寒さに強い犬種5選

寒さに強い犬種の多くは寒い地域が原産で、「ダブルコート」と呼ばれる二層構造の被毛を持っています。この被毛は、密度が高く保温性に優れた柔らかいアンダーコート(下毛)と、皮膚を保護し撥水性のある硬いオーバーコート(上毛)で構成されています。
ここでは、このダブルコートの被毛を持った寒さに強い犬種を5つご紹介します。
1.柴犬
柴犬は、天然記念物に指定されている日本犬の中で最も小さく、長年日本国内で不動の人気を誇っています。最も身近な日本犬と言えるでしょう。
何世紀もの間山岳地帯で暮らし、猟犬として活躍してきた歴史があり、短いながらも密度の高いダブルコートの被毛が寒さから身を守ります。この被毛のおかげで、柴犬は雪の中でも元気に駆け回ることができるのです。
2.サモエド
ロシア(シベリア地方)が原産のサモエドは、古くからシベリアに住む遊牧民族サモエド族にソリ犬や狩猟犬、トナカイの番犬として飼われていました。
ふかふかのダブルコートの被毛に覆われており、その被毛は分厚いだけでなく、雪がつきにくい性質も持っているため、極寒の地でも活躍できます。サモエド族たちが室内で寝る際には、サモエドを暖房代わりに用いたとも言われています。
純白の美しい被毛と、「サモエド・スマイル」と呼ばれる愛らしい表情が魅力的です。
3.シベリアン・ハスキー
シベリアン・ハスキーは、シベリアの北東部に住んでいたチュクチ族に飼育されていた作業犬で、ソリやボートを引く仕事をしていました。
保温性の高いダブルコートの分厚い被毛と抜群のスタミナを持ち合わせているため、厳しい寒さの中でも長時間活動することができます。極寒に耐えて作業できることを買われ、北極点探検や南極探検に同行した歴史もあります。
シベリアン・ハスキーは、寒さに強い犬種の代名詞と言っても過言ではありません。
4.秋田犬
『忠犬ハチ公』で有名な秋田犬は、昭和6年(1931年)に天然記念物に指定されています。天然記念物に指定されている日本犬の中で、唯一の大型犬です。
マタギと呼ばれる猟師に同伴していた猟犬をルーツに持ち、江戸時代から明治時代にかけては闘犬として育成されました。現在は、飼い主への忠誠心が高い家庭犬として飼われています。
柴犬と同様に、秋田犬も保温性に優れた密度の高いダブルコートの被毛を持っており、寒さに対する耐性が非常に高いです。
5.バーニーズ・マウンテン・ドッグ
スイス原産のバーニーズ・マウンテン・ドッグは、ベルン州の山岳地帯で牧畜犬や荷車を引く犬として活躍していました。現在でも牧畜犬や作業犬として活躍しているほか、温厚で優しい性格であるため、家庭犬としても親しまれています。
長くふさふさとした被毛は、密度の高いダブルコートで寒さに非常に強く、寒い季節も屋外で元気に動き回る姿が見られます。
寒さに強い犬種を迎える際に知っておくべきポイントは?

寒さに強い犬種は魅力的な犬種が多いですが、飼育するうえで注意すべき点がいくつかあります。ここからは、寒さに強い犬種を迎える際に知っておくべきポイントを3つご紹介します。
1.抜け毛が多い
寒さに強い犬種の特徴であるダブルコートの被毛は抜け毛が多く、こまめなブラッシングが必要になります。
特に春と秋の換毛期には、ごっそりとアンダーコートが抜けるため、毎日の念入りなブラッシングが必須です。ブラッシングを怠ると、被毛が絡んで通気性が悪くなり、皮膚が蒸れて皮膚病の原因となります。
また、日々抜け毛が床に落ちたり、ソファなどに付着したりするため、掃除機や粘着ローラーでのこまめな掃除も欠かせません。
2.熱中症リスクが高い
寒さに強い犬種は、暑さに弱い傾向があります。特に日本の高温多湿な夏には極めて弱く、熱中症になるリスクが高くなります。そのため、夏場は徹底した暑さ対策が必要になります。室内ではエアコンを使って常に涼しい室温を保ち、散歩は早朝や夜間の涼しい時間帯に行うようにしましょう。
また、呼吸が荒い、よだれが多い、歯茎の充血といった熱中症の初期症状を見逃さないようにすることも重要です。
3.防寒対策が必要なこともある
寒さに強い犬種だからといって、必ずしも防寒対策が不要とは限りません。個体差や健康状態によっては、防寒対策が必要になります。
室内飼育が基本となっている現代では、暖房の効いた快適な環境に犬の身体が慣れてしまい、本来の耐寒性が低下していることが少なくありません。また、体温調節機能が未発達な子犬や衰えている老犬は、寒さに弱いです。病気療養中の犬も体温調節機能が低下しやすいため、注意が必要です。
「寒さに強い犬種だから大丈夫」と思い込まずに、必要に応じて寝床にブランケットを置いたり、散歩の際は防寒着を着せたりといった防寒対策をしましょう。
まとめ

今回は、寒さに強い犬種を5つご紹介しました。ご紹介した犬種以外にも寒さに強い犬種はたくさんいますが、共通して抜け毛が多く、熱中症リスクも高いです。また、個体差や健康状態によっては防寒対策が必要になることもあります。
寒さに強い犬種を飼いたい場合は、これらのポイントを理解したうえで、生涯にわたって必要なケアをできるかをよく考えてから迎えるようにしましょう。



