なぜ犬が原因でご近所トラブルが起こるのか

新聞の記事などを読んでいると、少子化による子どもの減少とペット(犬および猫)の飼育数の増加は、世界的に共通した傾向であることがわかります。
日本でも、子どもの人口・出生数がペット(犬および猫)の飼育総数・新規飼育数よりも上回っており、2024年の統計では下記が報告されています。
- 15歳未満の人口=1,400万人/出生数=65.6万人
- ペットの総数=1,595万匹/新規飼育数=80.3万匹
今や珍しくなくなった犬の飼育ですが、にも関わらずトラブルが起こる一因に、飼い主さんが思っている以上に犬を怖がる人が大勢いることがあるのではないでしょうか。実は筆者も、マンションの「ペット飼育規定」を検討する際に、犬が怖いという方のあまりの多さに驚いた経験があります。
恐怖は、理性でコントロールすることが難しい感情です。飼い主さんが、犬を怖がる人や愛犬の恐怖心の双方に配慮して愛犬を適切にコントロールしなければ、人と犬の恐怖心を低減させられないことを、もっと真剣に考える必要があるでしょう。
犬が原因で起こりうるご近所トラブルの代表例

1.ルール違反
犬の飼い主さんに求められるルールはたくさんあります。法律や条例はもちろん、集合住宅の規定、ドッグラン・ペットホテル・ペット同伴可能な施設などのほとんどにルールが定められています。
これらのルールは、一般の方だけのものではありません。ルールを守ることは、飼い主さんと愛犬が安心して快適に過ごせるためのものでもあるのです。
愛犬は自分の言うことをよく聞くので、「ちょっとくらい」とか「ほんの一瞬だけ」だから大丈夫だとルールを守らなかった場合、そのちょっとしたことで大きなトラブルが起き得ることをしっかりと意識する必要があります。
2.鳴き声
犬が原因となるご近所トラブルで最も多いのが、鳴き声をはじめとする騒音問題です。飼い主さんにとってはかわいい声でも、「犬が怖い」とか「犬は嫌い」という人は不安や恐怖を感じてしまうでしょう。
特に気をつけたいのが、飼い主さんが不在時の鳴き声です。ペットカメラの設置や、ご近所の方に「留守中に鳴き声でご迷惑をおかけしていませんか」と声をかけるなど、適宜確認を行うことも必要です。
3.排泄物の始末
散歩中の排泄物の始末は、必要最低限のマナーです。基本的には、室内でトイレを済ませてから外出するように習慣づけましょう。また、マンションなどの集合住宅の場合、廊下や階段、エントランス、駐車場などの共用部分での排泄物や泥の足跡の掃除も必要です。
4.抜け毛の飛散
ベランダや庭など、屋外でのブラッシングも、抜け毛の飛散によるトラブルの原因になるため配慮が必要です。洗濯物への付着など、犬にアレルギーのある方が発症する引き金になりかねません。
5.咬みつき
最も怖いのが、咬傷事故です。犬が人や犬に咬みつくのは、自分や飼い主さんの身を守るためです。愛犬に恐怖を与えるような状況を避けると共に、さまざまな刺激への耐性を身につけさせることで、愛犬をうまくコントロールできなければなりません。
リスクを回避するために知っておくべき飼い主のマナー

恐怖心は理性ではコントロールできません
他の人や犬とすれ違ったり接したりするシーンでは、「相手は犬が苦手だ」と考えるようにしましょう。犬には必ずリードを装着し、短く持って自分の横につけて歩きます。エレベーターなどの狭い空間では、抱き抱えるかカートに乗せることが望ましいです。
また、飼い主さんは愛犬の恐怖心にも配慮が必要です。愛犬が苦手とするような刺激は、できるだけ回避しましょう。回避できない刺激は、愛犬に慣れさせたり注意を自分に引き付けて恐怖の対象から気を逸らせるといった対処が必要です。
基本のしつけが大前提
周囲の人へのマナーとして、愛犬に「オスワリ」「フセ」「マテ」「コイ」などの指示に従えるようにしつけておく必要があります。この基本のしつけで、興奮したりパニック状態になったりした犬を落ち着かせ、飛びかかったり唸ったり咬みついたりする行動を抑止させられるようになり、愛犬自身の安全を守ることもできます。
排泄物の処理は最低限のマナー
散歩中の道路や公園での排泄物の処理(おしっこはきれいに洗い流し、うんちはすべて持ち帰る)は、最低限のマナーです。また、私有地(門や塀)や集合住宅での共用部分では、「排泄させない」ことが基本です。
室内での排泄習慣と合わせて、できれば、飼い主さんの号令で排泄を促すトレーニングにも挑戦してみましょう。
誠意を見せる姿勢
どんなに配慮をしても、万が一の事態は起こりうるものです。飼い主さんが積極的に近隣との付き合いを行い、良好な人間関係を築くことや、普段から挨拶や声掛けにより飼い主としての誠意を示すことも、トラブルを必要以上に大きくさせない予防になるでしょう。
まとめ

犬が原因となるトラブルの多くは、鳴き声による騒音問題、排泄物の不始末や抜け毛の飛散による衛生問題、咬傷事故です。恐怖や不快感を与える、アレルギーを発症させる、相手を傷つけるなど被害レベルはさまざまですが、その根底には「ルール違反」と「基本のしつけ不足」のあることが多いようです。
まずは「犬が怖い」と感じる人が大勢いることを意識し、周囲への配慮を欠かさないことが大切です。そうすれば、自然と愛犬へのしつけやルールの遵守にも力が入ることでしょう。愛犬家の常識は、世間の常識ではありません。飼い主さんの行動で、愛犬と愛犬家の社会的地位を向上させていきましょう。



