犬は霊や鬼を祓う存在
日本において、犬は古来より邪気を祓う存在と考えられていました。犬が何もない虚空に向かって吠えるのは、そこに存在する邪気、悪霊であったり鬼であったりを祓うためとされていたのです。
今でも妊娠すると戌の日にお参りをする風習がありますが、これは多産・安産の犬にあやかると同時に犬の力で邪気を払ってもらう意味があります。また赤ちゃんのお宮参りの際、額に「犬」の字を書くアヤツコという風習も赤ちゃんを犬に見立てることで鬼から守ろうというのが起源です。
このように古来から人間は犬に「不思議な力」を見出していました。そしてそれは、私たちを「守ってくれる力」であったということも、犬と人間の深い関係性を示すものかもしれません。
人間に見えないものが見えるのは確か?犬が持つ特別な能力
では、犬には本当に霊感があるのでしょうか?それは定かではありません。
しかし「人間には見えないものが見えている」「人間には感じることのできないものを感じている」ことを霊感と呼ぶのであれば、確かに犬には霊感とも呼ぶべき特別な能力があります。
鋭い嗅覚
犬の嗅覚は人間の1億倍ほど優れていると言われています。これは鼻の中の匂いを感じとる部分である嗅上皮の面積が広く、嗅細胞の数も多いことに由来します。この力は警察犬や麻薬探知犬などの使役犬としても活用されています。
優れた聴覚
嗅覚と同様、聴覚も犬のとりわけ優れた五感の1つです。遠くの音が聞き取れることはもちろん、人間には聞こえない周波数の音も感知することができます。犬を呼び寄せるための「犬笛」の音が人間には全く聞こえないことは有名です。突然犬が何かに反応したような仕草を見せたときは、犬にだけ聞こえる音を感知しているのかもしれません。
UV波が見える
卓越した嗅覚・聴覚に比べて、犬の視覚はあまり発達していません。しかしその代わりに人間には見ることのできないUV波、いわゆる紫外線が見えているという説があります。UV波はいわゆる電磁波の一種ですが、幽霊もこのUV波を発しているのでは?という仮説が囁かれています。つまり、UV波が見える=幽霊が見える=霊感がある、の方程式が成立するかもしれないのです。
地磁気を感じる
犬がうんちをする前にクルクルと回ることがありますよね。理由は定かになっていませんが、犬はうんちをする際に、体を南北の軸に沿わせる傾向があるという研究報告があります。クルクル回るのは地球の磁場である地磁気を探す行動で、まさに方位磁針のように方角を判断しているのです。この地磁気を感じる力は犬の帰巣本能にも影響していると考えられています。
まとめ
今では愛玩動物としての立ち位置が強くなった犬ですが、かつては番犬として家や村を守るために飼われていました。泥棒などの外敵の侵入を感知したり防いだりするのはもちろん、悪霊や鬼を祓ってくれる意味もあったのでしょう。
愛犬が何もないところに向かって吠えていると怖くなってしまいますが、「あ、今、悪いものを払ってくれたんだな」と思うと逆に安心できるかもしれませんよ。