犬から人にうつる可能性がある感染症7選
犬から人へうつる病気=人畜共通感染症(ズーノーシス)は、犬とのふれあいが身近な日本でも無関係ではありません。
ここでは、特に注意すべき7つの感染症を紹介し、特徴や感染経路について解説します。
1.狂犬病(きょうけんびょう)
致死率が非常に高いウイルス感染症で、感染するとほぼ100%命に関わります。
日本では撲滅されていますが、海外では今も多く発生しており、輸入犬や旅行者の咬傷からの感染リスクもゼロではありません。
2.レプトスピラ症
レプトスピラ菌に感染した犬の尿に触れることで、人にも感染します。感染すると発熱、頭痛、筋肉痛、肝臓や腎臓の障害を引き起こすことがあり、水辺や多湿な場所での感染に注意が必要です。
3.SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
マダニを媒介とするウイルス感染症で、犬がウイルスを体に持ち帰り、人へ媒介する可能性があります。高熱、下痢、出血などの重い症状が出ることもあり、致死率も高く、特に高齢者は注意が必要です。
4.皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
犬の被毛や皮膚に付着したカビ(真菌)により、脱毛や皮膚炎が起こる感染症です。人間にも感染しやすく、特に子どもや高齢者では赤み・かゆみ・脱毛などの症状が出ることがあります。
5.回虫症・瓜実条虫症
犬の体内に寄生する虫の卵や虫体が、糞便などを通じて人に感染します。特に回虫は幼児の眼や内臓に移行することもあり、土や芝生などの接触に注意が必要です。
6.パスツレラ症・カプノサイトファーガ感染症
犬に咬まれた傷口から細菌感染が起こることがあり、傷の腫れ、発熱、まれに敗血症や壊死を引き起こすこともあります。免疫力が低い方ほど重症化のリスクが高まります。
7.犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)
フィラリアとして知られる寄生虫で、犬から蚊を介して人にうつったという報告があります。人に感染した場合は肺や皮下にしこりができることがあり、手術が必要になるケースもあります。
普段からできる予防法と飼い主が注意すべきこと
犬との生活で人への感染リスクをゼロにすることは難しいですが、日頃の習慣を見直すだけで大きく軽減することができます。ここでは、家庭でできる具体的な予防法と注意点を紹介します。
感染を防ぐための生活習慣の見直し
散歩後の足拭きや、排泄物の早めの処理、犬に触れたあとの手洗いを習慣にしましょう。犬の口や顔を過剰になめさせないことも感染予防につながります。
犬の健康管理(ワクチン・駆虫・清潔)
狂犬病ワクチンはもちろん、混合ワクチンやノミ・ダニ・寄生虫対策もしっかり行いましょう。定期的なシャンプーや動物病院での健康チェックも忘れずに。
触れ合い時に気をつけたいこと
犬が顔をなめてくれるのは可愛くても要注意です。食器を共有するのはやめましょう。傷口があるときは特に接触を控え、清潔な状態で接することが大切です。
赤ちゃんや高齢者がいる家庭での注意点
免疫力の弱い家族がいる場合、感染症の影響が大きくなる可能性があります。犬と過ごす空間やおもちゃは清潔に保ち、なるべく接触時間を短めにする配慮も必要です。
万が一うつったかも?と思ったときの対応
犬に噛まれたり、接触後に体調不良が出た場合は、自己判断せずすぐ医療機関へ。感染症の種類によっては、早期治療が回復のカギとなります。
まとめ
犬との暮らしには癒しや喜びがたくさんありますが、その一方で「人畜共通感染症(ズーノーシス)」というリスクも隣り合わせにあります。狂犬病や寄生虫、皮膚感染症など、身近な接触が原因で人にも健康被害が及ぶことがあるのです。
大切なのは、過度に怖がるのではなく、予防と清潔を意識すること。ワクチンや健康管理、日々の触れ合い方に気をつけるだけで、多くの感染症は防ぐことができます。犬も人も安心して一緒に暮らせるよう、正しい知識と対策を身につけておきましょう。