犬は人間の「悲しみ」を理解できるのか
犬は人間の様子からさまざまな感情を読み取ることができます。ある研究によれば、人間の顔の表情を認識し、笑顔や怒りといった感情の違いを理解できることが明らかになっています。
また、声のトーンの変化から、喜びや怒り、悲しみといった感情を判断することも可能です。長く一緒に暮らすことで、飼い主さんの日々の習慣や感情のパターンを学び、気分の変化を察知する精度が高まるとも言われています。
さらに驚くべきことに、犬は感情によって人間が出すニオイの変化をも感じ取ることができます。たとえば、人間が悲しみを感じると特定のホルモンが分泌されますが、犬はそのニオイを感じ取り、感情の変化を察知していると考えられています。
これらの複合的な情報から、犬は人間の「悲しみ」を理解できると言えるでしょう。
飼い主が悲しんでいるときに見せる犬の行動
飼い主さんが悲しんでいるとき、犬は様々な方法で慰めようとします。最もよく見られる行動が、顔を舐めたり、体を擦り寄せたりして飼い主さんに寄り添うことです。これは、安心感を与えようとする犬なりの行動です。
飼い主さんが泣いている際には、静かに隣に座ってじっと視線を合わせたり、そっと寄り添ったりして、さりげなく慰めてくれることもあります。なかには、まるで人間のように飼い主さんの肩や膝に前足をかけて、慰めのジェスチャーを見せる犬もいます。
また、犬は赤ちゃんが泣いているときにも、そっと近づいて寄り添うことが知られており「大丈夫だよ」「安心してね」という気持ちを伝えていると考えられています。
これらの寄り添うような行動は、飼い主さんの気持ちを理解し、共感しようとする犬の心理的な反応だと言えるでしょう。
飼い主を慰めているときの犬の心理
犬が飼い主さんを慰める行動をする際の心理は、愛情と共感に基づいています。犬は飼い主さんとの深い絆を築き、感情に深く共感する能力を持っています。そのため、悲しむ飼い主さんに対してそばにいることで安心させてあげたいという強い思いが働いているのでしょう。
また、飼い主さんの状況を理解し、それに寄り添おうとしているとも考えられます。たとえば、体を擦り寄せる行動は、単なる愛情表現だけでなく、飼い主さんの状態を気にかけ、その感情に同調しようとしているサインです。
泣いているときにそっと近づいてくる行動も、状況を理解し、共感しようとする犬ならではの優しさと言えるでしょう。
犬は群れで生活する動物としての本能で、苦しんでいる仲間に対して支えようとする性質を持っているとも考えられます。そのため、飼い主さんが悲しんでいることを察知し、本能的に寄り添い、安心させようとしているのかもしれません。
まとめ
犬は飼い主さんの感情に非常に敏感で、悲しみや怒りなどの感情を汲み取ることができます。そのなかでも「悲しみ」を感じ取ったときには、さまざまな行動を通して慰めようとします。
たとえば、そばに寄り添う、顔や手を舐める、体を擦り寄せるなどの行動は、犬の深い共感や飼い主さんへの愛情のあらわれでもあります。
犬のこうした行動は決して偶然ではなく、飼い主さんとの強い絆から生まれるものです。だからこそ、愛犬が寄り添ってくれるときには、その気持ちに感謝し、しっかりと応えてあげることが大切です。