犬が「他人に吠えてしまう」5つの心理

犬が他人に吠えるとき、そこには必ず何らかの理由があります。人間から見れば「困った行動」でも、犬にとっては自分の気持ちを伝える大切な手段なのです。まずは愛犬が何を伝えたがっているのか、その心の動きを観察してみましょう。
1.「こっちに来ないで!」
性格が控えめで臆病な犬の場合、知らない人が近づいてくることに対して強い恐怖を感じてしまいます。自分を守るために「これ以上近づかないで!」と必死に警告している状態です。
特に、急に手を伸ばされたり、じっと目を見つめられたりすると、犬は威圧感を感じて激しく吠えてしまうことがあります。この場合、吠えるのは攻撃したいからではなく、自分を守るための防衛反応であることを理解してあげましょう。
2.「ボクの縄張りだぞ!」
犬には自分のテリトリー(縄張り)を守ろうとする本能があります。家の中に誰かが入ってきたり、散歩中に自分のパーソナルスペースに他人が侵入したりすると、それを排除しようとして吠えるのです。
また、大好きな飼い主を他人に取られまいとして守ろうとするケースもあります。これは犬の忠誠心の裏返しでもありますが、エスカレートすると誰に対しても攻撃的になってしまうため、適切なルール作りが必要になります。
3.「ねえ、遊んで!」
すべての吠えがネガティブな理由ではありません。人が大好きで好奇心旺盛な犬の場合、「あ!新しい人が来た!遊んでくれるの?」という期待感から、興奮を抑えきれずに吠えてしまうことがあります。
しっぽを大きく振りながら高い声で吠えているときは、このタイプの可能性が高いです。悪気はありませんが、相手が犬嫌いな場合や体が大きな犬の場合はトラブルに繋がることもあるため、落ち着かせる習慣をつけることが大切です。
4.「何あれ?怖い!」
子犬の頃に多くの人と接する機会が少なかった犬や、特定の身なりの人に慣れていない犬に見られる反応です。
例えば、大きな帽子を被っている人、傘を差している人、大きな荷物を持っている人など、自分の知らない「異質なもの」に対してパニックに近い状態で吠えてしまいます。
犬にとって未知の存在はすべて「敵かもしれない」という不安の対象です。社会性を少しずつ育むことで、この不安は取り除いていくことができます。
5.「吠えたらあっちへ行った!」
犬は学習能力が高い動物です。最初は怖くて吠えただけだったとしても、その結果として他人が立ち去ったり、郵便配達員が帰っていったりする様子を見ると、「吠えれば嫌なものが消えるんだ!」と学習してしまいます。
これが繰り返されると、吠えることが「問題を解決するための正しい手段」として定着してしまいます。一度習慣化してしまうと改善に時間がかかるため、早めに「吠えなくても大丈夫」ということを教えてあげる必要があるでしょう。
逆効果かも?やってはいけない対応

愛犬が吠え出すと、つい慌てて「コラ!」「ダメ!」と大きな声で怒鳴ってしまうことがありますが、これは逆効果になることが多いです。犬は飼い主が大きな声を出すと、「飼い主も一緒に吠えて加勢してくれている」と勘違いして、さらに興奮を強めてしまうからです。
また、力任せにリードを引くことも、犬に痛みや強い圧迫感を与え、「他人が来ると嫌なことが起きる」というネガティブな記憶を植え付けてしまいます。冷静さを保ち、愛犬に安心感を与えることが改善への第一歩です。
今日から実践!問題行動を改善するトレーニング

吠える行動を改善するには、叱るのではなく「別の正しい行動」を教えてあげることが重要です。無理に押さえつけるのではなく、犬の意識を自然に逸らして、落ち着ける環境を作ってあげましょう。
「お座り・待て」の徹底
「お座り」や「待て」は、単なる芸ではなく、犬の興奮を抑えるための強力なブレーキになります。犬は座っている状態では、立っているときよりも興奮しにくいという性質があります。
他人の姿が見えて吠えそうになった瞬間に「お座り」を指示し、成功したらしっかり褒めてください。
日常的にどんな状況でも指示に従えるように練習しておくことで、いざという時に愛犬の感情をコントロールしやすくなり、吠える前に落ち着かせることが可能になります。
視線をそらす練習
吠えの問題を解決するには、対象物(他人)から意識をそらすことが非常に有効です。散歩中に他人が近づいてきたら、名前を呼んだり、おやつを使って飼い主の顔を見させる「アイコンタクト」を実践しましょう。
他人のことを見つめ続けていると興奮が高まってしまいますが、飼い主に注目していれば吠えるタイミングを逃します。「他人が来たら飼い主を見る」という習慣ができれば、愛犬は自然と他人のことを気にしなくなっていきます。
良いイメージの上書き
他人が苦手な犬には、「他人が近づいてくると、大好きなおやつがもらえる」というプラスのイメージを植え付けましょう。
相手に触ってもらう必要はありません。まずは遠くに人が見えただけでおやつを一粒あげます。これを繰り返すことで、犬の心の中にある「他人=怖い」というイメージが、「他人=おいしいものがもらえるラッキーな存在」へと少しずつ変わっていきます。
時間はかかりますが、根本的な解決に繋がる非常に効果的な方法です。
十分な運動と刺激
実は、日々の運動不足や退屈さが吠えの原因になっていることも少なくありません。エネルギーが余っていると、犬は少しの刺激に対しても過敏に反応しやすくなります。
毎日の散歩の時間をしっかり確保し、時にはコースを変えて新しい匂いを嗅がせるなど、脳に刺激を与えてあげましょう。体と心が満足していれば、愛犬は家でも穏やかに過ごせるようになり、些細なことで吠え立てる回数も自然と減っていくはずです。
まとめ

愛犬の吠え癖を直そうとすると、つい「早く結果を出さなきゃ」と焦ってしまうものですが、犬の性格やこれまでの経験によってペースは人それぞれです。
大切なのは、飼い主が常に穏やかな態度で接し、小さな成功をたくさん褒めてあげることです。愛犬との信頼関係を深めながら、少しずつ一緒に成長していく過程を楽しみましょうね。



