犬が『痛みを感じている』サイン7選 病気を早期発見、重症化を防ぐためにすべきこととは?

犬が『痛みを感じている』サイン7選 病気を早期発見、重症化を防ぐためにすべきこととは?

愛犬の様子が「いつもと違う」と感じたとき、それは愛犬が痛みに耐えているサインかもしれません。犬は言葉で痛みを訴えることができないため、飼い主さんが日々の行動や仕草の変化を見逃さないことが大切です。この記事では、犬が痛みを感じているサインと、病気の早期発見や重症化予防のために飼い主さんがすべきことについてご紹介します。

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記事の監修

めのうアニマルクリニック院長。猫が大好きなあまり、犬と猫を分けた動物病院を開院。「犬にも猫にも優しい動物病院」をコンセプトにしています。腫瘍学を得意分野としていますが、しつけに対しても力を入れており、パピークラスを開校して子犬のトレーニングを行っています。

犬が痛みを感じているサイン7選

元気のなさそうなミニチュアシュナウザー

犬は体のどこかに痛みがあっても、人間のように「痛い」と言葉で伝えることができません。また、野生時代に敵に弱みを見せまいとしていた名残から、今も本能的に痛みを隠そうとする傾向もあります。

とはいえ、痛みを抱えている犬は、普段とは違う様子を見せます。ここでは、犬が痛みを感じているサインを7つご紹介します。

1.じっと動かずにいる

普段は活発に動き回る犬が、じっと動かない様子を見せたら注意が必要です。強い痛みや不快感がある場合、犬はなるべく体を動かさずに過ごそうとします。体を動かすことで痛みや不快感が増すのを避けようとして、じっとするのです。

犬が横たわったり丸まったりしたまま長時間同じ場所にいる場合は、動くことがつらいほどの強い痛みを抱えているのかもしれません。

2.落ち着きがなくなる

じっと動かずにいるのとは逆に、落ち着きがなくなるのも犬が痛みを感じているサインのひとつです。痛みに波があったり、痛みからくる不安や不快感があったりすると、うろうろ歩き回ったり、何度も寝場所を変えたりすることがあります。

普段の愛犬の様子と比べて明らかに落ち着きがない場合は、何らかの痛みを抱えている可能性を考慮し、注意深く観察しましょう。

3.触られるのを嫌がる

犬は痛みを抱えているとき、触られるのを嫌がって逃げたり、唸ったり、噛みつこうとしたりすることがあります。痛みのある特定の部位を触られるのを嫌がるケースもあれば、部位に関係なく触られること自体を嫌がるケースもあります。

普段は触られることを喜ぶのに、急に嫌がるようになった場合は、体のどこかに痛みを感じているサインかもしれません。無理に触ろうとせず、食欲や元気の有無を確認したうえで、動物病院を受診しましょう。

4.祈りのポーズを見せる

『祈りのポーズ』とは、前足を地面につけ、お尻を高く上げた姿勢のことです。この姿勢は、犬が強い腹痛を感じているときによく見られます。もし祈りのポーズが見られたら、早急に動物病院を受診しましょう。

祈りのポーズを見せる代表的な病気として、膵炎が挙げられます。祈りのポーズに加えて、下痢や嘔吐が見られる場合は、膵炎である可能性が高いです。

なお、『祈りのポーズ』と、犬が遊びに誘うときにする『プレイバウ』の姿勢はよく似ています。この2つを見分けるためには、犬の様子をよく観察することが大切です。プレイバウでは尻尾を軽快に振り、表情も生き生きとしているのに対し、祈りのポーズでは尻尾を振らず、つらそうな表情が見られます。

5.動作が鈍い

急な痛みではなく、関節炎などの慢性的な痛みを抱えている場合は、犬の動作が鈍くなることがあります。立ち上がりに時間がかかったり、歩くのが遅くなったりします。また、段差を嫌がったり、散歩に行きたがらなくなったりするのも、慢性的な痛みのせいかもしれません。

愛犬がシニア期に入ると、動きの鈍さを「年のせいだろう」と見過ごしてしまいがちですが、痛みを抱えているのかもしれません。愛犬の動作が以前より鈍くなったと感じたら、まずは動物病院で診てもらいましょう。適切な治療やケアを受けることで、痛みを和らげることができます。

6.特定の部位を舐める、噛む

犬は、痒みのある部位を舐めたり噛んだりすることがありますが、痛みのある部位にも同様の行動を取ることがあります。外傷による痛みに限らず、関節や神経、腫瘍など、体の内部に痛みがある場合も、痛む部位を繰り返し舐めたり噛んだりします。

見た目に傷や炎症などがなくても、愛犬が急に特定の部位を執拗に舐めたり噛んだりし始めたときは、痛みを感じているサインかもしれません。早めに動物病院を受診しましょう。

7.「キャン!」と鳴く

犬が「キャン!」と悲鳴のような短い鳴き声を上げる場合、瞬間的に鋭い痛みを感じた可能性があります。例えば、抱っこしたときに「キャン!」と鳴くのは、関節炎や椎間板ヘルニアが原因であることがあります。また、排尿時に鳴くのは、尿路結石や膀胱炎のサインかもしれません。

体を動かしたときや触られたとき、排尿時に決まって鳴くようであれば、早急に動物病院で診察を受け、原因を特定してもらいましょう。

犬の病気の早期発見と重症化予防のためにすべきことは?

聴診器を当てられる犬

犬の体調は日々変化しています。その変化にいち早く気づいてあげられるのは、毎日そばにいる飼い主さんだけです。では、愛犬の病気を早期に発見し、重症化を防ぐために飼い主さんはどうするべきなのでしょうか?3つのポイントをご紹介します。

1.毎日の健康チェック

犬の健康状態を把握するための基本は、毎日の健康チェックです。食欲や飲水量のほか、以下の項目を観察しましょう。

  • 排泄物:回数や量、色、におい、固さに異常はないか
  • 被毛皮膚:フケや脱毛はないか、被毛にパサつきやベタつきはないか、皮膚に赤みや腫れはないか
  • 体:しこりや外傷はないか、触ると痛がる場所はないか
  • 目:充血や濁りはないか、涙や目やには多くないか、黄色や緑の目やには出ていないか
  • 耳:汚れやにおいはないか、黒や茶色の耳垢は出ていないか、中が赤く腫れていないか
  • 鼻:鼻水の量や色、においに異常はないか、傷やできものはないか
  • 口:口臭はないか、歯と歯茎の間は膿んでいないか、歯茎から出血していないか、歯茎はピンク色か
  • 歩き方:片足を上げたり、引きずったりしていないか、ふらついていないか

これらの項目を毎日観察し、少しでも普段と違う様子が見られた場合は、記録しておくと動物病院での診察の際に役立ちます。また、体重も健康のバロメーターであるため、定期的に体重測定を行うことをおすすめします。

2.定期的な健康診断

人間と同様に、犬も定期的な健康診断を受けることで、外見からは分からない体の内部の状態を知ることができ、病気の早期発見や予防につながります。

犬が1歳を過ぎたら年に1回、シニア期(小・中型犬は7歳以上、大型犬は5歳以上)に入ったら半年に1回は健康診断を受けるのが理想的です。健康診断は、愛犬のことで日頃気になっていることを獣医師に相談する良い機会にもなります。

3.少しでも異変を感じたらすぐに受診

毎日の健康チェックや定期的な健康診断に加えて、愛犬の様子に少しでも「おかしいな」と感じたら、すぐに動物病院を受診することも重要です。愛犬の異変を感じながらも「様子を見よう」と考えて、受診を先延ばしにしてしまうと、病気が進行してしまうことがあります。

飼い主さんの迅速な判断と行動が、病気の重症化を防ぎ、愛犬の健康を守るカギとなります。

まとめ

上目遣いで見つめる犬

犬は言葉で痛みを訴えることができません。さらに、本能的に痛みを隠そうとする傾向もあります。ご紹介した痛みを感じている7つのサインを見逃さないようにし、サインに気づいたら、できるだけ早く動物病院で診てもらいましょう。

犬の病気の早期発見と重症化の予防をするには、毎日の健康チェックと定期的な健康診断を行うこと、そして少しでも異変を感じたらすぐに動物病院を受診することが大切です。大切な愛犬の健康を守るために、日々サポートしていきましょう。

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