犬は『飼い主の言葉』をどのくらい理解している?愛犬と意思疎通を図る方法までご紹介

犬は『飼い主の言葉』をどのくらい理解している?愛犬と意思疎通を図る方法までご紹介

「オスワリ」や「マテ」などの指示に従い、「おやつ」や「散歩」という言葉を聞いて喜ぶ愛犬を見ていると、犬が言葉を理解していることには何の疑いも生じないでしょう。しかし実際のところ、犬はどのように言葉を理解し、どの程度正しく理解できるのでしょうか。犬の言葉の理解度に関する研究をベースに、愛犬とよりスムーズに意思疎通を図る方法を考えてみましょう。

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犬は200語以上の単語を覚えられる

おもちゃを咥えるボーダーコリー

ドイツのマックス・ブランク研究所が2004年6月11日付の米科学誌「サイエンス」に発表した研究によると、犬は200語以上の単語を覚えられるということでした。研究の対象となった犬は、犬の中でも賢い犬種の代表格と言われているボーダーコリーです。

ボーダーコリーは人間の7歳程度の言語理解能力があり、それ以外の犬種でも3歳児程度の言語理解能力があると言われています。すべての犬が200語以上の単語を覚えられるというわけではないでしょうが、それでもかなりの単語数を覚えられると考えられます。

「いい子」「お利口」「大好き」「上手」「ありがとう」などの愛犬を褒める言葉や愛犬の名前などは、飼い主さんが意識して使うことで、愛犬にしっかりと覚えてもらいたい単語です。

では、これらの単語が愛犬を褒めているポジティブな言葉だと理解してもらうためには、どのような話し方をすれば良いのでしょうか。

単語の発音に加えて大切な要素

犬に話しかける女性

ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学の動物行動学者であるアッティラ・アンディクス氏は、2016年8月29日付で米科学誌「サイエンス」に、犬の脳が人の言葉を聞いた時に示す反応についての研究結果を発表しました。

機能的磁気共鳴画像(fMRI)装置を使うことで、言葉を聞いた時の脳の反応を調査できます。ただし、言葉を聞いた時の反応を調べるためには、装置の中で犬が覚醒した状態で静かにじっとしていなければなりません。

そこで、まずは13匹の犬に対して、fMRI装置の中でじっとしていられるようにトレーニングを行い、その後に実験を行いました。

実験の内容は、13匹の犬に「飼い主が単語と言い方(口調)の組み合わせを変えた4つのパターンの言葉」の録音を聞かせ、脳の反応を調べるというものです。録音した4つのパターンは下記の通りです。

①褒め言葉+賛同口調(高めのトーンの声で褒め称えるように話す)
②褒め言葉+中立口調(抑揚のない落ち着いたトーンで話す)
③無意味な単語+賛同口調
④無意味な単語+中立口調

その結果、犬の脳は「単語」には左半球が、「口調」には右半球が、反応を示しました。しかし、犬の脳の報酬領域を活性化させられるのは、①のパターンのみでした。報酬領域とは、「やる気」や「快感」を生じさせる神経ネットワークのことで、人の場合は食事・報酬・快感などを得たときに活性化します。

親が子どもを、また上司が部下を褒める際に、言葉だけで褒めてもあまり効果がありません。言葉と共に、親や上司の本気度が伝わることで、子どもや部下の心に届き、褒め言葉としての効果を発揮します。それと同じことが、犬にも当てはまるということが、この実験結果から読み取れます。

単語と口調以外にも大切なコミュニケーション要素

笑顔で犬に話しかける男性

これまで見てきた研究結果から、犬はかなりの単語を理解する能力を持っていること、そして言葉の意味を正しく伝えて犬にポジティブな感情を呼び覚ますためには、単語だけではなく、賛同するような口調を伴うことが必要だということがわかりました。

それ以外にも、犬には社会性や協調性があること、ポジティブやネガティブな経験を重ねることで「良いこと」や「悪いこと」を学習する能力があること、人と視線を合わせることで意思疎通が図れること、人が指先を指し示すことで視線を誘導できることなども知られています。

これらの知見を総合的に活用することで、愛犬との意思疎通をよりスムーズに行うことができるようになるでしょう。

例えば愛犬に対して赤ちゃん言葉を使う飼い主さんは、一般の方には、溺愛ぶりに呆れる行為に映るかもしれません。しかし、赤ちゃん言葉で話すときには、どんな人でも高い声のトーンを使い、優しい表情で楽しげに話しかけます。

この口調や表情は、犬にとってポジティブな感情を引き起こさせる効果があると考えられ、意思疎通をスムーズに行うためには効果的な話しかけ方だと言えそうです。

まとめ

糸電話を耳に当てる犬

「わざわざ研究論文などを読まなくても、犬と一緒に暮らしていれば、言葉を理解できることなど自然に理解できる」と思われる飼い主さんが多いかもしれません。しかし、感覚的・経験的にわかっていることでも、科学的な根拠やエビデンスが揃うことで、動物福祉を守りながら効果的にトレーニングを行う方法を確立するなど、実用面に応用できるようになります。

そういった観点で、私たち一般の飼い主も、積極的に動物行動学などの学術研究に興味を持ち、可能な範囲で協力することで、人と動物が共存できる社会に貢献していけるのではないでしょうか。

とは言え、研究への協力だと壁が高すぎるかもしれません。まずは、普段愛犬に話しかける時の口調や表情を、優しく楽しげにすることから意識してみると良いのではないでしょうか。

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