犬を甘やかしすぎることで起こるリスク5つ

「甘やかすこと=悪いこと」ではありません。しかし、ルールを設けずに何でも許してしまう接し方は、犬にとって不安や混乱の原因になることがあります。
ここでは、甘やかしすぎによって起こりやすい5つのリスクを紹介します。
1.おやつや人間の食べ物の与えすぎ
つい「かわいいから」と与えてしまうおやつや、飼い主の食べ物――これが日常的になると、肥満・関節炎・心臓病など、生活習慣病のリスクが高まります。
2.要求行動がエスカレートする
犬の「ちょうだい」「遊んで」の要求に毎回応えていると、吠えれば何でも叶うと学習してしまいます。結果、要求吠え・無駄吠え・噛みつきなどの問題行動が増えることも。
3.しつけが曖昧になり混乱を招く
ルールがあいまいな環境では、犬は「何が良くて何がダメか」を判断できず、しつけが入りにくくなります。その結果、指示に従わず自分勝手に振る舞う可能性があります。
4.依存傾向や分離不安の悪化
四六時中べったりしていると、犬は飼い主がいない状況に強い不安を感じるようになります。これが「分離不安」につながると、留守番中にパニックになったり、体調を崩すことも。
5.他の犬や人に慣れにくくなる
甘やかされて過ごしていると、他の犬や人と接する機会が少なくなり、社会性が育ちにくくなることも。その結果、散歩中やドッグランでの吠え・逃げ・威嚇などのトラブルが起こりやすくなります。
なぜ“愛情”が逆効果になるのか?

「かわいいからつい甘やかしてしまう…」そんな気持ちは自然なことですが、過度な優しさが犬にとって負担になるケースも少なくありません。
ここでは、甘やかすことで起こりうる誤解や問題行動の原因について解説します。
「自分の方が上」と誤解することも
吠えれば構ってもらえる、ねだればおやつが出てくる――そんな経験を重ねると、犬は「自分の要求は通るもの」と思い込んでしまいます。
その結果、「飼い主より自分が上」と勘違いし、わがままや攻撃的な行動へつながることがあるのです。
我慢や判断する力が育たない
なんでも言うとおりになる環境では、犬が「待つ」「諦める」といった大切な状況判断を学ぶ機会が失われてしまいます。些細なことにも過剰に反応する、感情の起伏が激しい性格に育つ可能性も否定できません。
飼い主が“頼れる存在”に見えなくなる
本来、飼い主は犬にとって「安心して頼れるリーダー」であるべき存在。ところが、常に犬の要求に応じていると、「この人は自分の言いなり」と誤解され、指示に従わなくなるケースも出てきます。
甘やかさずに愛情を伝える「ちょうどいい距離感」

大切なのは、甘やかさない=冷たくするではないということ。
犬の気持ちを尊重しながら、安心できるルールや関わり方を持つことが“本当の愛情”につながります。
スキンシップは「犬のペース」に合わせて
撫でたり抱っこしたりするときは、犬が求めているタイミングに合わせること。嫌がっているのに無理に構うのは、逆効果になってしまいます。
日常に「待つ・我慢する」時間も取り入れる
おやつや遊びの前に「おすわり」「まて」など、ちょっとしたルールをつけることで、犬の気持ちも安定しやすくなり、信頼関係が深まります。
必要なときには毅然とした態度も大切
甘噛み・吠え・飛びつきなどの困った行動には、優しくても毅然とした対応が必要です。その場でしっかりと「ダメ」と伝え、落ち着いた態度をとることで、犬にも安心感が生まれます。
まとめ

愛犬をかわいがる気持ちはとても大切ですが、甘やかしすぎることが犬の幸せにつながるとは限りません。ルールのない環境は、犬にとって不安定でストレスの多いものにもなり得ます。
「やさしさ」と「しつけ」は両立できます。犬にとって分かりやすく、安心できる関係性を築くことが、長く幸せに暮らすための鍵になるはずです。



