犬を運動させてはいけないタイミング5選

犬にとって運動は健康の源ですが、体の状態や環境によっては“休ませること”が最善のケアになる場合もあります。ここでは、運動を控えるべき代表的なタイミングを5つ紹介します。
1.手術直後・ケガの回復期
手術のあとやケガの治療中は、傷口や関節に負担をかけないよう安静が第一です。動きすぎると傷の治りが遅くなる可能性や、再出血・再発のリスクが高まります。
散歩は獣医師の許可が出てから、短時間・平地で様子を見ながら再開しましょう。
2.熱中症のリスクがある高温多湿の日や暑さが厳しいとき
夏場のアスファルトは人が思う以上に高温になり、肉球のやけどや熱中症の危険があります。特に日中の散歩は避け、早朝や日没後の涼しい時間帯を選びましょう。
暑さで息が荒くなったり、よだれが増えたときはすぐに休ませてください。
3.心臓病・呼吸器疾患・腎臓病など持病があるとき
持病がある犬は、少しの運動でも体に大きな負担がかかることがあります。呼吸が苦しそうだったり、咳が出る、歩くのを嫌がったりする場合は無理をさせないでください。
獣医師と相談しながら、体調に合わせた軽い運動(短い散歩や軽いストレッチ)にとどめましょう。
4.成長期・関節がまだ未成熟な子犬の激しい運動
子犬は関節や骨が発達途中のため、ジャンプや階段の上り下りなど激しい運動はNGです。繰り返すことで関節に負担がかかり、将来の変形性関節症につながることも。
遊ぶ時間は短めに区切り、柔らかい床や芝生など滑りにくい環境を選びましょう。
5.ワクチン接種直後や体調がすぐれないとき
ワクチンを打った直後は、体が一時的に疲れたり免疫が下がることがあります。また、食欲がない・元気がないなど体調がすぐれない日も無理に運動させないでください。
休ませて様子を見て、1~2日経ってから元気が戻れば、軽い散歩から再開しましょう。
日常生活で気をつけるべきポイント

犬を健康に保つためには、特別な運動メニューよりも毎日のちょっとした気づかいが大切です。ここでは、日常生活で意識したいポイントを紹介します。
体調の変化を見逃さない
食欲・排泄・歩き方・呼吸など、いつもと違う様子が見られたら、まずは安静に。小さな変化でも「おかしいな」と思ったら、その日は運動を控えるようにしましょう。
元気そうに見えても、犬は不調を隠すことが多いため、観察が何よりの健康チェックになります。
体調や年齢に合わせたペース配分を
シニア犬や子犬、持病のある犬は体力や筋力が異なります。他の犬と同じペースで歩かせたり走らせたりせず、その子に合った距離と速度を意識しましょう。
「少し物足りない」くらいで終えるのが、長く健康を保つコツです。
犬が遊びたがる場合は「ノーズワーク」を
安静が必要なときでも、遊びたがる犬もいます。そんなときは、体を動かすよりも鼻を使って楽しめる“ノーズワーク”がおすすめです。
おやつをタオルやカップの下に隠して探させるなど、嗅覚を使う遊びなら体への負担も少なく、
頭を使うことで満足感も得られます。体調や年齢に合わせて、無理のない遊び方でストレス発散をさせてあげましょう。
無理に運動を続けると体にどんな影響が出る?

犬は痛みや不調を我慢しやすい動物なので、体調が悪い状態で無理に運動を続けると、気づかないうちに体へ負担を蓄積してしまうことがあります。ここでは、無理をさせた場合に起こりやすい体への影響を見ていきましょう。
関節・骨・筋肉への負担
疲労がたまった状態で走り回ると、筋肉の損傷や関節の炎症を起こすことがあります。特にシニア犬や小型犬、成長期の子犬は、関節が弱くケガをしやすいため注意が必要です。
一度傷めると慢性的な痛みにつながることもあるので、少しでも歩き方が不自然ならすぐに休ませましょう。
心臓・呼吸・代謝系への悪影響
暑い日や体調不良時に激しく動くと、心臓や呼吸器に強い負担がかかります。
呼吸が荒い、舌が紫がかっている、動かなくなるといった症状が出たらすぐに運動を中止し、涼しい場所で休ませましょう。そのまま放置すると、熱中症や心不全の悪化など命に関わるケースもあります。
免疫低下や回復の遅れ
手術後やワクチン接種後に無理をすると、免疫機能が低下し回復が遅れることがあります。元気に見えても体の中ではまだ回復中の可能性があるため、しっかり休ませて体力を戻すことが大切です。
まとめ

運動と休養のバランスを取ることは、犬の健康維持に欠かせません。痛みや疲れのサインを見逃さず、その日の状態に合わせて運動量を調整することが大切です。
「無理をさせない」ことが最も効果的な予防ケアであり、長く健やかに過ごすための基本となります。



