犬が前足で顔を隠す理由5選

一見シンプルに見える「顔を隠す」仕草にも、犬なりのしっかりとした理由があります。リラックスしているときだけでなく、環境への不満や身体の違和感が隠れていることもあり、行動の背景を正しく読み取ることが大切です。
ここでは、犬が前足で顔を隠すときに考えられる主な理由を5つご紹介します。その仕草がどんな状態を意味しているのか、日常の観察に役立ててみてください。
1.リラックスや安心
犬が前足で顔を覆って眠るような仕草は、安心しているときやリラックスしたいときによく見られます。
薄暗く静かな環境でこうした行動をしているなら、「今はそっとしておいてね」という意思表示でもあります。快適に休めているサインでもあるため、無理に声をかけたりせず、落ち着ける空間を保ってあげましょう。
2.まぶしい・光を避けたい
日中の日差しや、室内の照明が強いときに前足で目元を隠すような仕草が見られる場合、まぶしさを避けたいという自然な反応である可能性があります。
就寝時や昼寝中などに見られることも多く、照明を少し落としたり、カーテンで光を調整すると落ち着くこともあります。
3.かゆみや違和感
目や顔の周りにかゆみ・違和感・異物感がある場合、前足で何度も顔をこする・隠すような動作が見られます。
一時的なものなら心配ありませんが、頻繁にこする・赤みや目やにがある・皮膚がただれているなどの症状があれば、目や皮膚の病気の可能性も考慮して、早めの受診が望ましいです。
4.不満やストレス
かまってもらえない、退屈、散歩に行けていない…そんなときに犬が見せるのが、「顔を隠す」という控えめなアピール。ストレスや不満を感じている犬は、声を出さずに行動で気持ちを伝えようとします。
スキンシップや遊ぶ時間が足りていないと感じたら、愛犬とのふれあいを増やしてみましょう。
5.風・不快感の回避
扇風機やエアコンの風が直接顔に当たっているとき、犬は本能的に顔を前足でガードすることがあります。
体が冷えすぎていないか、風向きが直撃していないかをチェックして、犬にとって快適な位置に寝床を調整してあげるとよいでしょう。
頻繁に見られる場合に考えられるリスク

犬が前足で顔を隠す仕草は、短時間で終わる場合や眠気・光の刺激といった一時的な要因であれば問題ありません。
しかし、その行動が日に何度も見られたり、習慣のように続いている場合は、心身の異変が隠れている可能性があります。以下のようなリスクに注意が必要です。
慢性的な目のトラブル
結膜炎、角膜炎、ドライアイなどがあると、犬は違和感を軽減しようとして前足で目の周辺を頻繁にこすります。
目やにが増えていたり、目が充血しているような症状があれば、早めの診察が必要です。
皮膚疾患やアレルギー反応
顔まわりにアレルギー症状や皮膚炎があると、かゆみや不快感から前足でその部分を隠したりかいたりする仕草が目立つようになります。
この状態が続くと、炎症や脱毛、出血などの二次トラブルに発展することもあります。
ストレスによる行動のクセ化
構ってもらえない、環境が落ち着かない、運動不足などによる心理的ストレスが原因で、前足で顔を隠す仕草を繰り返すことがあります。
これが習慣化すると、自分を落ち着かせるための常同行動として定着し、ストレスがさらに強まることもあるため注意が必要です。
鼻や口まわりの不快感・疾患
鼻づまりや歯周病、口内炎などによって顔まわりに不快感を感じる場合、鼻や口をかばうように顔を隠す仕草が見られることがあります。
特に食後や飲水後にこの動きが目立つ場合は、歯の痛みなどの口腔内トラブルを疑うべきサインです。
異常行動や神経的な問題の兆候
まれに、原因がはっきりしないのに同じ動きを繰り返すケースでは、神経系の異常や行動障害が関係していることもあります。
ぼーっとしながら顔をこすっている、反応が鈍い、他の異常行動も見られるといった場合は、早期の専門的な診察が望ましい状態です。
気になる仕草への適切な対応とサポート

犬が前足で顔を隠すときは、まず「いつ・どこで・どんなふうに」行っているかをよく観察しましょう。眠いときや眩しい場所で一時的に見られるだけなら、特に心配はいりません。
ただし、同じ動作を何度も繰り返す、目や鼻のまわりをしつこくこする、ほかにも気になる症状があるといった場合は、体の不調やストレスが隠れている可能性があります。照明や風向き、寝床の位置など、環境を見直すだけで落ち着くこともあるので、まずは身のまわりを整えてみるのもひとつの方法です。
無理にかまったり、叱ったりするのは逆効果になります。必要以上に反応せず、そっと見守る姿勢が大切です。行動に違和感があるときは、スマホで動画を撮っておくと、動物病院での相談にも役立ちます。
まとめ

犬が前足で顔を隠す仕草は、リラックスしているときにも見られる一方で、不快感やストレス、体の異常が関係していることもあります。
大切なのは、「かわいい」で終わらせず、その行動の背景に目を向けること。頻度や様子を観察し、必要に応じて環境を整えたり、獣医師に相談するなど、落ち着いて対応することがポイントです。
ちょっとしたサインを見逃さず、愛犬の気持ちに寄り添うことで、健康と安心をしっかり守っていきましょう。



 
				 
					 
				 
		 
				 
				