危険な植物『ノギ』とは
毎年多くの犬に被害を出している危険な植物『ノギ』ですが、名前を聞いてピンと来る人はあまりいないのではないでしょうか。
実は『ノギ』という名前の植物があるわけではありません。『ノギ』とは、イネ科の作物や雑草の穂の先にある、細長いヒゲの付いたやじり状の突起のことです。
これはそもそも成熟した実を外敵から守るためにあるものですが、まさにその「外敵から守る」機能が強烈で、犬にも影響を及ぼしています。
刺さると体の中に入っていってしまう
ノギは被毛にくっつきやすいだけでなく、ひとたび犬の体に刺さると奥深くに入り込んでいってしまい、自然に排出されることはありません。
そのため、体に刺さったほんの小さなノギ1つをとるために局所麻酔や全身麻酔が必要になることもあり、治療には愛犬の大きな負担を伴います。
ノギは体のさまざまなところに刺さる
ノギが刺さってしまう箇所としては、足の指の間や肉球の間などが多いですが、耳の中や目の中、時には口の中などさまざまなところに刺さります。お散歩から帰ったら急に同じ場所を気にして掻いたり舐めたりしているといった場合には、患部をよく見てあげましょう。
また上述の通り、下手に取ろうとするとかえって奥に入り込んでしまうこともあるため、難しいと思ったらすぐに動物病院に相談することをオススメします。
『ノギ』の被害から愛犬を守るために
草むらにむやみに入らない
草むらの中を歩くのが好きな犬は多いですよね。愛犬が自然の中で楽しそうにしているのを見るのは、飼い主さんにとっても微笑ましいひと時ですが、何が生えているかわからない草むらにはむやみに入らせないことが大切です。特にイネ科の植物の穂が見えている場合にはすぐに引き返しましょう。
また、特に夏場は暑い時間帯を避けて散歩することが多いと思いますが、暗くなって草の種類の判別が付かない状態で草むらに入らせることも危険です。
服や靴を着用して散歩する
根本的にノギが刺さらないようにするために、服や靴を着用してお散歩するのも1つの方法です。またノギは耳の中に入ってしまうケースも多いため、垂れ耳の子で慣れているようであれば、ごはんの時に耳が汚れないように着用するターバンやスヌードを巻くのも良いでしょう。
長毛種の子の場合は、被毛を短めにカットしてもらうのもリスク低減につながります。
まとめ
実際に被害に遭ったことがないと「どこにでも生えているような雑草で、そんな大げさな」と思ってしまいがちなノギ被害ですが、麻酔及び手術が必要と聞くとゾッとしますよね。
ノギに限らず、マダニや有毒生物など、草むらには危険がたくさん潜んでいます。ご紹介したような対策をとることはもちろんですが、万が一被害に遭ってしまった際に早めに気づくことができるよう、お散歩の後は愛犬の体を入念にチェックするようにしましょう。