犬に対しての「いってきます」がNGとされる理由
出かけるとき、愛犬に言葉をかけていますか?それはどんな言葉でしょうか。
- いってきます
- お留守番お願いね
- お利口さんに待っててね
- すぐに帰るからね
多くの飼い主が「いってきます」と声をかけているのではないでしょうか。すでに習慣になっている方もいるかもしれません。
飼い主にとっては愛犬への配慮や愛情表現のつもりでも、犬にとってはその何気ない「いってきます」が不安やストレスのきっかけになる可能性があります。
1.言葉の意味を理解することができない
犬は人間のように言葉の意味を理解しているわけではありません。
しかし「いってきます」という言葉と、飼い主が出かけてしまう状況が結びついて学習されることがあります。
そのため犬にとって「いってきます」は、「飼い主がいなくなる合図」として認識され、不安や寂しさを感じやすくなることがあります。
2.特別なことだと思わせてしまう
飼い主が出かけることやお留守番は、犬にとって“特別な出来事”ではなく、日常の一部として自然に受け止められることが望ましいです。
ところが「いってきます」とわざわざ伝えることで、犬は“これから特別なことが起きる”と感じてしまい、必要以上に不安を抱く原因となることがあります。
犬は本来、群れで生活する動物であり、ひとりになる経験が少ないため、お留守番自体が不安になりやすいのです。そこに「いってきます」の声かけが加わると、ただでさえ苦手なお留守番がより強く意識されてしまいます。
3.分離不安を悪化させてしまうことがある
犬は飼い主と一緒にいることで安心します。反対に、離れる時間は不安や緊張を感じやすいものです。
「いってきます」と声をかけることで、犬は“これから離れる”ことをより強く意識してしまい、分離不安の引き金になったり、症状を悪化させたりすることがあります。
分離不安の犬では、家具を噛んだり、トイレ以外の場所で排泄したり、しっぽや足を噛む自傷行為を見せることもあります。
犬に与える影響
「いってきます」の声かけは、犬に精神的なストレスを与えるきっかけになり得ます。毎日続けていると、犬は毎回不安を感じてしまう可能性があります。
そのストレスは行動に現れることがあります。家具を壊したり、トイレ以外で排泄したり、自分の体を噛んでしまうなどの問題行動です。
また、飼い主が帰宅したときに強い安堵と喜びから飛びついたり、猛ダッシュで走り回ったりすることで、脱臼や骨折といった思わぬ怪我につながることもあります。
対処法
外出直前に声をかけたりスキンシップをしたりする必要はありません。むしろ静かに出かける方が、犬にとって自然に受け入れやすいことが多いです。
犬は言葉がなくても、飼い主が外出することを日常の行動から察知しています。
その代わりに、朝の散歩を習慣にすると良いでしょう。犬にとっては嬉しいスキンシップの時間になり、飼い主を独り占めできる大切なひとときになります。
まとめ
犬に対しての「いってきます」がNGとされる理由を3つ解説しました。
- 言葉の意味を理解することができない
- 特別なことだと思わせてしまう
- 分離不安を悪化させてしまうことがある
人間にとっては愛情表現でも、犬にとっては「これから一人になる」という合図になり、不安やストレスを強める要因になり得ます。
愛犬のためには、出かけることやお留守番をできるだけ特別視せず、静かに自然に外出することが大切です。