犬が抱っこをおねだりする理由5つ

犬が自分から抱っこを求めてくるとき、そこにはさまざまな感情や理由が隠れています。ここでは、その主な心理状態を詳しく見ていきましょう。
1.甘えたい・愛情を感じたいから
もっともよくある理由が「甘えたい」という気持ちです。飼い主に密着することで安心感を得たり、愛情を感じたりして、心を満たそうとしているともいえます。
とくに飼い主に強い信頼を寄せている犬ほど、甘え方として「抱っこ」を選ぶ傾向があります。
2.不安や恐怖を感じて安心したい
雷や花火の音、人混みや知らない場所などに不安を感じたとき、「高い位置=安全」と感じる犬も少なくありません。
怖い思いをしているときに「抱っこして」と寄ってくるのは、飼い主を信頼して頼ろうとしているサインです。
3.疲れている・体調が悪い
長時間の散歩や運動のあと、またはなんとなく元気がない日などに、歩くのを嫌がって抱っこを求めることも。
普段はしないのに急に抱っこをせがむ場合は、痛みや不調があるサインかもしれませんので、注意深く観察しましょう。
4.構ってもらいたい・注目されたい
家事やスマホに集中していると、犬が抱っこを通じて「私を見て!」「こっち向いて!」とアピールすることがあります。これは要求行動のひとつで、可愛いけれど対応の仕方にはメリハリが必要です。
5.寒い・床が冷たい・環境が不快
床が冷たい・湿っている・周囲が寒いなど、その場の環境が不快であることが理由で抱っこを求めるケースもあります。
特に寒がりな犬や短毛種に多く、「安全であたたかい場所に行きたい」という本能的な欲求からくる行動です。
可愛いからといっていつでも応えてOK?

犬が「抱っこして」と甘えてくる姿は、飼い主にとって何よりも愛おしいものです。しかし、そのたびに無条件で応えてしまうと、犬のためにならないケースもあります。
犬はとても賢く、行動と結果をすぐに結びつけて学習します。「抱っこをせがめば、いつでも願いが叶う」と覚えてしまうと、それが“わがまま”や“依存”として強くなっていく可能性があります。
- 歩きたくないから抱っこしてもらう
- 吠えれば抱っこしてもらえる
- 不安を感じたらすぐ飼い主に頼る
このような行動が習慣化すると、自分で状況に向き合ったり、感情をコントロールする力が育ちにくくなります。
これは「甘えるのは悪いこと」という話ではありません。大切なのは、“飼い主の判断で抱っこをする”という主導権を保つことです。
たとえば、落ち着いて待てたときに抱っこする、吠えずに静かに寄ってきたときに応える、飼い主が声をかけてから抱き上げるといったように、飼い主側のペースやルールに沿って応じることが、犬にとっても安心感を与える関わり方になります。
甘えさせること自体は悪くありませんが、しつけとのバランスを意識することで、犬の自立心や感情の安定にもつながっていきます。可愛さに流されず、「この子の心を育てる関わり方かどうか」を考えながら接することが大切です。
抱っこに応えるときの注意点

抱っこは愛情表現であると同時に、体への負担や誤った学習を避ける配慮も大切です。以下のポイントに注意しながら、正しく応えてあげましょう。
正しい抱き方を心がける
犬の足がぶら下がった状態だと不安定でストレスになります。お尻と胸をしっかり支えて、安定した姿勢で抱いてあげましょう。
長時間の抱っこは控える
特に子犬やシニア犬、小型犬は長時間の抱っこで関節や腰に負担がかかることも。こまめに降ろして、無理のない範囲でスキンシップを取るようにしましょう。
抱っこを「ご褒美化」しすぎない
吠えたり騒いだときにすぐ抱っこしてしまうと、「この行動をすれば構ってもらえる」と誤解する可能性があります。静かに待てたときなど、落ち着いた行動に対して応えるよう意識しましょう。
安全な場所とタイミングを選ぶ
外出先では、飛び降りや興奮による事故のリスクも。周囲の状況を確認し、安全な場所で落ち着いて抱き上げることが大切です。
まとめ

犬が抱っこを求めてくるのは、甘えたい・安心したい・不調を感じている・不快な環境から逃れたいなど、さまざまな気持ちが理由になっています。飼い主がその意図をくみ取りながら、ルールを持って接することで、犬も安心して甘えられるようになるでしょう。
可愛いだけでなく、信頼関係の深まりを感じられる“抱っこ時間”。犬の心に寄り添いながら、心地よいスキンシップを積み重ねていけるといいですね。



