犬に『ご褒美』をあげない方がいい3つのタイミング

1.叱っているとき、叱った直後
「犬を叱っているときにご褒美をあげることはない」と思っている飼い主さんがほとんどだと思います。
しかし、無意識にご褒美を与えてしまっていることは、めずらしいことではありません。
ご褒美というと、「おやつ」や「おもちゃ」などのわかりやすいものをイメージする人が多いと思いますが、犬にとってご褒美になるものはそれ以外にもたくさんあります。
「ご褒美=犬が喜ぶもの・こと」のため、状況によっては飼い主さんからの声かけや体に触られることなどもご褒美になることがあります。
飼い主さんのことが大好きな犬や、コミュニケーション不足を感じている犬などは、軽く叱られる程度であれば「かまってもらえた!」と喜んでしまうことも考えられます。
飼い主さんの気を引くために、わざと怒られるようないたずらをすることもあるのです。
叱っているときに体に触れたり、優しい口調で注意したりすることは、逆効果になることもあるので注意しましょう。
2.犬が怖がっているとき
犬が何かに対して怖がっているとき、気持ちを落ち着かせようとおやつを与えたり、必要以上に優しく接したりすることもあると思います。
しかし、犬が怖がる様子を見せたときにご褒美を与えると、「怖がると飼い主さんが優しくしてくれる」「怖がっているときにおやつがもらえる」という望ましくない学習をしてしまいます。
そうしたことをくり返すと、犬が過剰に怖がる様子を見せるようになることもあるので注意が必要です。
怖いものがあるとき、それを克服するための社会化トレーニングや馴化(慣れさせること)をおこなうときにご褒美を使うのは有効です。
怖がっているときではなく、苦手なものに対峙したときに逃げたり攻撃的になったりしないときに、それをほめるためにご褒美をあげましょう。
3.犬がごほうびを要求したとき
犬にご褒美をあげるときに大切なことは、飼い主さんの意思で与えるということです。
犬がご褒美を求める行動をしているときに与えてしまうと、犬は「飼い主さんは自分のいうことを聞いてくれる」と勘違いしてわがままになってしまうことがあります。
おやつをもらうために、目の前に来ておすわりやお手などの“技”を披露したり、遊んでもらうためにおもちゃを持ってきたり、なでてもらうために頭を押しつけてきたりするのは、「要求」の行動だと考えられます。
こうした行動に毎回応じてしまうと、犬にとってそれが当然のことになってしまいます。そして、要求が通らないと飼い主さんに噛みついたりいたずらをしたりといった問題行動を起こすこともあるので注意しなければなりません。
犬のご褒美の適切な与え方

犬にご褒美を与えるのに適切なタイミングは、飼い主さんにとって望ましい行動を取ったときです。
そもそもご褒美とは、おやつやおもちゃなどの物質的なものだけでなく、声かけやスキンシップのような「犬がそのときに望んでいるもの」を指します。
反対に、ご褒美のつもりで与えていたおやつを犬が喜んでいないのであれば、トレーニングのご褒美としてはあまり意味がないかもしれません。
ご褒美にもランク付けをして、与えるタイミングによって使い分けをするといいでしょう。
これまでできなかったことが初めてできたときや、犬が自発的に考えて望ましい行動をしたときなどは、最高ランクのご褒美を与えるのがおすすめです。
そうすることで、犬は「いっぱいほめてもらえたからまたやろう!」と思って、行動が強化されるでしょう。
ただし、望ましい行動をしたらすぐにご褒美を与えるようにしないと、少し時間が経ってしまうことで、別のこととご褒美が結びついてしまう危険性もあります。気を付けましょう。
まとめ

ご褒美を与えることは、犬を喜ばせて幸福感を感じさせるだけでなく、行動の強化にも直結すると考えられています。
そのため、犬とのコミュニケーションやトレーニングに役立つ、とても重要なものなのです。
ただし、ご褒美をあげるタイミングによっては、思わぬトラブルを招く恐れもあるので、ぜひ上手に使いこなしていきましょう。



