実際に起きた悲しい事例5つ
ここでは、実際に報告された「拾い食い」が原因で犬が亡くなってしまった事例を5つ紹介します。どれも他人事ではなく、私たちの日常にも起こり得ることです。
事例1:落ちていた食べ物
ある飼い主が散歩中に気を抜いたわずかな隙に、愛犬が道端のコンビニ弁当の食べ残しのようなものを口にしてしまいました。その後すぐに嘔吐と下痢を繰り返し、動物病院へ急行しましたが、すでに体調は急激に悪化。
残飯には腐敗が進んだ食材や、人間には無害でも犬には毒性のあるタマネギが含まれていたことが判明しました。人間の「食べ残し」も、犬にとっては命を奪うリスクをはらんでいます。
事例2:竹串やつまようじなどの尖った異物の誤飲
夏祭りの翌朝、散歩中の愛犬が屋台の焼き鳥の残骸と思われる串を見つけ、くわえて飲み込んでしまいました。特に異常はないように見えましたが、翌日から元気がなくなり、嘔吐と血便が続いたため受診。
レントゲンで胃壁に刺さった竹串が発見され、緊急手術が行われましたが、出血性ショックで命を落としました。竹串やつまようじは尖っていて見えにくく、消化器を貫通する恐れがあります。予測できない拾い食いの恐怖を示す、痛ましいケースです。
事例3:除草剤や農薬の付着した雑草の誤食
郊外の住宅街を散歩していた小型犬が、草むらに鼻を突っ込みながら葉を口にする様子が見られました。何気ない行動に見えましたが、数時間後に嘔吐と痙攣を起こし、救急対応となります。
すぐに動物病院で中毒と診断されましたが、処置の甲斐なく亡くなりました。後日、雑草には除草剤がまかれていたことが確認されました。
事例4:故意に毒物が混入された食べ物の誤食
2019年、散歩中の秋田犬が草むらに落ちていたドッグフードのようなものを食べた直後から体調を崩し、腎不全で死亡しました。飼い主が不審に思い警察に通報した結果、食べ物には故意に毒物が混入されていたことが判明。
これは明らかに人為的な毒殺で、周辺でも同様の事件が起きていたことが報告されました。犬を狙った悪意ある行為は存在するという現実に、飼い主は十分注意を払う必要があります。
事例5:家庭内での誤飲
室内飼いだからと油断していた家庭での事故も少なくありません。ある家庭では、キッチンに置かれていた板チョコ1枚を愛犬が食べてしまい、テオブロミン中毒で数時間後に死亡。
別のケースでは、生のパン生地を誤食した犬の腹部が異常に膨張し、体内で発酵が進んで腸閉塞を引き起こしました。また、ぬいぐるみの綿を飲み込んでしまった犬が、消化器官を詰まらせて命を落とすなど、家庭内でも拾い食いは大きなリスクとなっています。
拾い食いを防ぐためにできる飼い主の対策
リードを短く持ち、常に犬の行動に注意を払う
拾い食いは、ほんの一瞬の油断から起こります。特に道ばたや公園には、タバコの吸い殻、食べ残し、生ゴミなど、犬にとって命に関わる危険物が落ちていることがあります。リードはなるべく短く持ち、犬が向かう先や犬の鼻先の動きに常に目を配りましょう。
スマホを見ながらの散歩や、他のことに気を取られている時ほどリスクが高まります。特に夜間や人通りの少ない道では、足元が見えづらくなるため、懐中電灯の使用なども効果的です。
「待て」「離せ」「ダメ」のしつけを日頃から徹底する
緊急時に最も役立つのが、基本的なしつけです。特に「待て」「離せ」「ダメ」といったコマンドを、日常生活の中で繰り返し教えることが大切です。おやつやおもちゃを使って「目の前にある物=すぐには口にしない」という習慣を身につけさせましょう。
成功体験を積み重ねることで、散歩中に誤って口にしそうになった時でも、落ち着いて対応できるようになります。しつけは、命を守る最前線です。
拾い食いが多発するエリアを事前に避ける
よく通る散歩コースの中には、飲食店周辺、ゴミ置き場、公園のベンチ周りなど、危険な場所が潜んでいます。拾い食いが起きやすいスポットを把握し、事前にルートを変えたり、危険エリアは抱っこで通過したりするなどの工夫をしましょう。
他の飼い主との情報交換も有効です。SNSや地域の掲示板などで「この道はゴミが多い」などの声が上がっている場所は、注意して散歩するようにしましょう。
異常があればすぐ受診する
万が一拾い食いをしてしまった場合でも、早期発見と早期処置が命を救う鍵になります。「少し元気がない」「吐いたけどすぐ元に戻った」など、些細な変化でも見逃さず、迷ったらすぐに動物病院へ連絡を。
拾い食いの内容によっては、症状が出るまでに時間がかかることもあります。普段から愛犬の健康状態を把握し「いつもと違う」を感じ取れる観察力も、飼い主に求められる大切なスキルです。
まとめ
犬の拾い食いは、一瞬の出来事で命を奪う深刻なリスクです。道ばたの生ゴミや毒物、家庭内の食品や異物など、危険は思わぬ場所に潜んでいます。実際に命を落とした事例からもわかるように、「うちの子に限って」と油断は禁物。
日頃のしつけやリードの持ち方、口輪の活用、散歩コースの見直し、体調の変化への敏感さなど、飼い主ができる対策は数多くあります。愛犬の命を守るために、今日からできることを少しずつ始めていきましょう。