介してうつることがあります。

人では発熱や頭痛、筋肉痛などから始まり、重くなると黄疸や腎臓の障害につながる場合があります。水辺やぬかるみなどに触れる機会があるときは気をつけたい感染症です。

3.皮膚糸状菌症

犬の皮膚や被毛についた真菌、いわゆるカビが人の皮膚にうつり、かゆみや赤みを伴う皮膚炎を起こすことがあります。見た目には小さな円形の発疹のように見えることも。

家庭内で広がることもあるため、犬に脱毛や皮膚トラブルがあるときは早めの対応が大切です。

4.パスツレラ症

パスツレラ菌は犬や猫の口の中にいることがある細菌で、咬み傷や引っかき傷から人の体に入ることがあります。

傷が小さく見えても、赤み、腫れ、痛みが強く出ることがあり、油断できません。とくに手や指を噛まれた場合は、悪化が早いこともあります。

5.回虫症・瓜実条虫症

犬の便やノミの体内にある虫卵が口に入ることで、人に感染することがあります。

特に小さな子どもは、床や地面を触った手をそのまま口に入れてしまうことがあるため注意が必要です。日頃の便の処理や手洗いがとても大切になります。

6.SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

SFTSは主にマダニが関わる感染症です。犬がダニを家の中へ持ち込み、人の感染リスクにつながることがあります。

さらに、SFTSに感染した犬や猫との接触によって人へ感染したと考えられる報告もあります。発熱や強いだるさ、消化器症状などが出ることがあり、重症化してしまうと死亡率の高い病気です。

感染した場合に注意したい「危険な症状」

包帯を巻く女性

犬との接触のあとに体調の変化が出たときは、「そのうち治るだろう」と自己判断しないことが大切です。特に次のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談したほうが安心です。

  • 咬まれた、引っかかれたあとに赤み、腫れ、熱っぽさ、痛みが強くなる
  • 傷口から膿が出る
  • 発熱する
  • 高熱や強いだるさが続く
  • 白目や皮膚が黄色っぽく見える
  • 尿の量が減る、体調が急に悪くなる
  • ダニに刺されたあと、発熱や下痢、嘔吐、ぐったりした様子が続く

こうした症状は、創部感染やレプトスピラ症、SFTSなどのサインである可能性があります。犬との接触歴や咬傷歴、ダニに刺された可能性がある場合は、受診時に医師へ伝えることが大切です。

どう防ぐ?今日からできる予防策

石鹸で手を洗う

人獣共通感染症は、日常のちょっとした対策でリスクを下げることができます。特別なことより、基本を丁寧に続けることが大切です。

犬に触れた後や排泄物の処理後は手を洗う

犬とふれあったあとや、トイレ掃除、便の処理をしたあとは、石けんと流水で手を洗う習慣をつけましょう。これだけでも感染リスクをかなり下げることにつながります。

咬み傷・引っかき傷はすぐに洗う

犬に咬まれたり引っかかれたりしたら、まず流水でしっかり洗い流します。小さな傷でも細菌が入ることがあるため、赤みや腫れが出たら早めに相談したほうが安心です。

ノミ・ダニ予防を続ける

マダニやノミが関わる感染症もあるため、定期的な予防はとても重要です。犬の体だけでなく、散歩コースや季節も意識しながら対策を続けることが大切です。

ワクチン接種や定期健診を欠かさない

犬の健康管理は、犬自身のためだけでなく、人への感染リスクを減らす意味でも大切です。狂犬病予防注射は法律でも定められており、公衆衛生の面でも重要です。定期健診もあわせて受けておきましょう。

体調不良の犬や野生動物とのむやみな接触を避ける

犬が体調を崩しているときは、いつも以上に衛生面へ気を配ることが大切です。また、野生動物や見知らぬ動物との不用意な接触は避けたほうが安心です。異変があるときは早めに動物病院で原因を確認しておきたいところです。

まとめ

口を開けた犬

人獣共通感染症は、犬の咬み傷や引っかき傷、尿や便、皮膚との接触、ノミやダニなどを通じて人にうつる可能性がある病気です。予防の基本は、手洗い、傷の洗浄、ノミ・ダニ対策、ワクチン接種、定期健診の継続です。

もし傷口が腫れてきた、高熱が続く、黄疸がある、ダニのあとに体調不良が出たといった場合は、自己判断せず早めに医療機関へ相談することが大切です。犬と安心して暮らしていくためにも、正しい知識を持って予防を続けていきたいですね。

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