犬に噛まれた時、やってはいけない3つのNG行為 手遅れになる前に知っておくべき対処法を解説

犬に噛まれた時、やってはいけない3つのNG行為 手遅れになる前に知っておくべき対処法を解説

「ちょっとした甘噛みだから大丈夫…」と思って放置していませんか?犬に噛まれた際、適切な対処をしないと感染症や後遺症を引き起こす可能性があります。本記事では、犬に噛まれた時に絶対にやってはいけないNG行為と、正しい対処法を詳しく解説します。いざという時のために、ぜひ覚えておきましょう。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

犬に噛まれた時にやってはいけないNG行為3つ

飼い犬に噛まれる

犬に噛まれたとき、焦ってしまったり、大したことないと思って放置してしまったりすると、後々トラブルにつながることがあります。ここでは、絶対に避けるべき3つのNG行為を紹介します。

1.すぐに傷口を洗わない

噛まれたとき、傷が小さいと「大したことない」と思ってそのままにしてしまう人もいますが、これはとても危険です。犬の口の中にはさまざまな細菌が潜んでおり、噛まれた傷を放置すると、感染症を引き起こす可能性があります。

例えば、以下のような細菌が犬の口の中に存在しています。

  • パスツレラ菌:傷口の腫れや化膿、発熱の原因になる
  • カプノサイトファーガ菌:まれに敗血症を引き起こし、重症化することもある
  • 破傷風菌:神経に作用し、筋肉のけいれんを引き起こす

見た目は浅い傷でも、皮膚の奥にまで細菌が入り込んでいる可能性があります。そのため、最初にすべきことは、すぐに傷口を流水でしっかりと洗うことです。

2. 傷口を放置して病院に行かない

「傷が小さいから大丈夫」と思って病院に行かないのも、後々大きな問題につながることがあります。犬の噛み傷は、見た目よりも深く細菌が入り込みやすいため、時間が経ってから腫れたり痛みが強くなったりすることがあるのです。

特に、以下のようなケースでは、必ず病院を受診しましょう。

  • 傷が深い、または出血が止まらない
  • 傷口が腫れてきた、熱を持っている(感染のサイン)
  • 指や関節を噛まれた(細菌が関節や骨に入りやすいため)
  • 免疫力が低い人(高齢者、乳幼児、持病がある人、糖尿病患者など)
  • 噛んだ犬が野良犬やワクチン未接種の犬だった

また、日本ではほとんど報告がありませんが、狂犬病や破傷風などのリスクもゼロではありません。万が一に備え、早めに病院で診てもらうことが大切です。
「様子を見る」という判断が、後になって大きな後悔につながることもあるので、慎重に対応しましょう。

3. 噛んだ犬を叩く・怒鳴る

噛まれたときに「痛い!」と反射的に大声を出したり、ショックで犬を叩いてしまう人もいるかもしれません。しかし、これは絶対にやってはいけません。

犬が噛む理由の多くは、恐怖や不安、驚き、興奮などの感情によるものです。そのため、叩いたり怒鳴ったりすると、犬はさらに怖がったり、逆に防衛本能が働いて攻撃的になったりする可能性があります。

また、「噛んだら怖い目に遭う」と学習すると、次回からさらに強く噛むようになったり、より警戒心を持つようになったりすることもあります。特に、子犬の場合は正しいしつけをせずに怒ると、噛み癖がついてしまうこともあるので注意が必要です。

犬に噛まれた時の正しい対処法とは?

流水で手を洗う

犬に噛まれてしまったとき、大切なのは素早く適切な対応をすることです。
ここでは、傷の悪化や感染を防ぐための正しい対処法を、順番にわかりやすく説明していきます。

傷口を流水でしっかり洗浄

まず最初にするべきことは、傷口をしっかり洗い流すことです。犬の口の中にはさまざまな細菌が潜んでおり、傷口から感染するリスクがあるため、できるだけ早く清潔にすることが大切です。

【洗い方のポイント】

  • 水道水で傷口を優しく流し続ける(細菌を洗い流すため)
  • 石けんを使う場合は、刺激の少ないものを選ぶ(ただし、ゴシゴシこすらないようにする)
  • 傷が深い場合は、水を流し込みながら洗うように意識する

「傷が小さいから大丈夫」と思わず、まずはしっかり洗うことが最優先です。

清潔な布やガーゼで軽く止血する

洗浄が終わったら、次に出血の有無を確認しましょう。出血がある場合は、清潔な布やガーゼを使ってやさしく押さえ、止血します。

【止血のポイント】

  • 清潔なガーゼや布で、傷口をやさしく押さえる
  • 出血が多い場合は、軽く圧迫して止血する
  • 強く押さえすぎないように注意する(傷がふさがると、内部に細菌が残る可能性があるため)

出血が少ない場合でも、傷が開いたままだと細菌が入りやすくなるので、ガーゼや清潔な布で軽く覆うと安心です。

病院へ行く前に傷の状態を確認する

応急処置が終わったら、傷の状態をチェックして、病院へ行くべきか判断しましょう。

【受診を検討すべきケース】

  • 傷が深い、または皮膚が破れている
  • 出血が10分以上続いて止まらない
  • 噛まれた部分が腫れたり、熱を持っている(感染のサイン)
  • 指や関節を噛まれた(細菌が広がりやすいため)
  • 噛まれたのが子ども、高齢者、または免疫力が低い人
  • 噛んだ犬がワクチン未接種だった、または野良犬だった

とくに、噛み傷が深い場合や、痛みや腫れがひどい場合は、必ず病院で診てもらいましょう。また、破傷風や狂犬病のリスクもゼロではないため、海外で噛まれた場合はすぐに医療機関を受診することをおすすめします。

よその犬や野良犬に噛まれた時の対応

うなる犬

自分の飼い犬ではなく、よその犬や野良犬に噛まれてしまった場合は、通常の応急処置に加えて、適切な届け出や対応が必要になります。特に、狂犬病や感染症のリスクも考えられるため、慎重に行動しましょう。

すぐに飼い主や管理者に連絡する

よその犬に噛まれた場合、まずは飼い主がいるかどうかを確認しましょう。飼い主が分かる場合は、名前や連絡先を聞き、その犬が狂犬病ワクチンを接種しているか、健康状態に問題がなかったかなども確認しておくと安心です。

また、治療費の負担について話し合う必要があるため、病院で診察を受けた際には領収書や診断書を保管しておくとスムーズです。感情的にならず、冷静に対応することを心がけましょう。

野良犬や飼い主不明の犬に噛まれた場合の届け出

飼い主のわからない犬や野良犬に噛まれた場合は、必ず自治体や警察に届け出ることが重要です。自治体に連絡することで、野良犬の捕獲や調査が行われ、狂犬病のリスクを確認できます。また、警察に届け出ることで、万が一トラブルになった際の証拠にもなります。

日本では狂犬病の発生はありませんが、海外やリスクのある地域では、早急な対応が必要です。感染症の危険性もあるため、届け出を怠らず、適切な対応をとることが大切です。

病院を受診し、医師の指示を仰ぐ

よその犬や野良犬に噛まれた場合は、感染症のリスクが高いため、できるだけ早く病院を受診することが大切です。傷の状態に応じて、消毒や抗生物質の処方、必要に応じて破傷風ワクチンの接種を受けることになります。また、海外や狂犬病のリスクがある地域で噛まれた場合は、狂犬病ワクチンの接種が必要になることもあります。

噛まれた直後は傷が小さく見えても、時間が経つと腫れや痛みが出てくることがあるため、自己判断せず、医師の指示を仰いで適切な処置を受けることが重要です。

まとめ

噛む犬

犬に噛まれたときは、まず落ち着いて正しい応急処置を行うことが大切です。傷口はすぐに流水で洗浄し、清潔な布やガーゼでやさしく止血しましょう。その後、傷の状態を確認し、腫れや痛みがある場合は早めに病院を受診することが重要です。

特によその犬や野良犬に噛まれた場合は、自治体や警察へ届け出る必要があるため、適切な対応を心がけましょう。感染症のリスクを防ぐためにも、冷静に行動し、適切な処置を実践することが大切です。

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