問題行動も捉え方ひとつ
皆さんも犬を飼っている中で、『困ったな、どうにかしたいな』という問題は大なり小なりお持ちかと思います。
私もドッグトレーナーとして人に教えたりしていますが、うちの子になんの問題行動もない悩みもないというわけではありません。
たまにしつけの相談で、「どんなことが出来ればいいですか?どこまでしつけが出来ていればいいですか?」と聞かれます。
そんなとき私は、「飼い主さんがこれで良いと思うところまででいいですよ」、と答えます。
トイレのしつけはもちろんですが、出来ていた方が良い呼び戻しや引っ張りなど基本的な事以外は、飼い主さんがどこで満足するか許容するかで変わってきます。
うちのホワイトシェパードはストーカーです。
私が動くと必ず付いてきます。じっとどこからでも見ています。
これは情緒が安定していない、分離不安だと言われるかもしれません。
ですが私はこれを許容しています。
ほとんどのホワイトシェパードが性格上そうであるという事と、それによってさほど困ったと思うことがないからです。
むしろ一途でかわいいとホワイトシェパードの魅力にハマる人もいます。
ちょっと困ったなと思うことは食糞です。
たまにですがすることがあり、もちろん怒りますが最近は耳が遠くなっていることもあり、近くに行くまでやめません。
近くまで行って「こら!」と言うと「あっ」という顔をしてやめます。
食糞には様々な原因があると言われていますが、一番の対処方はしたらすぐにとること。『それをしなかった私が悪いからしょうがないな』
『まったく困ったおばあちゃんだ!』
で私の場合は終わっていて、それ以上悩んでもいません。
人によっては『本当に嫌だ!』と思うことも、『あらあら、もうこの子ったら』で終わる人もいるのです。
これって問題行動?
私はドッグトレーナーという仕事柄、他の飼い主さんより『それって問題行動だな、要求だな』と思うことが多いのですが、飼い主さん自身は気づいていなかったり、気にしていなかったりすることが殆どです。
とても小さい事で言えば、お手やおかわり。
しつけの話になると、よく「うちの子はお手ぐらいしか出来ません」とか、「お手も出来ません」と言われますが、お手はしつけではなく芸なので出来ても出来なくても構いません。
愛犬とのコミュニケーションを取る遊びの一つとして楽しむものです。
そんなお手ですが、飼い主がさせているのではなく、犬にさせられていることもしばしば。
「うちの子お手おかわりふせまで言う前にやるんですよ~」と嬉しそうに話されることがあります。
私からしたら、人がいう前にやる犬は「君、早くおやつを出したまえ」と言って要求しているなと考えてしまいます。
そのことを伝えると、「そうなんですね!じゃあ気をつけなきゃ」と言う人と「そうなんですか、賢いですね~」と言う人など反応は様々です。
受け取り方も考え方も違うことで、問題行動になったり興味深い面白い行動になったりするのです。
問題行動?面白い癖?
よくテレビの投稿などで、"我が家のワンコの面白い癖"などを目にしますが、『ああ、これはよく相談される行動だな』と思うものも多くあります。
たとえば、シープドッグ系に多い、電車や車が来ると高速回転する、追いかけるという行動がありますが、これは散歩中によくあると危険ですし大変なので、よく相談される行動ですが、面白い癖としても良く見る光景です。
向かっていく行為は危険なのでやめさせるべきですが、その行動を良しとして付き合っていくのもまた一つのかたちなのだと思います。
しかし、それが危険な行為や人に迷惑をかける行為だった場合は、もちろん改善する必要がありますし、犬にストレスがかかっている事もあるので客観的に見ることも大切です。
噛む行為
噛むという行為は問題行動のなかでも、特に深刻になりやすい問題行動です。
本来は、人を噛むということは絶対にさせてはいけない行為で気を付けなければいけません。
しかし、その噛むという行為を受け止め付き合っている方もいます。
その子の場合捨てられ、どういう生き方をしてきたのかも分からない子だったのもあるとは思いますが、飼い主さんはその子の今まで生きてきた犬生を考え、その子が噛むという意思表示を諫めながらも受け止め、落ち着くのを待ちます。
始めはもっと、『噛むことを止めさせるよう矯正したほうが良いのでは?』と思っていましたが、そうやって受け止めながら諦めずに付き合っていく姿もまた間違いではないのだと感じるようになりました。
その方もきっと悩んでいたりするのでしょうが、その子とのそういう付き合いも含めとても楽しんでいます。
最後に
犬と暮らすということは大変なこともたくさんあります。
しかし、それ以上に楽しい事嬉しい事面白い事で溢れています。
そして犬は楽しそうにしている飼い主さんを見ることが大好きです。
悩んで辛そうにしていたりストレスを感じていたりすると、敏感な生き物である犬は影響を受けてしまします。
それがまた問題行動を生み出すことも。
ですから、まずは飼い主さんが目の前にある問題を楽しむことが大切です。
『この問題をどう直していこう』
『ほんとにこれは問題なのかな?』
そういった『問題』は犬との絆を深める大切なチャンスだと考え、向き合い付き合い犬との生活を楽しむ事が大切です。
ユーザーのコメント
女性 ココア
言葉で気持ちを伝えられない分、人間の思い込みや考えのみが優先させられますが...命に関わる事と迷惑をかける事以外ならお互いに譲り合い受け入れるのもありですよね。人間の2~3歳児と変わらないなぁといつも感じていたのですが、本当にそんな感じですね。
とにかく最後まで、愛情を注いで一緒に暮らして行く事が大事ですね。