犬がおもちゃを離さないときの心理
1.まだ遊びたい
遊んでいる最中におもちゃを引っ張られたとき、犬がなかなか離さないのは、単純に「もっと遊びたい」「まだ終わりにしたくない」と思っていることが多いでしょう。
遊びが好きな犬がいつまでも遊びたいと思うのは当然のことですし、飼い主さんが「そろそろおしまいにしよう」と思っていてもそれを理解するのはむずかしいでしょう。
そのため、飼い主さんが遊びをおしまいにしようとしておもちゃを取ろうとしても、簡単に離してくれないのはごく当たり前のことです。
2.誰にも渡したくない
犬がおもちゃを離さないのは、遊びに対する欲求だけでなく、物に対する所有欲による行動である場合もあります。
所有欲や独占欲の強さは犬によって異なりますが、自分が持っているものを取られそうになれば、ほとんどの犬が多少なりとも抵抗感を持つでしょう。
また、犬はおもちゃを一度取られてしまうと、もう自分のところには返ってこないと思っている場合もあります。人間の言葉を正確には理解できないため、「今渡してもまたあとで戻ってくる」ということがわかっていないことがあるのです。
3.引っ張りっこのつもり
犬がおもちゃをくわえているときに、引っ張って取り上げようとすると、犬は“遊んでいるつもり”になってしまうことがあります。
犬は持っているものを引っ張られると反射的に引っ張り返してしまう習性があるため、相手に引っ張られると離すことができなくなってしまうのです。
これは狩猟本能の一種で、獲物を追って捕まえたあと、引っ張ったり振り回したり噛みちぎったりします。獲物が逃げようとするほど、より一層力を入れて噛んだり引っ張ったりするので、おもちゃの場合も頑なに離さなくなってしまいます。
遊んでいる最中に飼い主さんは終わりにするつもりでグイグイとおもちゃを引っ張っても、犬は“楽しい遊び”が続いていると勘違いしてしまいがちです。
安全に離してもらうコツや対処法
ごほうびとの交換
犬に安全におもちゃを離してもらうために、まずは「ちょうだい」「離せ」「OFF」などの合図でくわえているものを離すことを覚えさせることが必要です。
この練習をするときは、大のお気に入りのおもちゃは使わないようにすることがポイントです。
所有欲や執着心が強く働くもので練習するとむずかしいので、まずは“そこそこ好きなもの”で練習しましょう。
「離せ」など言葉の合図を出したあと、おもちゃをくわえている犬の鼻先におやつを握った手を持っていき、においを嗅がせます。
犬が口を開けたらすぐにおもちゃを受け取り、そのままおやつを与えましょう。
こうしたおもちゃを離したことに対してごほうびを与えることで、「離すことも悪くない」と思わせます。
さらに、今まで遊んでいたおもちゃをもう一度犬に渡して遊ばせると、より効果的です。そうすることで「おもちゃを渡しても遊びが終わるわけではない」ということを覚えさせるのです。
練習の中でおやつを与える頻度を減らしたり、おもちゃ遊びを終わらせたりといったことをランダムにおこない、おもちゃを離すことへの抵抗感を減らしていきましょう。
無理やり奪うのはNG
おもちゃを離してくれないからといって、力づくで奪い取ったりだまし討ちのように取り上げたりするのはNGです。
このような対応をすればするほど、犬はおもちゃをはじめとした自分のものに対する所有欲を強めてしまうでしょう。
飼い主さんに対しての信頼も薄れてしまい、「近くにいるといつおもちゃを奪われるかわからない」と思って警戒心を持たれてしまうこともあります。
また、飼い主さんが手を出すと噛むようになってしまうこともあるので、トラブルを避けるためにも無理やり奪うことは避けるようにしてください。
かまってもらいたい犬は無視
犬がくわえているおもちゃを引っ張ってもらおうとすると、犬は“引っ張りっこ”で遊んでいるつもりになってしまうことがあります。
また、おもちゃを取ろうとして犬を追いかけ回すと、“追いかけっこ”をしているつもりになることもあるでしょう。
飼い主さんにかまってもらいたい、もっと遊びたいという思いが強い犬の場合、おもちゃを離さないときはあえて無視するのもひとつの手です。
知らんぷりすることで、犬はつまらなくなっておもちゃを口から離して遊びをやめることがあります。
このとき、犬が離したおもちゃに急いで飛びつかず、時間をおいてから片付けるようにしましょう。
まとめ
犬がおもちゃを離してくれないのは、ごく自然なことですが、そのままにしておくと思わぬトラブルを招く可能性もあります。
そのため、犬がおもちゃを離さないときの心理を性格や状況から見極めて、それに適した対応を取ることが大切です。
愛犬のお気に入りのおもちゃで楽しく遊びながらも、スムーズにおもちゃの受け渡しをして遊びを切り上げられるように教えてあげましょう。