犬を飼うと「飼い主の死亡リスク」が低減される理由
『犬を飼っている人の死亡リスクは低い』などとよく言われているのを耳にすることもあるかもlしれません。犬と暮らすみなさんにも実感があるでしょうか。
スウェーデンの中高年の国民を対象とした研究では、犬を飼っていない人と犬を飼っている人とを比べたとき、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患のリスクが23%低減されるということが明らかになっています。
対象となったのは、スウェーデンに在住する40歳~80歳までの343万2153人です。最長で12年間追跡し、この期間に犬を飼っていたのは13.1%の人で、総死亡(あらゆる原因による死亡)リスクは20%低減したとされています。
では、犬を飼うと飼い主の死亡リスクが低減されることには、どのような理由があるのでしょうか。
1.孤独ではなくなるから
犬を飼うと飼い主の死亡リスクが低減されるのは、孤独ではなくなることが理由です。
職場に行けば仲間もいるし、仕事の帰りに食事をしたりお酒を飲んだり、楽しく過ごしていても、家に帰れば一人の場合、寂しさと孤独を感じることがあります。
退職し、近所付き合いもなく、親しい友達もいない。家族とも遠く離れて暮らしている。そんな高齢者が孤独からうつ病や認知症になることがあるとされています。
犬を飼うことで、このような寂しさや孤独がなくなります。家に帰ればいつだって待っていてくれますし、24時間常にそばにいてくれる存在になります。
犬を飼うことで精神的なストレスが低減され、死亡リスクの低減にも繋がっていくのです。
2.身体的な活動量が増えるから
犬を飼うと飼い主の死亡リスクが低減されるのは、身体的な活動量が増えることが理由です。
犬と暮らすと、ほぼ毎日、朝と夕のお散歩に出かけます。少なくとも1回のお散歩で10分~15分程度は歩いているでしょう。家でジッとしていることとは大違いです。
犬と暮らすと、外に出て、日差しや紫外線を浴びる時間も増えます。犬も人も日光浴をすることで、幸せホルモンとも呼ばれている、オキシトシンやセロトニンの分泌が増えます。幸福感が与えられるホルモンです。
ウォーキングなどの中強度の身体的な活動を1週間に300分~600分行う習慣のある人は、長期的な死亡リスクが低いということが、アメリカのハーバード公衆衛生大学院が参加者10万人を30年間追跡した研究によって明らかにされています。
特別な運動をしていなくても、身体的な活動量の多い人は、ガン・心疾患・脳血管疾患・肥満・高血圧などの病気による死亡リスクが低いことが報告されています。
犬を飼い始めてから健康診断の結果が良くなった、という飼い主もいらっしゃるのではないでしょうか。
3.社会との繋がりを持ちやすいから
犬を飼うと飼い主の死亡リスクが低減されるのは、社会との繋がりを持ちやすいことが理由です。
独立行政法人東京都健康長寿医療センターの国立環境研究所主任研究員である谷口優さんの研究結果によると、『犬を飼う高齢者は認知症リスクが約40%低減する』と明らかにされています。
お散歩に行く、運動習慣が身につく、ということが認知症の低減に繋がるのです。
外に出ると、必ず人とすれ違います。犬を連れていると、挨拶をされたり、声をかけられたりすることも多いです。ひとり暮らしでも、自然と人とコミュニケーションする機会を持つことができるのです。
認知症は、死に直結するものではないと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、身体機能や免疫力の低下による、呼吸器感染や循環器疾患を引き起こしやすく、死に至ることもあるとされている病気です。
犬の暮らす高齢者に明るく元気な方が多いのは、孤独ではなくなること、身体的な活動量が増えること、社会との繋がりを持ちやすいことの全てが当てはまるからなのではないでしょうか。
まとめ
犬を飼うと飼い主の死亡リスクが低減される理由を3つ解説しました。
- 孤独ではなくなるから
- 身体的な活動量が増えるから
- 社会との繋がりを持ちやすいから
私はインドア派であるため、愛犬たちがいなければ外に出る機会も少ないだろうな…と感じます。家から一歩も出ない日もありそうです。
あなたは、愛犬と暮らすことで、どのような健康効果や死亡リスク低減の効果を実感されていらっしゃるでしょうか。