犬がおとなしくしているときの心理
1.疲れて満足している
落ち着きのない犬は、運動不足や飼い主さんとのコミュニケーション不足などが原因で、ストレスが溜まっていることが多いです。そのため、ちょっとしたことにも過剰に反応したり、自分の要求を通そうと過剰なアピールをしたりしてしまうのです。
しかし、飼い主さんが愛犬とたっぷり散歩をしたり遊んだりした後は、心身ともに満足し、心地よい疲労感を感じながら静かに過ごしていることが多いです。ただ疲れただけではなく、欲求を発散できて満足感に包まれているはずです。
2.苦手な存在がいないので落ち着いている
ご家族の中に苦手な存在がいて、常に警戒しているために落ち着かないというケースもあります。犬は予測不能の行動をする人や、いつもしつこく絡んでくる人などを苦手とするため、特に小さなお子さんが対象になることも多いです。
お子さんが成長して幼稚園や小学校に通うようになり、その時間帯になると落ち着いて過ごせるというケースもあります。
3.飼い主への信頼感が失われつつある
多くの犬にとって、最も楽しみなのが「食事」と「散歩」です。そのため、飼い主さんが食事や散歩の支度を始めると、期待に胸を膨らませながら「早くちょうだい!」「早く行こうよ!」と興奮気味にアピールをする犬も少なくありません。
もしそんな犬が、飼い主さんに何もアピールをせず、静かにしている場合は、いつも期待に応えてくれない飼い主さんに対して、信頼感を失っているサインかもしれません。
4.体調がすぐれないのを隠している
犬は、自分の体調がすぐれないことを隠そうとします。そのため、飼い主さんから離れた場所でじっとしながら犬が静かにしている場合は、体調がすぐれないのを隠している可能性があります。
5.飼い主さんのしつけの成果
愛犬を落ち着いた犬に育てたいと思い、環境を整えたりしつけをしたりと、日々苦労を重ねている飼い主さんも多いことでしょう。その効果が現れて、愛犬が落ち着いて過ごせる時間が増えてきているという可能性もあります。
犬がおとなしくしている時の行動に隠された意味や接し方のポイント
1.疲れて満足している時
飼い主さんと一緒に十分なお散歩や運動ができ、満足している犬に対しては、特に何もする必要はありません。静かにゆっくりと休ませてあげましょう。
ただし、普段から愛犬と一緒に過ごす時間を作り、ストレスが溜まらないような生活習慣を作りましょう。飼い主さんのちょっとした工夫と努力で、愛犬は穏やかな気持ちで毎日を健やかに過ごせるようになるはずです。
2.苦手な存在がいないので落ち着いている時
苦手なご家族が大人であれば、怖がらせない接し方を心がけてもらう、ご飯やおやつはその方があげるようにするなど、「良い人」と思われるような接し方に変えてもらいましょう。
お子さんの場合は、犬との上手な付き合い方を教えるとともに、どうしても行き過ぎてしまう場合は間に入って仲介しながら、お子さんと愛犬の両方の成長を促しましょう。
どうしても関係改善ができない場合は、過ごす空間を隔離し、直接接する機会を減らすということもやむを得ないかもしれません。
3.飼い主への信頼感が失われつつある時
放置すれば、問題行動を引き起こすようになる恐れもあります。どんなに忙しくても、毎日必ず愛犬と向き合う時間を作り、良い関係を構築しましょう。
4.体調がすぐれないのを隠している時
食べる様子や食事・飲水の量、排泄の回数や排泄物の状態、呼吸の様子、歩き方などを注意深く観察し、少しでも「体調不良」が疑われる場合は、早めにかかりつけの動物病院で診察してもらいましょう。
5.飼い主さんのしつけの成果が出ている時
成果が出始めたことで満足せずに、トレーニングを継続しましょう。常に居心地の良い環境を作り、新しい良い体験を増やしていくことで、何事にも動じない、穏やかで社会性のある犬に育てましょう。
落ち着きのない愛犬を落ち着いた犬にするためにできること
愛犬を落ち着きのある犬に育てたい場合は、まず信頼してもらうことが大切です。どんなに忙しくても、毎日愛犬と向き合う時間をしっかり作り、日々のコミュニケーションの中で心の絆を育んでいきましょう。
「オスワリ」「マテ」「フセ」「ハナセ」などの指示に従えるよう、基本のしつけも大切です。遊びや食事の際に興奮した場合は一旦中断し、「オスワリ」などの指示に従ってクールダウンできたら再開します。こうして「落ち着いていられたら要求が叶う」ということを覚えてもらうのです。
まとめ
落ち着きのない犬は、ちょっとしたことにも興奮し、飼い主さんの言葉が耳に入らなくなって事故につながることもあるため、愛犬を落ち着いた犬に育てることは大切なことです。
しかし、いつも落ち着きがないのに突然おとなしく過ごしている場合も、安心はできません。中には、飼い主さんへの信頼が完全に失われたり、体調がすぐれないのを隠しているサインだったりすることもあるからです。
普段から愛犬のことをよく観察し、家族としての絆を深め、社会化トレーニングを継続することで、愛犬を社会性に富んだ落ち着きのある犬に育てましょう。