犬の腰振り行動は"マウンティング"と呼ばれる行為
犬は他の犬や人間の足にしがみついて腰を振るような行動をとることがあります。これを一般的に「マウンティング」と呼びます。
マウンティングと聞くと、性的な衝動を表に出しているときに見せるイメージや、相手に対して優位性を示すときに見せるイメージが強い人も多いでしょう。
しかし、実は犬がマウンティングするときは、さまざまな心理が複雑に絡み合っていることが多く、必ずしも性的衝動や優位性の誇示が理由とは限りません。
ただし、マウンティング行為が癖になってしまうと他の人や犬に迷惑をかけてしまうので、普段からマウンティングしないようにしつけたり、コントロールできるようにトレーニングしておくことが大事です。
犬が『人間に腰を振っている』ときの心理4つ
犬が人間に腰を振っているとき、どのような心理状態が考えられるのでしょうか。行動が起こる原因や理由についても解説します。
1.遊びのお誘い
犬が遊びに誘うときに見せる行動に「プレイバウ」という頭を低く下げてお尻を上げ、左右にフリフリと振るような動作があります。実は、マウンティングも同様の意味を持つことがあるのです。
特に、飼い主や親しい人に対して「遊ぼう〜!」と誘うときは、遊びたいというワクワク感と好奇心で足にしがみつき、うっかり腰を振ってしまうことがあります。
2.遊んでいるうちの興奮が高まった
遊んでいる最中に突然、相手の足にしがみついて腰を振る犬もいます。これは、遊んでいるうちに楽しくなり、興奮が高まっている心理状態です。
高まってしまった気持ちを落ち着かせようと、興奮を発散させるためにマウンティングのような行為を見せる犬も珍しくありません。
3.葛藤からくる転位行動
葛藤からくる転位行動とは、2つの矛盾する心理が重なったとき、どのように行動すれば良いのかわからず、全く関係のない動作を行い、気持ちを落ち着かせようとする行動を指します。
例えば、初めて会った人に対して警戒心は働いているけれど、一緒に遊んでくれようとしている状況で、「遊びたいけれど知らない人だから怖い」という葛藤した気持ちが強まり、側にいた飼い主の足を使ったマウンティングを始める……という事例が該当します。
4.優位性を示している
昔からマウンティングといえば性衝動と優位性を示す意味があると言われてきました。実際、相手を「自分よりも格下の存在だ」「僕の方が優っている」と感じたときに、マウンティングして自分の強さを誇示する犬もいます。
しかし、最近の犬は社交性を養われている犬も多く、相手に対して攻撃的な意味で行動を起こす犬が減少傾向にあります。
ここまで紹介してきたような心理や理由も関係しているので、マウンティングしたからといって、必ずしも優位性を示しているとは限りません。
犬がマウンティングしてきた場合の適切な対処法
犬がマウンティングしてきた場合は、どのように対処するべきなのでしょうか。
マウンティング行為に対して大袈裟に反応してしまうと、犬は「喜んでくれた!」「この行動は正しいんだ」と思い込んでしまうため、大袈裟に反応したりおやつを与えたりすることは避けてください。
マウンティング行為が癖になっている場合は、日頃からマウンティングされたら距離をとり、落ち着くまで無視します。これを繰り返すことで、徐々に「マウンティングすると構ってもらえなくなる」「ダメなことなのかも」と理解できるようになり、次第におさまっていくでしょう。
うっかり興奮してマウンティングしてしまう場合は、日頃から「お座り」「ふせ」などのコマンドトレーニングを行い、いつどのような状況でも指示に従えるように訓練しておきます。
すると、興奮している状況下でも「お座り」「ふせ」と指示されることで、体が自然と反応して指示に従い、落ち着きを取り戻すことができますよ。あらゆる状況で役に立つので、コマンドはしっかり覚えさせておきましょう。
まとめ
いかがでしたか。犬が人間に腰を振っているときは、今回紹介したようなさまざまな心理や理由が関係しています。マウンティング行為は他者に迷惑をかけてしまうため、トレーニングやしつけを通して改善していきましょう。