犬に食べさせてもいい『春の果物』5選 絶対にしてはいけない与え方まで

犬に食べさせてもいい『春の果物』5選 絶対にしてはいけない与え方まで

春は、美味しい果物がたくさん出回る季節です。愛犬にも旬の味覚を少しお裾分けしたいと思う飼い主さんもいるのではないでしょうか。この記事では、犬に食べさせてもいい春の果物と、絶対にしてはいけない果物の与え方についてご紹介します。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

犬に食べさせてもいい春の果物5選

いちごを舐めようとする犬

春に旬を迎える美味しい果物はたくさんありますが、その中で犬に与えてもいいのはどれでしょうか?

ここでは、犬に食べさせてもいい春の果物を5つご紹介します。それぞれの特徴や注意点、与える際のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

1.いちご

冬から春にかけてが旬のいちごは、甘酸っぱさと可愛らしい見た目から、多くの人に親しまれています。犬にとっても、適量であれば安全に食べられる果物です。

いちごにはビタミンCや食物繊維が豊富に含まれ、抗酸化作用や整腸作用が期待できます。また、体内の浸透圧の調整や余分な塩分(ナトリウム)の排出をするカリウムも多く含んでいます。

カリウムは生命維持に欠かせないミネラルですが、腎臓病の犬は注意が必要です。腎臓の機能が低下していると、体内にカリウムが溜まりやすく、高カリウム血症を引き起こすおそれがあります。腎臓病の犬にいちごを与える場合は、事前に獣医師に相談しましょう。

犬にいちごを与える際は、よく洗ってからヘタを取り、小さくカットしたり、潰したりして与えてください。

いちごは水分が多く、食べすぎるとお腹を壊す可能性があります。また、犬に中毒を引き起こすキシリトールが微量ながら含まれているため、与えすぎに注意しましょう。

1日に与えるいちごの量は、下記を目安にしてください。(1粒30gの中サイズのいちごの場合)

  • 超小型犬(4kg未満):1/2粒程度
  • 小型犬(10kg以下):1粒程度 
  • 中型犬(25kg未満):2粒程度
  • 大型犬(25kg以上):3粒〜(体重によって異なる)

2.メロン

ジューシーで香り高く、甘みも強いメロンは、犬にとって魅力的な果物でしょう。メロンには、抗酸化作用のあるβ-カロテンのほか、食物繊維、葉酸、カリウムなどが含まれています。メロンは果物の中でも特にカリウムの含有量が多いため、腎臓病の犬に与えたい場合は、必ず事前に獣医師に相談しましょう。

犬にメロンを与える際は、皮と種をきれいに取り除き、果肉を小さくカットして与えてください。

メロンにはタンパク質の分解酵素である『ククミシン』という成分が含まれています。人間がメロンを食べたあとに舌や唇がピリピリしたり、喉がイガイガしたりするのは、ククミシンによって口内の粘膜が刺激されるためです。犬にも同様の反応が起こり得るため、与えすぎないようにしましょう。

1日に与えるメロンの量は、下記を目安にしてください。

  • 超小型犬(4kg未満):果肉60g
  • 小型犬(10kg以下):果肉120g
  • 中型犬(25kg未満):果肉240g
  • 大型犬(25kg以上):果肉360g

3.キウイ

独特の酸味と甘みが特徴のキウイは、栄養価の高い果物として広く知られています。ビタミンCやE、食物繊維、カリウムなど、犬の健康に役立つ栄養素が豊富に含まれています。ただし、腎臓病の犬は高カリウム血症のリスクが高いため、キウイを与えるのは、獣医師に相談してからにしましょう。

犬にキウイを与える際は、皮をしっかりと剥き、食べやすいように小さくカットして与えてください。

未熟なキウイは酸味が強く、犬の胃に負担をかけることがあるため、十分に熟したものを選んで与えましょう。また、キウイは食物繊維が豊富なため、与えすぎるとお腹を壊すことがあるので注意が必要です。

1日に与えるキウイの量は、下記を目安にしてください。(厚さ1cmに切ったキウイを1切れとした場合)

  • 超小型犬(4kg未満):22g(1切れ)
  • 小型犬(10kg以下):56g(2〜3切れ)
  • 中型犬(25kg未満):95g(4〜5切れ)
  • 大型犬(25kg以上):128g(6〜7切れ)

4.びわ

春から初夏にかけて旬を迎えるびわは、優しい甘さとみずみずしさが魅力の果物です。びわには、β-カロテンや食物繊維、鉄分などが豊富に含まれています。カリウムも豊富に含まれているため、腎臓病の犬は、与える前に獣医師に相談しましょう。

犬にびわを与える際に最も注意すべき点は、種を必ず取り除くことです。びわの種には、アミグダリンという成分が含まれています。アミグダリン自体には毒性はありませんが、動物の胃腸で分解されると、シアン化水素(青酸)という猛毒を発生させます。また、びわの種を犬が丸呑みすると、喉や腸に詰まるおそれもあります。

びわの皮も消化に悪いため、必ず剥いてから与えましょう。果肉は柔らかくて食べやすいですが、大きいままだと喉に詰まる危険があるため、小さくカットしてください。

びわは約90%が水分であり、食物繊維も豊富なため、食べすぎはお腹の不調につながります。適量を守りましょう。

1日に与えるびわの量は、下記を目安にしてください。

  • 超小型犬(4kg未満):10〜25g
  • 小型犬(10kg以下):30〜50g
  • 中型犬(25kg未満):50〜100g
  • 大型犬(25kg以上):100〜145g

5.マンゴー

トロピカルな甘さと香りが特徴のマンゴーは、国産のものが春から夏に旬を迎えます。外国産も多く流通しており、年間を通じて手に入りやすい果物です。

マンゴーにはビタミンCやE、β-カロテン、葉酸、食物繊維など、体にいい栄養素が豊富に含まれています。カリウムも多く含まれているため、腎臓病の犬は注意が必要です。

犬にマンゴーを与える際は、皮と種を必ず取り除きましょう。マンゴーの皮は消化に悪く、種は大きく硬いため、喉に詰まる危険性があります。果肉の部分を食べやすく小さくカットして与えてください。

糖質が多めの果物なので、与えすぎには注意しましょう。1日に与えるマンゴーの量は、下記を目安にしてください。

  • 超小型犬(4kg未満):およそ5〜11g
  • 小型犬(10kg以下):およそ30g以下
  • 中型犬(25kg未満):およそ50g以下
  • 大型犬(25kg以上):およそ50〜80g

犬に絶対にしてはいけない果物の与え方

お皿に鼻を入れる柴犬

季節それぞれに、犬と一緒に楽しめる果物がたくさんあります。しかし、与え方を間違えると、犬の体や健康を害する可能性があるので注意が必要です。ここからは、犬に絶対にしてはいけない果物の与え方をご紹介します。

1.種や芯、皮を取り除かずに与える

犬に果物与える際に避けるべきことのひとつが、種や芯、皮を取り除かずに与えることです。果物の種や芯には、犬にとって有害な成分が含まれていることがあります。また、種や芯、皮は消化に悪く、種や芯は喉や腸に詰まる危険性があります。

犬に果物を与える際は、種や芯をしっかり取り除き、皮も剥いてから果肉だけを与えるようにしましょう。ヘタがある果物の場合は、ヘタも取り除きましょう。

2.大量に与える

果物を好む犬は多いですが、基本的に果物は糖質が多めです。そのため、喜んで食べるからといって果物を大量に与えると、肥満の原因になるおそれがあります。

果物はあくまで『おやつ』として位置づけ、1日に必要なカロリーの10%以下に抑えて与えましょう。果物を与えた分、食事の量を調整し、カロリーオーバーにならないようにしてください。

また、初めて与える果物をいきなりたくさん与えるのも避けるべきです。アレルギー反応が起きたり、体質に合わなかったりすることがあるため、初めて与える果物は、少量にとどめましょう。嘔吐や下痢、皮膚の痒みなどの異常が見られなければ、次回から少しずつ量を増やしていきます。

なお、一般的に犬に与えてもいいとされている果物であっても、持病がある犬には与えないほうがいい場合があります。与える前に、獣医師に相談しましょう。

3.大きなまま与える

犬に果物を丸ごと与えたり、大きな塊で与えたりするのは、非常に危険です。犬は食べ物を飲み込める大きさであれば、丸呑みしてしまうことがあります。そうすると、喉に詰まって窒息するおそれがあります。

どんなに果肉が柔らかくても、必ず小さくカットしてから与えるようにしましょう。細かくカットすることで、消化もしやすくなります。

まとめ

テーブルのいちごを見つめる子犬

春に旬を迎える果物の中には、いちご、メロン、キウイ、びわ、マンゴーなど、犬に食べさせてもいいものがあります。しかし、これらの果物を犬に与える際には、種や芯、皮を取り除かずに与えたり、大量に与えたり、大きなまま与えたりしないように注意しましょう。この記事を参考に、春が旬の果物を愛犬と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。

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