犬が『気象病』になるとどうなる?気圧の変化や天気が愛犬に与える影響とは

犬が『気象病』になるとどうなる?気圧の変化や天気が愛犬に与える影響とは

最近、気圧の変化や天気の移り変わりによって体調を崩す「気象病」という言葉を、耳にすることが増えてきました。頭が重く感じたり、関節が痛んだり、なんとなくだるさが続いたりと、人間にとっても身近な悩みのひとつになっています。でも、実はこの「気象病」、犬にも起こる可能性があることをご存知でしょうか。

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記事の監修

めのうアニマルクリニック院長。猫が大好きなあまり、犬と猫を分けた動物病院を開院。「犬にも猫にも優しい動物病院」をコンセプトにしています。腫瘍学を得意分野としていますが、しつけに対しても力を入れており、パピークラスを開校して子犬のトレーニングを行っています。

気象病とは?動物もなるの?

ぼんやりする犬

「気象病」とは、気圧、気温、湿度などの変化によって引き起こされる、さまざまな体調不良の総称です。人間では、頭痛や関節痛、めまい、眠気、気分の落ち込みなどがよく知られています。

これらの症状は、気象の変化に体がうまく適応できず、自律神経が乱れることで起こると考えられています。

では、犬も気象病になるのでしょうか?答えは「はい」です。

犬もまた、気圧や天候の変化に敏感な動物です。体の仕組みは人間と異なる部分もありますが、同じように自律神経が存在し、外的な環境の変化に反応しています。そのため、急に天気が悪くなったり、気圧が大きく下がったりすると、犬の体にもさまざまな影響が出ることがあるのです。

例えば、以下のような症状が見られることがあります。

  • 元気がなくなる、動きが鈍くなる
  • 食欲が落ちる
  • 呼吸が浅くなる、または早くなる
  • 震える
  • 普段よりも吠えやすくなる、落ち着きがなくなる
  • いつもより甘えてくる、あるいは逆にそっけなくなる

これらは「なんとなくいつもと違う」という、微妙な変化として現れることが多く、見逃してしまいやすいのが特徴です。特に、もともと病気を持っている犬や高齢の犬、小型犬などは、気象の影響を強く受けやすい傾向があります。

どんな天気・気圧が影響するのか?

雨の日の犬

犬が気象の影響を受けるとき、特に関係が深いのが「気圧」と「気温の変化」です。天気が変わるときには、これらの要素が大きく動くため、犬の体もその変化に反応して不調を感じることがあります。

台風や低気圧が接近するとき

台風や低気圧が近づいてくると、気圧はゆっくりと、あるいは急激に下がっていきます。この気圧の低下は、犬の体にとってストレスとなることも。

低気圧が来ると、以下のような変化が見られることがあります。

  • 落ち着きがなくなる
  • いつもより呼吸が早くなる
  • 持病(心臓病や関節炎など)の症状が悪化する
  • 吠える、鳴くなどの行動が増える

人間でも台風の前に頭痛を感じる人がいるように、犬もまた、外から見えない「気圧の壁」に反応しているのです。

急な気温の変化

気温の上がり下がりも、犬にとっては大きな負担になります。特に春先や秋口のように、朝晩と日中の寒暖差が大きい時期は注意が必要です。こうした寒暖差によって、犬の体は体温を一定に保とうとがんばるため、自律神経に負担がかかります。

寒暖差が大きいときに見られる症状には、次のようなものがあります。

  • だるそうにしている、寝てばかりいる
  • 食欲が落ちる
  • 胃腸の調子が悪くなる(吐き戻しや軟便など)

特に小型犬やシニア犬は、体温調整がうまくできないことがあるため、こうした時期には注意深く様子を見てあげることが大切です。

湿度の変化

湿度が高すぎる、または極端に低いといった状況も、犬にとっては不快感やストレスの原因です。特に湿度が高い梅雨時期や、乾燥する冬場には、皮膚や呼吸器にも影響が出やすくなります。

湿度に関連する不調には、以下のようなものがあります。

  • 皮膚のかゆみや湿疹
  • 呼吸が浅くなる
  • 喉の違和感による咳やえずき

こうした気象条件の変化は、人間であればある程度自覚することができますが、犬はそれができません。そのため、飼い主が「今日は低気圧が来ているな」「寒暖差が激しいな」と感じる日は、少し注意して犬の様子を見てあげることが大切です。

うちの子も気象病?チェックポイント

ごはんを食べない犬

「うちの犬も気象病かもしれない」と感じたとき、まずは日常の様子を丁寧に観察することが大切です。ここでは、気象病になりやすい犬の傾向や、気づいてあげたいサインを紹介します。

気象病になりやすい犬の特徴

すべての犬が気象病になるわけではありませんが、次のような特徴を持つ犬は、気象の変化による影響を受けやすい傾向があります。

  • 高齢犬:自律神経の働きが弱くなり、気圧や温度の変化に弱くなる
  • 小型犬:体が小さいため、気温や湿度の変化を全身で受けやすい
  • 持病がある犬:心臓疾患や関節炎、気管支の弱い犬などは、気象変化の影響を受けやすい
  • 神経質な性格の犬:音や光に敏感な犬は、気圧の変化や天気の変わり目にも敏感に反応する

観察すべき行動の変化リスト

「なんとなく調子が悪そう」という曖昧な変化も、注意深く見ていくと共通点が見えてきます。以下のような行動の変化が見られたら、天気との関係を疑ってみてもよいかもしれません。

  • 散歩に行きたがらない、動きが鈍い
  • ごはんを残す、食いつきが悪くなる
  • よく震える、呼吸が浅くなる
  • そわそわして落ち着かない
  • 吠えやすくなる、突然吠える
  • 飼い主のそばから離れなくなる、逆に距離を取る
  • いつもよりよく眠る、または寝つきが悪い

これらの行動が、特定の天候や気圧の変化と重なって起こるようであれば、気象病の可能性を考えてみましょう。

ペット日記で「変化のパターン」を見つける

毎日の犬の様子を簡単にメモしておくことで、体調の変化と天気との関係を把握しやすくなります。例えば以下のような内容を記録するとよいでしょう。

  • その日の天気や気温、湿度、気圧の傾向
  • 食欲や排泄の状態
  • 散歩中の様子
  • 機嫌や動きの変化
  • 特別な出来事(騒音、来客など)

数週間~数か月記録を続けると、「雨の前日に震えることが多い」「急に寒くなった日は元気がない」など、犬にとっての苦手な気象条件が見えてくることがあります。

愛犬を気象病から守るためにできること

スマホを操作する手元

気象病は完全に防げるものではありませんが、日々の工夫やケアによって、犬の体調への影響を和らげることができます。ここでは、飼い主ができる具体的な対策を紹介します。

天気予報アプリを活用した体調管理

犬の様子が天気に左右されやすいと感じたら、天気予報をチェックする習慣をつけてみましょう。最近では、気圧や湿度、気温の変化を詳しく表示してくれるアプリも多くあります。

特に「気圧の急変」や「気温差が大きい日」を事前に知っておくと、その日に向けて準備ができるでしょう。たとえば、その日は無理に散歩に出かけず、室内で遊ばせる、静かな場所でゆっくり休ませるといった対応が可能になります。

室内環境の工夫

外の天気を変えることはできませんが、室内の環境は私たちの工夫で整えることができます。

温度と湿度は、エアコンや加湿器・除湿機を使って、犬が過ごしやすい室温(20〜25度前後)と湿度(40〜60%程度)を保ちましょう。

また、気圧が下がる日は、不安や緊張が高まりやすくなるので、犬が落ち着ける静かなスペースを確保してあげると安心感につながります。クレートやお気に入りの毛布なども役立ちます。

食事と生活リズムの安定が鍵

気象の変化に強くなるためには、日頃から自律神経を安定させる生活が大切です。そのためには、次のような習慣づけが役立ちます。

  • 毎日の食事時間をなるべく一定にする
  • バランスの良い食事を心がける(消化に良く、栄養価の高いものを)
  • 睡眠時間をしっかり確保する
  • 散歩や遊びの時間をなるべく一定に保つ

こうした生活リズムは、犬の心身の安定につながり、気象の変化に対しても過敏に反応しにくくなっていきます。

獣医師に相談すべきタイミング

もし「天気が悪い日になると毎回体調を崩す」「症状が長引く」「持病が悪化するような気がする」といったことがあれば、無理せず獣医師に相談してください。

気象病だと思っていたら、別の病気が隠れていたというケースもあります。とくに高齢の犬や持病を持つ犬は、早めの受診が大切です。

また、最近では、天候に関連する不調についても理解がある獣医師が増えてきています。安心して相談できる関係を築いておくことが、何よりも心強い支えになります。

まとめ

笑顔の柴犬

犬も気圧や気温の変化によって体調を崩す「気象病」になることがあります。特に高齢犬や持病のある犬は影響を受けやすいため、日頃から様子を観察し、天候に合わせた対応が大切です。

環境を整え、生活リズムを安定させることで、不調の予防や軽減につながります。犬の小さな変化に気づき、寄り添ったケアを心がけていきましょう。

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