犬の知られざる能力5選

人間の100万倍とも1億倍とも言われる嗅覚をはじめ、聴覚や視覚、体力、持久力などについても、犬には驚くべき能力が備わっています。さらには、人間が気づかないわずかな変化を察知することも可能です。ここでは、犬が持つ知られざる5つの能力を詳しく紹介します。
1.病気・体調の変化を察知する
人間の病気の兆候や体調の変化を察知できる犬がいます。糖尿病やてんかんの前兆、ガンの兆候などニオイで察知できると言うのです。人間の発する呼気、体臭、汗のニオイの変化を感知していると考えられています。
犬が糖尿病患者が低血糖を起こす前に異常な行動をした、てんかんを起こす前に犬が察知して飼い主さんに知らせたなどの報告があります。また、早期の皮膚ガンや乳ガンを発見したとの報告も。
2.暗い場所でもよく見える
犬の視力は0.2〜0.3と人間と比べると劣りますが、その代わりに薄暗い場所でもよく見える目を持っています。
犬の目には「タペタム」と呼ばれる光を反射する層があります。タペタムは、取り込んだ光を反射して増幅する働きを持っており、入ってきたわずかな光を視神経に届けます。このタペタムの働きで、犬は人間が必要とする光の量の約4分の1から5分の1程度の弱い光でも、暗闇で周囲を見渡すことができるのです。
夜の散歩や薄明かりの室内でも安全に行動できるのはこの能力のおかげです。また、写真で犬の目が光って見える現象もタペタムの働きによるものです。
3.嗅覚は人間の100万倍~1億倍
犬の嗅覚は、人間の100万倍から1億倍も敏感だと言われています。そのため、人間にはほとんど感じ取れないニオイも犬にははっきりわかり、特定の物質や人のニオイを嗅ぎ分けることができるのです。
犬は視力が弱いため、優れた嗅覚を活かし、さまざまなニオイを嗅ぎ分けて周囲の状況を判断しています。例えば、ほかの犬のおしっこのニオイを嗅ぐことでその犬の年齢や性別、健康状態までも嗅ぎ分けることが可能です。また、8kmも離れた場所にいる発情中のメスのニオイを察知できるとも言われています。
そのため、柔軟剤、香水、タバコなど強いニオイを苦手とする犬も多いようです。
4.人間よりも広い範囲の音を聞き取れる
犬の聴覚は人間よりもはるかに優れており、私たちには聞こえない高音域まで感知できます。人間の可聴範囲が約16ヘルツ~2万ヘルツであるのに対し、犬は約65ヘルツ~5万ヘルツまで聞き取れると言われています。さらに、犬は耳の向きを自在に変えられるため、音の方向や距離を正確に判断できるのです。
そのため、遠くで鳴る雷の音や車のエンジン音をいち早く察知したり、飼い主さんが帰宅する足音を聞きつけて玄関で出迎える犬もいるのだとか。
犬の聴覚は、まさに日常生活において頼れる「早耳センサー」と言えるでしょう。
5.持久力とスピードが速い
犬は持久力と瞬発力に優れた動物です。なかでも猟犬や作業犬は、高い持久力と強靭な脚力を持っています。
特に、ハウンド系の犬は走るのが速く、グレーハウンドが時速72kmを記録しています。また、持久力は犬ゾリを引くシベリアンハスキーやアラスカンマラミュート、馬車を守っていた護衛犬のダルメシアンなどが優れているでしょう。
こうした能力は、現代の犬たちにも受け継がれており、広い場所での運動やスポーツ競技などで、そのパワーとスピードを存分に発揮しています。
日常で活かせるタイミングとは?

犬が持つ優れた感覚や身体能力は、日常生活のさまざまな場面で発揮されています。
例えば、嗅覚の鋭さを活かして、糖尿病患者の体調の変化をニオイで察知し、発作の前に知らせる糖尿病アラート犬として活躍している犬がいます。
聴覚の高さは、遠くの足音や物音をいち早く感知し、来客や異変を知らせる「防犯センサー」として活躍してくれるかもしれません。遠くから指示を出したいとき、大きな声を出せないときは、犬笛を使って指示を出すこともできます。声よりも良く反応する犬もいます。
また、日常生活とは少し離れますが、犬の聴力や嗅覚、持久力は、災害救助犬、警察犬、麻薬探知犬など私たちの生活を守るうえでも欠かせない能力となっています。
まとめ

犬の知られざる能力は、単なる本能や習性にとどまらず、人との暮らしの中で大きな力を発揮しています。鋭い嗅覚や聴覚は、飼い主さんの体調変化や来客をいち早く察知し、暗闇でも動ける視力や優れた持久力は、日々の生活を支える頼もしい力です。
こうした能力は、これからも研究や観察を通じて新たな一面が発見されていくでしょう。犬たちがさらに活躍の場を広げていく一方で、私たち人間もその力に頼りすぎず、犬の心身への負担に配慮しながら上手に寄り添っていくことが大切です。



