犬のボディーコントロールの重要性
「ボディーコントロール」とは、犬が「体のどこを触られても平気でいられる状態」のことを指します。
ここで大切なのは「飼い主なら触れる」ではなく、「誰が触っても平気」ということです。これができているかどうかで、日常生活や健康管理のしやすさが大きく変わります。
動物病院で診察を受けるとき
体調を崩したりケガをしたとき、体のどこを触られても大丈夫でなければ、十分な診察や治療が受けられないことがあります。
実際に、筆者の愛犬もレントゲンや超音波検査を受けられなかった経験があります。ボディーコントロールができていない場合、獣医師が「検査が難しい」と判断することがあります。
トリミングサロンを利用するとき
トイプードルやシーズーなど、定期的なお手入れが欠かせない犬種にとってもボディーコントロールは必須です。
カットでは刃物を使うため、動き回ったり嫌がったりすると犬やトリマーがケガをするリスクが高くなります。その結果、サロンで断られてしまうこともあるのです。
日々の生活の中で…
歯磨き、ブラッシング、抱っこ、肉球のお手入れなど、これらすべてができるのはボディーコントロールが身についているからです。
もちろん「手を触られるのはちょっと苦手」という犬もいます。でも、噛んで抵抗したり強く嫌がらなければ大きな問題はありません。爪切りや肉球クリームでのケアもできるでしょう。
一方で、触られるのを嫌がって噛んでしまう場合は、しっかりとボディーコントロールの練習をしてあげる必要があります。
犬のボディーコントロールの習得に役立つ手順
1.触られて「平気な部分」と「嫌な部分」を知ること
まずは愛犬が「触られて嬉しい部分」「嫌がる部分」を知ることから始めましょう。
嬉しい部分から触って慣れてもらうのがコツです。いきなり嫌がる部分から練習すると、かえって苦手意識が強くなってしまうことがあるので注意してください。
2.触られて嫌な部分に優しくタッチしてご褒美を与える
嫌がる部分を軽くタッチしながら「タッチ」と声をかけ、できたらすぐに褒めておやつを与えます。
ほんの一瞬触れるだけでも構いません。最初は手を引っ込めてしまうかもしれませんが、それでもOKです。
「タッチ→褒める→ご褒美」という流れを繰り返し、少しずつ撫でる時間や範囲を広げていきましょう。
嫌がって唸ったり歯を見せても、叱るのはNGです。ただし、咬みつこうとしたときだけは「ダメ」「いけない」と教えてください。
3.寝転んでいるときに触る
犬が横になっているときや仰向けになっているときは、とても無防備な状態です。このタイミングで苦手な部分を触れるようになると、さらに安心感が育ちます。
声をかけながら優しく触ることがポイント。無言で触ると犬を驚かせてしまうので注意しましょう。
ただし、ケージやベッドで休んでいるときや眠っているときは練習の時間ではありません。リラックスしている時間はそっとしておきましょう。
まとめ
多くの犬には「ここは触られるのがちょっと苦手」という部分があります。
無理に触らせるのは逆効果ですが、少しずつ慣らしてどこを触られても大丈夫な状態にしておくことは、健康や安全を守るうえで欠かせません。
焦らず、楽しみながら少しずつ。飼い主の優しいサポートが、愛犬の安心につながります。