犬が「ニオイ」から読み取っている情報
犬がニオイを嗅ぎたがるのは、ニオイから読み取れる情報を得るためです。
私たち人間が「この人は誰なのか」ということを判断するとき、最初に見るのは顔ではないでしょうか。見た目だけで判断できないときは、名前を聞くこともありますよね。
犬は人を顔や名前で判断することができません。最も重要なのは「ニオイ」であり、ニオイを嗅ぐだけで飼い主と他人を判断することができます。
では、犬が「ニオイ」から読み取っている情報には、具体的にどのようなものがあるのか、探ってみましょう。
1.汗に含まれるアンモニア成分
犬がニオイから読み取っている情報には、汗に含まれるアンモニア成分があります。
人の汗に含まれるアンモニアの割合は約15%ですが、この微量なアンモニアのニオイを犬は嗅ぎ分けることができます。
そして、犬が最も嗅ぎ分けることを得意とするニオイがアンモニアであるとされています。
個人的に少々面白いと思うのが、『人の汗に含まれるアンモニアのニオイを嗅ぎ分けることができるのは、イエイヌだけである』ということです。イエイヌが持つ特殊能力であり、犬の先祖であるとされているオオカミは、アンモニアのニオイを嗅ぎ分ける能力を持っていないとされています。
犬が人間をパートナーとして生きようと決めたとき、そのパートナーである飼い主を知るための過程として、汗に含まれるアンモニア成分を嗅ぎ分ける能力を身につけたのではないでしょうか。
2.男性(オス)であるか女性(メス)であるか
犬がニオイから読み取っている情報には、相手が男性(オス)であるか女性(メス)であるかということがあります。
相手が人間である場合では、皮脂の分泌量の違いによって判断しているのではないかとされています。男性ホルモンの分泌量が多い男性の方が、皮脂の分泌量が多いということが判断材料なのではないでしょうか。
また、男性と女性とでは、ホルモンの違いによって、皮脂のニオイにも違いがあるのではないでしょうか。
相手が犬である場合では、オスであるかメスであるかということだけではなく、去勢されたオスなのか、避妊されたメスなのか、ということまでニオイから読み取ることができるようです。
3.ガン細胞が放出する化合物
犬がニオイから読み取っている情報には、ガン細胞が放出する化合物があります。
ガン細胞は、特有の化合物を放出しますが、その微量な化合物のニオイを嗅ぎ分ける能力を持つ犬がいます。「ガン探知犬」と呼ばれる、特殊な訓練を受けた犬です。
とある論文によると、『ガン探知犬による肺ガンの感受性は99%、特異性は99%である』と報告されています。
感受性とは「この人はガンである」と正確に嗅ぎ分けることを言い、特異性とは「この人はガンでない」と正確に嗅ぎ分けることを言います。誤って判断することのない能力を持つことを示しています。
ガンの種類によって差が生じるとされていますが、ガン探知犬がガン細胞が放出する化合物を嗅ぎ分けられる正確さは、ほぼ100%であると言えるのではないでしょうか。
4.水蒸気に含まれる「ニオイ分子」
犬がニオイから読み取っている情報には、水蒸気に含まれるニオイ分子があります。
空気中の水蒸気に含まれるニオイ分子を嗅ぎ分けることで、その日の天気の変化を読み取ることができるとされています。
水蒸気が多いほどニオイ分子も多いのですが、湿度が高く水蒸気が多いときほどニオイを嗅ぎ分けることができ、湿度が低く水蒸気が少ないときほどニオイを嗅ぎ分けづらいようです。
また、晴れの日は上昇気流によってニオイが上へと運ばれ、曇りの日は上昇気流が弱まることでニオイが地上付近にたまりやすくなります。このことも犬がニオイから天候の変化を読み取る情報源です。
まとめ
犬が「ニオイ」から読み取っている情報を4つ解説しました。
- 汗に含まれるアンモニア成分
- 男性(オス)であるか女性(メス)であるか
- ガン細胞が放出する化合物
- 水蒸気に含まれるニオイ分子
犬がニオイを嗅ぎたがるのは、生きるための様々な情報を得るためです。犬の本能による行為であるため、ニオイを嗅ぎたいという欲求をしつけによって抑えることはできません。
お散歩中、(ニオイを嗅いでばかりで全然歩かない…)と感じてしまうことがあるかもしれません。
しかし、満足するまで嗅がせてあげることで、愛犬が1日を大満足で終えられると思います。