行動の変化には理由がある
これまであまり甘えるようなそぶりを見せなかった犬が、急に甘えてくることがあります。飼い主さんにとって甘えられることは気分の悪いことではないため、あまりその変化を気にすることなく、ただかわいがってしまうかもしれません。
しかし、行動の変化には必ず何らかの理由が隠されているはずです。中には、飼い主さんに対するSOSのサインも含まれていることでしょう。問題行動ではないからと気にせずにそのままにしてしまうのではなく、愛犬の変化に気付いたら、ぜひその理由を考える習慣を身につけてください。
理由が分かれば、愛犬の気持ちに寄り添った適切な対応を取れるようになるでしょう。
愛犬が急に甘えてくるときの心理
1.不安を感じている
甘えん坊の犬に限らず、大抵の場合、犬は大好きな飼い主さんのそばにいることで安心できます。そのため、普段はあまり甘えてこない犬が急に甘えてきた場合には、何か「不安」を抱えている可能性を考えてみましょう。
雷や打ち上げ花火などの大きな音が聞こえて怖くなった、体調が思わしくないことに不安を感じている、高齢化により今までできていたことがだんだんできなくなってきたり身体機能が低下して周囲の情報を把握できなくなってきていることに不安を感じているなど、「不安」と言ってもその内容はさまざまです。また、不安の原因が1つだとも限りません。
最近の状況や愛犬の様子からしっかりと原因を究明し、適切な対処法をみつけましょう。
2.気を引きたい
例えば仕事が忙しくなった、赤ちゃんが生まれたなど、ライフスタイルの変化に伴い、愛犬に向き合う時間が取れなくなってくることがあります。飼い主さんが自分を気にしてくれる時間が減ると、犬は「愛情がなくなった」と感じます。そして飼い主さんの気を引き、愛情を取り戻そうと甘えるようになることがあります。
例えば散歩の時間だけはしっかりと愛犬に向き合うなど、どんなに忙しくても、愛情の深さは変わらないことを示してあげましょう。
3.要求したいことがある
飼い主さんに対して何か要求したいことがある場合に、犬はそれを「甘える」という行動で伝えようとすることがあります。要求したい内容は、食事や散歩の催促、一緒に遊びたいなど、さまざまです。
特に、以前甘えた仕草を見せて要求を叶えてもらったことがあるという経験を持つ犬は、再び同じ要求を叶えてもらうために、同じような甘え方で飼い主さんに要求を伝えることがあります。
急に甘えてきた犬への適切な対応方法
不安を解消させる
多くの場合、犬が甘えてくるときは、何らかの不安を抱えていることが多いようです。甘えることで少しでも不安を解消したいのでしょう。愛犬が抱えている不安を突き止め、きちんとその不安を解消させてあげることが大切です。
外的な刺激に「恐怖」を覚えている場合は、その刺激が緩和されるような環境を整えたり、近くに寄り添って声をかけることで不安を和らげたりしてあげましょう。
高齢化による不安の場合は、愛犬の状態に合わせて少しでも過ごしやすくなる住環境を整えたり、食事や排泄など、今までのようにはできなくなったことに対して介助を行い、生活の質を維持させてあげましょう。
病気や痛みなどの体調不良が疑われる場合は、できるだけ速やかに動物病院に相談することも大切です。
過保護は控える
何か要求したいことがあって甘えているとか、気を引きたくて甘えている場合、気を付けたいのは「過保護」にはならないことです。愛犬の要求を何でもきいてしまったり、仕事の手を止めてまで相手をしたりしてしまうと、自分の要求を全くコントロールできないわがままな性格になってしまう可能性があるからです。
家族として共に快適に暮らしていくためのルールをきちんと教えるのは、飼い主さんの役割です。ルールが理解できれば、愛犬も安心して過ごせるようになります。
まとめ
急に愛犬の行動がこれまでとは変わってしまった場合、それが問題となるような行動であればすぐに原因を突き止めて対処しようとするものですが、特に問題行動ではない場合、そのまま気にせずに見過ごしてしまうことも多いでしょう。
しかし、行動の変化には必ず何らかの理由があります。今まであまり甘えてこなかった愛犬が、急に飼い主さんに甘えてくるようになったという変化も、その裏には必ず理由があるのです。
愛犬の気持ちの変化やSOSのサインを見過ごさず、適宜適切な対処を積み重ねていくことが、愛犬の生活の質を保ちます。愛犬の気持ちを完璧に読み取ることは難しいですが、積極的に寄り添う気持ちになることで、愛犬との絆がより強いものになっていくでしょう。