1.加齢
犬は7歳を過ぎるとシニア期に入るため、寝る時間が長くなってきます。そのため、若いときよりも寝る時間が長いのは、体力が衰えてしまっているのが原因です。
しかし、動きたがらないからと寝かせたままにしておくと、筋力の低下が進行して老化を速めてしまうことにも繋がるので注意が必要です。
愛犬の無理のない範囲でお散歩に行ったり、おもちゃで遊んだりして運動をさせてあげましょう。
また、ずっと同じ姿勢で寝ることは体に負担をかけてしまいます。寝返りが打てるサイズのベッドを使用したり、定期的に寝る体制を変えてあげたりして「床ずれ」しないように気を付けてください。
2.体力の回復
犬は発散したエネルギーを回復させるために睡眠を取ります。ただし、人間とは違い浅い睡眠を長く取ることで体力を回復させているので、ずっと寝ているように見えるのです。
また、犬は本来夜行性の動物なので、昼間は寝ている時間が長くなります。日中にお留守番の多い犬は、飼い主のいない時間を寝て過ごすことも多いので一日中寝ているように感じるのかもしれません。
3.環境の変化によるストレス
新しく迎えたばかりであったり、引っ越しをして環境が変わったりしたときに犬の睡眠時間は長くなるようです。
環境の変化が起こると、私たち飼い主にも多少のストレスはかかりますよね。犬も同じで、環境の変化によって疲れてしまった体や脳を休めるために多めに睡眠を取ることがあります。
このとき、元気や食欲がないなど様子に異変がある場合は獣医師に相談するようにしましょう。
4.病気
犬は一日の大半を寝て過ごす動物ですが、なかには病気が原因で睡眠時間が長くなっているケースもあります。
認知症
加齢が原因で「認知症」になってしまっている場合、脳の萎縮や神経細胞の減少により寝ていたりぼーっとしたりする時間が増えてきます。
また、徘徊や夜鳴き、粗相が増えるといった症状が出ることもあるようです。認知症はトレーニングで進行を遅くすることが可能な場合もあるので、知育トイなど脳を使った遊びをしたり、普段とは違う散歩コースを歩くなど、脳に刺激を与えてあげるようにしましょう。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症になった犬は、疲労感や無気力感が強くなり、動くのを嫌がるようになります。それが睡眠時間の長さに影響しているようです。
他にも、食欲不振、低体温、皮膚疾患などの症状が出ることもあるので、睡眠時間以外にも気になる症状が出ていれば獣医師に相談するようにしてください。
ナルコレプシー
ナルコレプシーは、食事や遊びなどで興奮や喜びを感じた時に「強い眠気に襲われる」病気です。
興奮することが引き金となり、全身を支える筋肉から力が抜けてしまうことで「意識はあるが体が動かない」といった症状が見られます。数分の脱力状態に陥りますが、声をかけたり体に触れたりすることで回復することもあるようです。
命にかかわる病気ではありませんが、遺伝性の疾患で生涯続く病気です。薬物治療や生活習慣の見直しで症状を和らげる可能性があります。
椎間板ヘルニアや関節疾患
ヘルニアで腰に痛みがあったり、関節痛や怪我をしている場合、痛みを避けるためジッとしている時間が増えることがあります。痛みがあると睡眠が浅くなり、体力を回復するためにより長い時間寝ているようになるのです。
歩き方に異変がある、触られるのを嫌がるといった様子が見られる場合は体に痛みを抱えている可能性があります。
椎間板ヘルニアや関節疾患は突然発症するケースもあるので、異変を感じたらすぐに動物病院へ連れて行くようにしましょう。
年齢や犬種によって寝る時間は変わる
犬の平均睡眠時間は12~15時間と人間よりも長く寝ています。そのため、私たちから見ると一日中寝ているように見えるのかもしれませんが、半日程度であれば問題はありません。
また、加齢だけでなく、犬種によっても寝る時間は変わります。
エネルギー消費の多い大型犬は18~20時間程度寝ることもあり、反対に小型犬はエネルギー消費が少なく10時間程度の睡眠時間の子もいるようです。
生活環境によっても異なりますが、どの年齢・犬種であっても10時間以上の睡眠は全く問題ないと言えるでしょう。
ただし、睡眠時間が急に増えるようになった、散歩やご飯も嫌がるようになった、という場合は病気や怪我の可能性もあるので注意が必要です。
普段との様子の違いを感じた場合は、すぐに動物病院へ連れて行くようにしてくださいね。
まとめ
犬は寝る時間の長い動物なので、一日中寝ているように感じても特に問題はありません。
しかし、なかには病気が原因で動く気力がなくなっているケースもあるので、日頃から愛犬の様子をよく確認しておくことが重要です。
些細な変化にすぐ気が付けるように、毎日のコミュニケーションを大切に過ごすようにしましょうね。