シニア犬に長生きしてもらうコツとは?健康寿命を延ばすためにすべきことや注意点まで

シニア犬に長生きしてもらうコツとは?健康寿命を延ばすためにすべきことや注意点まで

今や、愛犬は家族の一員です。そんな愛犬が、加齢と共にできることが少なくなってきた様子を見て、悲しみながらも「もう年だから仕方がない」と、できないことを受け入れてしまってはいませんか。愛犬だって、長生きをするのなら健康に楽しく過ごしたいはずです。健康寿命を伸ばすために、シニア期に意識したいケアや注意点をまとめました。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

シニア犬にもフレイル予防を!

寝床に横たわる老犬

1983年にペットフード工業会(当時)が行った調査では7.5歳だった犬の平均寿命が、2024年に一般社団法人ペットフード協会が行った調査では、14.90歳にまで伸びていました。

平均寿命がこの約40年でほぼ2倍に伸びた背景には、「良質なペットフードの開発と普及」「室内飼育の普及」「獣医療の発達」「飼い主の意識の変化(飼い犬から家族の一員へ)」などが挙げられるでしょう。

最近、人の健康寿命で注目されている「フレイル(虚弱)」は、犬にも起こります。加齢と共に身体機能・筋力・体力が徐々に低下し、まだ介護が必要ではなくても放置していると寝たきりに近づいてしまう段階です。

もし、シニア犬に対して下記のように考えているのであれば、愛犬の健康寿命には良くない影響を与えているかもしれません。

  • 年をとったのだから、痩せてきても仕方がない
  • 年をとったのだから、すぐに疲れたり息が切れたりしても仕方がない
  • 愛犬が嫌がるなら、無理をさせずに穏やかに過ごさせるのが一番だ

では、愛犬のフレイルを防ぎ、健康寿命を伸ばすためのコツを具体的に見ていきましょう。

シニア犬に長生きしてもらうコツ

犬用スロープを慎重に降りる犬

1.シニア犬の食事管理

健康寿命を左右する鍵は、「食事と筋肉」です。犬のフレイルの主な原因は、加齢に伴う筋力の低下や筋肉量の減少が引き起こすサルコペニア(筋肉減少症)で、その結果転倒や歩行困難が起こります。

愛犬の体は、食べたものによって作られます。加齢で食欲が落ち、健康な体を維持するための栄養を十分に摂取できなくなると、サルコペニアに陥るリスクが高まります。

シニア用の栄養価の高いフードに切り替える、ウェットタイプの総合栄養食に切り替えて温めることで香りを立たせて食欲を刺激するなど、愛犬の食欲をかき立てる工夫をして、必要な量を食べてもらえるようにしましょう。

逆に食べ過ぎてしまう場合は、1回の給餌量を減らして給餌回数を増やし、空腹時間を減らしたり、食事以外の楽しみを作って食欲以外に気を逸らせたりするといった工夫をしてみましょう。

2.散歩を”苦痛”にしないための工夫

良質なタンパク質を食べただけでは、筋肉はできません。必要な栄養を与え、しっかりと動かすことで筋肉ができるのです。犬の運動の基本は毎日の散歩です。しかし、関節炎などを発症して痛みが出ている状態では、せっかく好きだった散歩も苦痛にしかならないでしょう。

獣医師の指導のもと、運動の前後に軽いマッサージや関節の可動域を広げる曲げ伸ばし(ストレッチ)を取り入れ、痛みの軽減や転倒予防を行いましょう。また症状に応じて動物病院を受診して、痛みをコントロールしてあげることも大切です。

シニア犬の体調は天候などに左右され、日々コンディションが変わります。その日の体調に合わせた散歩コースのカスタマイズも大切です。例えば自宅を中心に、放射線状に短い距離で「遠ざかるコース」と「近づくコース」を複数用意しておき、体調に合わせて組み合わせれば、途中で体調が崩れてもすぐに家に戻れるので安心です。

3.散歩を”楽しみ”にするための工夫

散歩は楽しいものでなければなりません。愛犬にとって、散歩が1日で最も楽しい時間になるようにしましょう。

公園などを利用して遊ぶ時間を作るのも良いでしょう。若い頃のようにボールを追いかけるなどの激しい遊びはできないかもしれませんが、気になるニオイを思う存分嗅がせるだけでも、愛犬は十分に楽しめるはずです。

また歩くことがおぼつかなくなった場合も、ペットカートなどに乗せて外に連れ出しましょう。外のニオイを嗅いだり、いろいろな音を聞いたり、仲良しの犬友達と挨拶をしたりするだけでも、楽しい時間になるはずです。

4.”できない”とあきらめない

病気やケガとは異なり、加齢による身体機能の低下は、ある日突然「できなくなる」ということはありません。足元がふらつく、ジャンプの高さが低くなるなどの変化が現れても、環境を整えることで、自力または介助付きでできる場合もあることを忘れないでください。

<環境調整の例>

  • 食事の際の頚椎負担軽減のため、食器の位置を高くする
  • 視力低下による移動時の安全確保のため、家具の配置を変えない
  • 移動時の安全確保のため、階段などの危険な場所は柵やゲートで制限する
  • 筋力低下の支援として、床の滑り止めや段差解消のためのスロープを設置する

5.動物病院を最大限に活用する

シニア期に入ると、腎臓病・心疾患・関節症・腫瘍などの慢性疾患やケガのリスクが高まります。若い頃以上に動物病院との付き合いを大切にし、最大限に活用しましょう。予防注射、寄生虫駆除は若い頃と同様に継続しましょう。その上で、血液検査や画像検査を含んだ健康診断を、年に2回以上に増やしましょう。

また、毎日のスキンシップと愛犬の様子の観察は、若い頃以上にしっかり行いましょう。普段の様子をしっかりと把握できていれば、ちょっとした変化にも気付けるようになり、適切なタイミングでかかりつけの獣医師に相談できるようになるでしょう。

まとめ

カートの老犬と若い犬の散歩

加齢によりできることが限られてきたとしても、楽しい時間を増やしてあげることで、シニア犬にも幸せに暮らしてもらえるはずです。環境を整えることで、愛犬のできることを少しでも維持できるようにサポートしてあげましょう。

また歩けなくなってもカートでの散歩を続ける、仲の良い人や犬友達との交流を続ける、スキンシップの時間を増やすなど、できる範囲で愛犬の楽しい時間を増やして、楽しく暮らしてもらいましょう。それが、シニア犬の若さを保つことにもつながるはずです。

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