耳は犬の重要な情報発信装置!
犬は、姿勢や目、口、しっぽなどを使って、表情や仕草で自分の感情を相手に伝えます。ボディランゲージです。実は、耳もそのボディランゲージを構成するパーツの一つです。
まずは、愛犬が普段リラックスしているときの耳の位置や状態をよく覚えておきましょう。そうすれば、普段の状態を基準にして、耳の様子から愛犬の次のような感情を察知することができるようになります。
- リラックスしている
- 何か気になるものがある
- 不安や恐怖などのネガティブな感情が湧いている
- 困ったり腰が引けたりしている
- 喜びなどのポジティブな感情が湧いている
- 相手と仲良くなりたがっている
- 甘えている
今回は、SNSなどに投稿されている写真でも人気の高い、犬の耳が飛行機の羽を広げているような状態に見える「ヒコーキ耳」のときの、犬の心理について探ってみましょう。
犬がヒコーキ耳をするときの心理
1.リラックスしている
一般的には、犬が普段の状態のときの耳が、リラックスしている証です。耳に力が入らずにゆったりとしている状態です。それに対してヒコーキ耳は、耳に力が入っているような状態です。
しかしヒコーキ耳でも全身に力みがなく、顔の表情も穏やかでしっぽをゆったりと振っている状態であれば、それもまたリラックスしている状態だと考えられます。
2.仲良くなりたい
耳が頭に張り付くほどではないものの、横または後ろに下がったように倒れていて、かつ柔らかな表情をしながら近づいてきた場合は、仲良くなりたいという気持ちを表していることが多いです。
近づいていく相手が飼い主さんであれば、「お帰りなさい」などの挨拶をしに、また見知らぬ人であれば「友達になりたいな」というような気持ちを持っていると考えられます。
3.とても嬉しい
ヒコーキ耳をしながら口角を上げている状態であれば、それはとてもポジティブな気持ちを表していることが多いでしょう。例えば飼い主さんが自分のご飯を用意していることを察知したときや、飼い主さんが長い外出から帰ってきた気配を感じた時などです。ヒコーキ耳と合わせて目を細めたり、しっぽを大きくゆったりと振っていることが多いでしょう。
4.甘えたい・頭を撫でてもらいたい
耳をぴったりと寝かせたように倒し、口角を上げた笑顔のような表情で、しっぽを下げたり相手を舐めようとしているときは、甘えたがっているときです。特に頭を撫でてもらいたい時には、頭に張り付くほどのヒコーキ耳にすることがあります。
5.不安・緊張・恐怖
耳を頭に張り付くように倒し、硬い表情をしたり、しっぽを股の間に挟んでいたり、全身が強張るように力が入っていたりする場合は、ネガティブな感情を強く感じているサインです。垂れ耳の犬の場合はヒコーキ耳にできませんが、耳で何かを包んでいるような形に見えることがあるので、それを目安にすると良いでしょう。
犬の気持ちを見分けるためのポイント
耳の状態だけを見ていては、愛犬の感情を正しく汲み取ることはできません。ボディランゲージは、全身の様子や愛犬の視線の先などを総合的に見ながら判断する必要があります。
ヒコーキ耳と合わせて注目したい、耳以外のパーツのサインをいくつかご紹介しておきます。
リラックスしている
- 口を半開きにしている
- 全身に余計な力が入っていない
口を半開きにし、全身に余計な力が入っていない状態です。
嬉しい
- しっぽを大きく左右に振る
- 相手のことを上目遣いで見る
しっぽを大きく左右に振ったり、相手のことを上目遣いで見たりします。
甘えたい
- 目を細める
- 口を半開きにしている
- ゆっくりと歩く
目を細め、口を半開きにしたままゆっくりと歩きます。
好意的な気持ち
- 相手と視線を合わせようとしない
- 自分の体の側面を相手に見せる
- 相手の口や鼻を舐めようとする
相手と視線を合わせようとせず、自分の体の側面を相手に見せ、口や鼻を舐めようとします。
威嚇や敵意
- 唸り声を上げる
- 歯を見せる
- 鼻に皺を寄せる
唸り声を上げ、歯を見せたり、鼻に皺を寄せたりします。
不快・緊張・恐怖
- 目を細める
- 震える
- 自分の鼻を舐める
- しっぽを股の間に挟むように下げる
- しっぽを下げたまま小刻みに振る
目を細めたり震えたりします。また、自分の鼻を舐めたり、しっぽを股の間に挟むように下げるだけでなく、下げたまま小刻みに振ったりします。
まとめ
犬の耳は、立ち耳、半立ち耳、垂れ耳に分類できます。特にヒコーキ耳が目立ちやすい(視覚的に分かりやすい)のは、立ち耳の犬たちです。具体的には、柴犬、秋田犬などの日本犬や、シベリアン・ハスキー、ポメラニアン、チワワ、パピヨンなどです。
ただし、該当する犬種なのにあまりヒコーキ耳にならないからといって、心配する必要はありません。犬は、ヒコーキ耳以外にも、体のさまざまなパーツを総合的に使って感情を表してくれます。日頃から愛犬の様子をよく観察する習慣をつけると、だんだんと愛犬の気持ちが分かるようになってくるはずです。