飼い主の顔を見ると近寄ってくる犬たち…見分けているの?
犬の多くは飼い主の顔を見ると近寄ってくるように思えます。この行動から、飼い主の顔を正確に見分けているのでは、と思う方も多いでしょう。
実際、犬は視力が弱いとはいえ、全く見えていないわけではありません。平均して0.2〜0.3程度の視力の犬が多いと言われているので、飼い主の外見もぼんやりとシルエットで把握できていると考えられます。
しかし、顔のパーツを細かく把握できているかは定かではありません。また、日中に遠くにいる場合は、視力だけで見つけることは難しいと思われます。
犬の記憶力についての知識を解説
犬は飼い主を視力だけでなく、匂いや声で記憶していると言われています。では、犬の記憶力はどのような仕組みになっているのでしょうか。
犬は短期記憶より連想記憶が得意
犬は数秒〜数分前の一時的な出来事を記憶するよりも、さまざまな要素を紐づけて長く記憶する連想記憶を得意とします。
連想記憶によって学習されたことは、数時間から数年間、強く記憶に刻まれた場合は生涯にわたって長期的に記憶することができます。
ある事例で、数年間離れて生活していた飼い主と再会した犬が、躊躇なく飼い主の元へと駆け寄っていったという話があります。これも連想記憶により最愛の飼い主と毎日過ごした記憶が生涯にわたって残っていた結果でしょう。
匂いや声、出来事に基づいて記憶している
連想記憶は、その時に起こった出来事と五感を紐づけて記憶しています。特に犬は嗅覚と聴覚が優れているため、匂いや音を記憶として刻み込むことが得意です。
また、その時の感情も犬の記憶に強く刻み込まれます。楽しいことや嬉しいことは「自分にとって良い出来事」として記憶されますが、嫌な出来事は「苦手な出来事」として記憶され、その後もなかなか苦手意識が克服できない原因になることもあるでしょう。
繰り返すことで長期的に記憶し続けることが可能に
紹介したように犬が記憶した出来事は、繰り返し行うことでより根強く記憶に残り、長期的な記憶として脳に定着します。
例えば、「おて」「お座り」などのコマンド指示は、毎日繰り返すことで飼い主の声や匂い、その時の感情、その後の流れなどが体に感覚的に刻み込まれ、生涯忘れないほどしっかりと定着します。
犬が飼い主を生涯にわたって覚えているのは、毎日飼い主と顔を合わせ、コミュニケーションをとることで匂いや声、一緒に過ごしたさまざまな出来事に対する感情が組み合わさり、強固な記憶として定着しているのです。
犬に『記憶』させるためには匂いや音、出来事を紐づけて
今回は犬の記憶について紹介しました。犬に覚えてほしいことを記憶させるためには、匂いや音、出来事、さらに感情を紐づけてあげることが重要です。
例えば、コマンド指示を学習させるには、毎回同じ言葉で指示したり、同じ動作を繰り返させることがポイントです。また、「積極的に行いたい動作」と記憶づけるため、できた時は思い切り褒めたり時にはご褒美をあげたりして感情を記憶に紐づけると、より定着しやすくなります。
このように、匂いや音、出来事や動作の繰り返し、記憶を思い起こさせる感情を意識してトレーニングに励むことで、学習の効率化にもつながるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。犬は飼い主の外見を細かい部分まで把握できているわけではありません。しかし、ぼんやりとシルエットや大まかな顔の作りを覚えており、なおかつ匂いや声、話し方などで記憶しています。
今回紹介した犬の記憶に関する情報を参考に、今後覚えさせたいことがある時には活用してみてください。