犬の「楽しい」と「退屈」の基準

人と一緒に暮らすようになり、肉食だった犬は雑食になりました。しかし肉食だった頃のハンターの習性が残っているため、犬は体を動かすことと頭を使うことで、本能的に「楽しい」というポジティブな感情を抱きます。
逆に思うように体を動かせなかったり、頭を使う必要のない刺激不足な状況が続いたりすると、犬は退屈に思い、ストレスを溜めやすくなります。散歩が好きな犬が多いのは、外に出て体を動かしながらたくさんの刺激を受けられる散歩で、本能的欲求を満たせるからなのです。
しかし、物足りない運動量や毎回変わり映えのしない散歩では、犬も退屈してしまいます。また、たまにコースを変えてさまざまな刺激を与えているつもりでも、それに反応する時間を与えなければ、結局楽しめない退屈な散歩になることでしょう。
犬が散歩を楽しくないと思っているときのサイン

それでは、具体的に犬が「今日の散歩は楽しくないなぁ」と思っているときに見せるサインをご紹介します。
1.しっぽが下がり気味でトボトボと歩く
しっぽは、犬の気持ちをわかりやすく表す部位の一つです。しっぽが水平か少し下がった位置で、ゆったりと大きく振られている時は、リラックスしている・友好的・満足しているといった気持ちを表しています。
一方、低く垂れ下がっているときは、総じてネガティブな感情でいると考えられます。加えて全体的に覇気がなく、トボトボと歩いているようなら、その散歩が退屈で、魅力を感じていないサインだと考えて良いでしょう。
歩き方の他にも、あくびや自分の鼻先を舐めるのを何度も繰り返すなどのカーミングシグナル(ストレスを受けているときに見せる仕草)を合わせて見せることが多いです。
2.精気を感じられない表情をしている
犬が「楽しくない、退屈だ」と感じているときは、顔の表情にもその気持ちが現れます。目に輝きがなく、口元もなんとなくだらしなくなり、一見して精気を感じられない憂鬱そうな表情に見えます。
犬は、楽しいときには目をキラキラと輝かせ、口角を上げた人の笑顔のような表情になります。愛犬と一緒に散歩をするときには、歩き方と合わせて、表情もよくチェックしましょう。
3.早く帰宅したがる
犬も、退屈でつまらないことは早く切り上げたいと思うようです。毎回同じコースをただ黙々と歩くだけで、気になるニオイがしても、じっくりと嗅ぐ時間ももらえずに急かされるような散歩だと、早く帰宅したがるようになります。
ただし、具合が悪くて歩きたくない場合や、苦手な犬がいたり怖い大型車が往来する道路に行きたくなくて帰りたがる場合もありますので、愛犬が帰りたがる・立ち止まって歩こうとしなくなる場所や状況をよく観察し、帰りたがる理由を見極めるようにしましょう。
4.散歩の準備を始めると隠れる
散歩が楽しくなければ、そもそも散歩に行きたがらなくなることもあるでしょう。飼い主さんが散歩に行く準備をし始めると隠れるようになったら、それは「散歩、楽しくないから嫌だ」というサインかもしれません。
ただし、行きたくないのはハーネスが体に合わない、リードを引っ張られて首が痛いなどの理由かもしれません。装着具は、愛犬の成長に合わせて適切なサイズで着け心地の良い素材を選ぶことも大切です。
5.散歩中にアイコンタクトを取ろうとしない
散歩を楽しんでいる犬は、飼い主さんとも積極的にアイコンタクトを取ろうとします。しかし、退屈して早く帰りたい散歩のときには、アイコンタクトを取ろうとしなくなることが多いようです。
暗い気持ちで飼い主さんへの意識も薄れた状態だと考えられるので、どんなに忙しい日の散歩でも、愛犬とのコミュニケーションを大切にしながら散歩を楽しむようにしましょう。
犬が散歩を楽しめるようにするための対処法

冒頭でもご紹介した通り、犬は「その子にとって適度な運動ができ、たくさんの刺激を受けて頭を使うような状況」を楽しみ、その逆の「思うように動けず、刺激の少ない状況」は退屈で強いストレスに感じます。
もし散歩中の愛犬が「楽しくない」サインを見せた場合は、いつもの散歩や愛犬の性格・健康状態等と照らし合わせながら、下記のポイントで対処法を検討してみましょう。
- ご褒美用のおやつを使って「散歩=楽しい」と思ってもらう
- ハーネスやリードの形状・素材などを見直す
- 散歩時間やコースを見直す
- 散歩コースは複数用意し、適宜変更する
- 気が済むまでニオイを嗅がせる時間が取れるよう、時間に余裕を持たせる
- 散歩中は、積極的にアイコンタクトを図る
- 散歩の途中で遊びやトレーニングを取り込み頭を使わせる
散歩を嫌がり始めている愛犬に、外に出て散歩をするのは楽しいと知ってもらうために、おやつは高い効果を期待できます。ただし、使いすぎは健康上の問題を引き起こすリスクもあるため、1日の総カロリー摂取量の10%以内に収まるように管理しましょう。
シニア犬、持病のある犬などは、運動量の調整も大切です。また、犬の習性や愛犬の性格をしっかりと理解した上で対処することが、成功の秘訣です。飼い主さん一人で抱え込まず、ドッグトレーナーや動物病院のスタッフなどの専門家に相談し、協力を得ながら対処することも検討しましょう。
まとめ

散歩の目的は、運動だけではありません。完全室内飼育という刺激の少ない毎日の中で、自然や家族以外の動物・人に触れ合うなど、さまざまな刺激を与えて脳を活性化させ、生きる活力を与えることにも役立っています。
愛犬に、犬らしく生き生きと暮らしてもらうためには、毎日の散歩を楽しいものにすることが大切です。そしてそのためには、飼い主さんご自身も愛犬と一緒に散歩を楽しむことが欠かせません。ぜひ、愛犬と一緒に飼い主さんも散歩を楽しみましょう!



