法的な義務
犬の飼育に関わる法律として「動物愛護管理法」と「狂犬病予防法」の2つがあり、ここには飼い主が果たすべき義務事項が定められています。
違反すると罰則が科せられる場合もあります。また自治体によっては犬の飼育に関する独自の条例を設けていることもあるので、犬を迎える前にしっかり把握しておくことが大切です。
自治体に畜犬登録を行う
狂犬病予防法により、生後91日以上の犬を飼いはじめた人は30日以内に所在地の市区町村に畜犬登録を行わなければいけません。
登録は飼いはじめたときの1回のみで、登録を行うことにより鑑札が交付されます。鑑札は登録がある証でもあり迷子札の役目もあるので、原則として首輪などに装着して犬から肌見離さないようにしなくてはなりません。
毎年狂犬病予防接種を受ける
市区町村に畜犬登録を行うと、毎年、狂犬病予防接種の案内が届くようになります。狂犬病はいったん感染すると致死率が高いうえ、人にも感染する恐ろしい人畜共通感染症です。
日本は世界でも数少ない狂犬病清浄国ですが油断は禁物です。必ず年に1度の狂犬病予防接種を受け、注射済票の交付を受けましょう。
マイクロチップを装着する
犬の飼育に関する義務として令和4年6月から追加となったのがマイクロチップの装着です。これによりペットショップやブリーダーから購入した子犬には原則としてマイクロチップが装着されている状態となったため、譲り受けた場合には情報の変更登録を行う必要があります。
かけがえのない命のための責任
法律に定められていることだけ守ればいいのかといえば、もちろんそうではありません。たとえ法律違反に当たらなかったとしても、小さな尊い命を預かる以上、そこには大きな責任が伴います。
日々のお世話を怠らない
日々適切な量の、栄養バランスの摂れた食事を与えること、お散歩でしっかり運動させること、飼育環境を清潔に保つこと。これらの基本的なお世話を怠ることはネグレクトに当たり、立派な虐待行為です。衣食住が満たされない犬は幸せとは言えません。
最低限のしつけを行う
人間社会で暮らす以上、愛犬には最低限のしつけを行う必要があります。それは周囲に迷惑をかけないためでもあり、愛犬自身が社会に受け入れられるためにも絶対に欠かせないことです。
「オテ」や「オマワリ」などの芸ができる必要は一切ありません。アイコンタクトがとれて呼び戻しができ、「オスワリ」「フセ」で行動を制御することができること、そして、排泄のしつけをしっかりすることが最低限の責任です。
予防医療を受ける
体調が悪くても言葉で訴えることができない愛犬の健康を守ることは飼い主に課された責任です。狂犬病予防注射は法律でも定められた義務ですが、それ以外にもフィラリア症の検査と予防薬の投与、混合ワクチンの接種は毎年必要な予防医療です。
予防医療でほぼ100%防ぐことのできる病気はたくさんあります。予防医療を怠ったことで病気に罹患させるようなことは防がなくてはなりません。
最期のときまで一緒に過ごす
犬と暮らすことの最大の責任、それは、最期のときまで一緒に過ごすことです。犬はいくつになっても子犬のように無邪気で純粋です。けれど確実に人間より早く年老いてしまいます。
介護が必要になることもあるでしょう。それでもしっかり責任を持って最後までお世話することを覚悟する必要があります。人間の都合で途中で飼育放棄をするようなことは絶対にあってはいけません。
まとめ
犬と暮らす飼い主さんの義務、それは一言でいえば「愛犬を幸せにすること」です。愛犬が傾けてくれる無償の愛を裏切らないよう、強い覚悟と誓いをもって愛犬と向き合わなければなりません。