犬が「寝不足」なときにみせるサイン7つ 起こりうるリスクから良質な睡眠をとるための改善策まで

犬が「寝不足」なときにみせるサイン7つ 起こりうるリスクから良質な睡眠をとるための改善策まで

人間と同じように、犬も寝不足になると体調を崩したり、イライラしたりすることがあります。特に、毎日元気に過ごしているように見える犬でも、飼い主が気づかないうちに睡眠不足に陥っていることもあるのです。本記事では、犬が寝不足のときに見せるサインや、そのままにしておくことで起こりうるリスク、そして愛犬がしっかり眠れるようにするための改善策について詳しく解説していきます。

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記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

犬が寝不足のときに見せるサイン7つ

眠そうな犬

犬は「眠い」と言葉で伝えることができませんが、寝不足になるとさまざまな行動や仕草でサインを出します。愛犬の様子をよく観察して、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

1.うたた寝をする

犬は通常、昼間も休憩や仮眠を取りますが、寝不足になると 普段よりも長時間眠る ようになります。例えば、散歩中に立ち止まってぼんやりしていたり、少し遊んだだけですぐに横になったりする場合は、睡眠不足の可能性があります。

2.イライラや攻撃的な行動

寝不足の犬は、ちょっとしたことでもイライラしやすくなります。いつもは穏やかな犬が突然吠えたり、噛みつく素振りを見せたりすることがあれば、ストレスや疲れが原因かもしれません。特に、他の犬や人に対して攻撃的になったり、不機嫌そうな態度が増えたりしたら注意が必要です。

3.集中力の低下

しつけやトレーニングの最中にすぐに気が散ってしまう、指示を聞かなくなるという場合も、寝不足が原因の可能性があります。眠りが浅いと脳がしっかり休まらず、集中力が落ちてしまうのです。普段はできていたコマンドを無視するようになったり、飼い主の呼びかけに反応が鈍くなったりしたら、睡眠の質を見直してみましょう。

4.あくびをする・目をしょぼしょぼする

犬も人間と同じように、眠いとあくびをすることがあります。たまにする程度なら問題ありませんが、1日に何度もあくびをしている場合は、寝不足の可能性が高いです。また、目をしょぼしょぼさせたり、まぶたが重そうだったりするのも、眠気のサインです。

5.食欲不振や消化不良

寝不足は自律神経のバランスを崩すため、食欲にも影響を与えます。急にごはんを食べなくなったり、食べる量が減ったりする場合は、睡眠不足が原因かもしれません。また、寝不足で胃腸が不調になり、下痢や嘔吐を引き起こすこともあります。

6.無気力や活動量の低下

いつもは元気に走り回る犬が、最近なんとなく ぼーっとしている、遊びたがらない、散歩に行ってもすぐに帰りたがる という場合も、睡眠不足の可能性があります。エネルギーが十分に回復していないため、普段よりも動きが鈍くなってしまうのです。

7.異常な鳴き声や夜鳴き

寝不足の犬は 不安やストレス を感じやすくなります。そのため、夜中に突然吠えたり、クンクン鳴いたりすることがあります。特に、普段は夜に静かに寝ているのに、急に夜鳴きをするようになった場合は、寝不足による不安が原因かもしれません。

犬の寝不足が引き起こすリスク

あくびをする犬

犬の睡眠不足をそのままにしておくと、体や心にさまざまな悪影響が出てきます。人間と同じように、犬も良質な睡眠をとることで体調を整え、エネルギーを回復しています。寝不足が続くと、次のようなリスクが高まるので注意しましょう。

免疫力の低下

睡眠には、体を修復し免疫機能を正常に保つ役割があります。しかし、寝不足になると 免疫力が低下し、病気にかかりやすくなる ことがわかっています。

例えば、皮膚炎や感染症などが発症しやすくなったり、治りにくくなったりすることも。特にシニア犬や子犬は免疫が弱いため、しっかり眠れる環境を整えてあげることが大切です。

ストレスの増加

寝不足は脳の疲労を引き起こし、ストレスを感じやすくなります。犬がイライラしたり、不安そうにしたりすることが増えたら、十分な睡眠が取れていない可能性があります。

さらに、ストレスが蓄積すると 問題行動(吠え癖、噛みつき、破壊行動など) が出やすくなるため注意が必要です。

学習能力の低下

犬の脳は、睡眠中にその日学んだことを整理・記憶しています。しかし、寝不足になるとそのプロセスがうまく働かず、しつけやトレーニングの効果が落ちてしまう ことがあります。

「昨日はできたのに、今日は同じ指示を理解できない…」という場合、単なる気まぐれではなく、睡眠不足が原因かもしれません。

慢性的な疲労

慢性的な寝不足が続くと、犬の体に負担がかかり、内臓にも影響を与えることがあります。研究では、十分な睡眠をとっている犬のほうが寿命が長いという結果も出ています。健康で長生きしてもらうためにも、日頃からしっかり眠れる環境を整えてあげることが大切です。

犬の寝不足が続くと、体調不良やストレスが増え、結果的に生活の質(QOL)が下がってしまいます。では、どうすれば愛犬がぐっすり眠れるようになるのでしょうか?次の章では、具体的な改善策を紹介していきます。

犬が良質な睡眠をとるための改善策

散歩をする犬

犬が寝不足にならないためには、安心してぐっすり眠れる環境を整えてあげることが大切 です。ここでは、犬の睡眠の質を向上させるための具体的な方法を紹介します。

快適な寝床を用意する

犬が安心して眠るためには、落ち着いて休める環境が必要です。寝床は、人の出入りが少ない静かな場所に置き、犬の体に合ったクッション性のあるベッドを用意しましょう。

特にシニア犬には関節に優しい低反発のマットやクッションが適しています。また、寝床の周囲の温度にも気を配り、夏は25℃前後、冬は20℃前後を目安に調整することで、快適な眠りをサポートできます。

適度な運動を取り入れる

犬が日中にしっかりと体を動かすことで、夜にスムーズに眠れるようになります。運動量が多く必要な犬種は、長めに時間を確保すると良いでしょう。

ただ歩くだけでなく、ボール遊びや知育トイを使った遊びを取り入れると、適度な疲れと満足感が得られ、より深い眠りにつながります。ただし、寝る直前の激しい運動は興奮を引き起こし、かえって寝つきを悪くすることがあるため、夜は落ち着いた時間を過ごせるように心がけましょう。

生活リズムを整える

犬は規則正しい生活を好む動物です。毎日の生活リズムが乱れるとストレスを感じ、睡眠の質が低下してしまいます。そのため、朝晩の起床・就寝時間をできるだけ一定にし、食事の時間も規則的にすることが大切です。

不規則な食事は消化不良を引き起こし、結果として眠りが浅くなる原因になることもあります。さらに、夜間に飼い主が騒がしくすると犬の睡眠を妨げてしまうため、夜は静かな環境を整えることを心がけましょう。

リラックスできる環境を作る

犬がスムーズに眠れるようにするためには、リラックスできる環境を整えることが重要です。例えば、ラベンダーなどの犬に使えるアロマを焚いたり、犬専用のヒーリング音楽を流したりすると、リラックス効果が期待できます。

また、寝床の近くを暗めにすることで眠りが深くなりやすくなります。さらに、寝る前に優しく撫でてあげると安心感が増し、穏やかな気持ちで眠ることができるでしょう。

健康チェックを定期的に行う

犬が寝不足になる原因のひとつに、病気や痛み が隠れていることがあります。特に 関節炎や皮膚炎、呼吸器系の疾患 を持っている犬は、眠りが浅くなりやすいため、定期的な健康診断を受けて体の状態をチェックすることが大切です。

また、寝床から頻繁に起き上がったり、落ち着かない様子が続いたりする場合は、獣医師に相談するようにしましょう。

まとめ

眠る犬

犬の睡眠は、健康や行動に大きく影響を与えます。寝不足が続くと、日中の眠気やイライラ、食欲不振などのサインが現れるだけでなく、免疫力の低下やストレスの増加といったリスクも高まります。そのため、愛犬の様子をよく観察し、睡眠不足の兆候がないか注意することが大切です。

犬が快適に眠るためには、静かで落ち着ける寝床を用意し、適度な運動を取り入れ、生活リズムを整えることが重要です。また、リラックスできる環境を作り、健康チェックを定期的に行うことで、より質の高い睡眠をサポートできます。

愛犬の健康を守るためにも、日々の生活の中で睡眠環境を見直し、ぐっすり眠れる環境を整えてあげましょう。

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