犬が「ストレスを感じている」ときにみせる6つのサイン
1.過剰な行動
犬がストレスを感じている時、普段は見られない過剰な行動が増えることがあります。具体的には、無駄吠えや遠吠えが頻繁になったり、家具や物を破壊する行動が増えたりすることなどです。
これらは、有り余るエネルギーや不安を発散しようとするサインだと言われています。また、トイレの失敗が増える、同じ場所を執拗に舐め続ける、尻尾を追いかけるなどの常同行動もストレスの表れです。
このような行動は、犬が不満や緊張を抱えていることを示しており、飼い主がその原因を理解し、適切な対応をとることが求められます。特に常同行動は、放置すると強迫性障害に発展する可能性もあるため注意が必要です。
2.活動の変化
ストレスは、犬の活動性にも影響を及ぼします。通常よりも元気がない、動きたがらない、寝ている時間が極端に増えるといった活動性の低下は、精神的な落ち込みや体調不良のサインかもしれません。
一方で、落ち着きがなく、常にソワソワしている、興奮しやすくなったなど、活動性の亢進が見られることもあります。これは、不安や緊張が高まり、自力で気持ちを落ち着かせることができない状態です。
散歩中に急に立ち止まったり、逆にリードを強く引っ張るようになったりするのも、ストレスによる活動性の変化の一例と言われています。犬の普段の活動レベルを把握し、変化に気づくことが重要です。
3.人や他の犬への態度
ストレスを抱えた犬は、人や他の犬への態度にも変化を見せることがあります。以前は友好的だったのに、急に唸る、噛みつくなど、攻撃性が増加することも。
これは、不安や恐怖から自分を守ろうとする防衛反応の表れです。逆に、人や他の犬との交流を拒否したり、隠れたり、引きこもりがちになったりすることもあります。
また、飼い主に対して過剰に甘えるようになり、一時的にでも離れるとパニックになる分離不安のサインとして現れることもあるので注意深く観察しましょう。
これらの変化は犬が心のバランスを崩している証拠であり、不安やストレスを抱えている可能性が高いです。
4.食欲の変化
犬の食欲も、ストレスのバロメーターになることがあります。ストレスを感じている犬は、ごはんを食べなくなったり、食べる量が著しく減ったりすることがあります。
好きなものでも口にしない場合は、精神的な不調が原因である可能性が高いです。一方で、急激にごはんを食べる量が増える、早食いになるといった過食の症状が見られることもあります。
これは、ストレスによる衝動的な行動や、心の隙間を埋めようとするサインとして現れることがあるようです。人間で言う「やけ食い」と同じ気持ちかもしれませんね。
また、食べ物ではないものを口にする「異食行動」も、ストレスが原因である場合があります。食欲の変化は、体調不良だけでなく、精神的なストレスのサインの可能性もあるので、日々の食事量は必ず確認するようにしましょう。
5.生理的なサイン
ストレスは、犬の生理機能にも影響を与え、目に見える形で現れることがあります。
精神的な緊張や不安が高まると、体が震えたり、硬直したりすることがあります。これは、人間でいう「身がすくむ」ような状態です。
また、呼吸が速く、浅くなる、あるいは「あえぐような呼吸」が見られることもあります。緊張や興奮が高まると、よだれの量が増えることもあるので確認してみましょう。
さらに、下痢や嘔吐といった消化器系の不調も、ストレスによって引き起こされることがあります。慢性的なストレスは、脱毛や皮膚炎など、免疫力の低下による身体的な症状として現れることもあるため、これらの生理的なサインを見逃さないことが大切です。
6.見た目の変化
犬がストレスを感じていると、その見た目にも変化が現れます。特に、目の変化は分かりやすいサインのひとつです。
不安や警戒心が高まると、白目が目立つ「鯨目」になったり、瞳孔が開いたり、あるいは視線が定まらなかったりすることがあります。耳の位置も重要なサインで、ストレスを感じると、耳が後ろに倒れたり、顔にぴたりと平らに貼りついたりすることがあるようです。
姿勢も変化し、体を低くして丸まったり、しっぽを股の間に巻き込むように下げたりする場合があります。これらの微妙な見た目の変化は、犬が発する「助けて」のメッセージです。私たち飼い主が注意深く様子を観察することで、犬の心の状態を理解する手助けになるでしょう。
犬に「ストレス」を与えてしまう原因とは
環境の変化
犬にとって、環境の変化は大きなストレス源となります。例えば、引越しによる住居の変化は、見慣れない場所、新しい匂い、異なる音など、犬を取り巻く全てが変わり、強い不安を感じさせます。
また、家族構成の変化、特に赤ちゃんや新しいペットが加わることは、犬の生活リズムや飼い主からの注目が変化するため、ストレスに繋がる要因のひとつです。
工事の騒音や、雷、花火といった突発的な大きな音も、犬を極度に怖がらせ、ストレスを与えます。見慣れない来客が頻繁にある場合も、犬にとっては大きな刺激となり、落ち着きを失う原因となるでしょう。
飼い主との関係性
飼い主との関係性は、犬のストレスレベルに深く影響します。飼い主の感情が不安定だったり、過度な叱責や体罰があったりすると、犬は常に緊張し、安心感を得ることができません。
一貫性のないしつけも、犬を混乱させ、何が正しくて何が間違いなのかが分からなくなり、ストレスの原因となります。また、飼い主との絆が強く、飼い主と離れることに対して極度の不安を感じる「分離不安」も、犬に大きな精神的苦痛を与えるので注意が必要です。
飼い主の行動や態度が、犬の心の健康に直結していることを理解しておきましょう。
身体的な不調
犬の身体的な不調も、ストレスの大きな原因となります。病気や慢性的な痛みは、犬に不快感や不安を与え、それが精神的なストレスへと繋がるのです。
例えば、関節炎による痛みで思うように動けない、消化器系の病気で常に胃腸の不調を感じているといった状況は、犬の生活の質を著しく低下させ、ストレスを蓄積させます。
また、加齢による身体機能の変化も、犬にとってストレスとなることも。視力や聴力の低下、認知機能の衰えは、今まで当たり前にできていたことができなくなることで、犬に戸惑いや不安を感じさせます。
社会性の問題
犬の社会性の問題も、ストレスの大きな要因となります。子犬期の社会化不足は、他の犬や人、様々な環境に対する適切な対応力を身につけられない原因となり、新しいものや未経験の状況に直面した際に強い不安や恐怖を感じやすくなります。
他の犬や人との適切な交流の不足も、犬が社会的なスキルを学ぶ機会を奪い、結果として不適切な行動や過度な警戒心、攻撃性へと繋がることがあるのです。
逆に、過度な刺激や不適切な社会化経験も、犬にトラウマを与え、それが長期的なストレスの原因となることがあります。
まとめ
犬はストレスや不調を感じると、仕草や態度からさまざまなSOSサインを出してくれます。
分かりやすいサインもあれば、注意深く観察していなければ気づけないサインもあるので、毎日のコミュニケーションが非常に重要となるでしょう。
散歩中や食事、遊びのときなど、愛犬の仕草や表情をよく見て、ストレスのない快適な環境作りを心掛けていきましょうね。