犬が「独り占めしたい」と思っているモノ
愛犬と遊んでいたおもちゃを愛犬が返してくれず、そのまま自分のハウスやベッドなどに持ちこんでそのまま返してくれないことがあります。
そのおもちゃが大好きなのだろう、と微笑ましく思いながら取り戻そうと手を差し出すと、突然威嚇してきたり噛まれそうになって困ったことはないでしょうか。
そこで今回は、犬が「独り占めしたい」と思っているモノについて解説します。余計な怪我をしてしまわぬように、今一度確認して覚えておきましょう。
1.食べ物
犬はとても食いしん坊で、食べることが大好きです。これは犬の食性にも関係しています。
犬はもともと「食いだめ」ができる動物です。群れで狩りをし自分より大きな動物を仕留めることもある反面、何日も獲物が取れず食べられない生活をしていた犬たちは「食いだめ」をする本能があります。
また、犬の脳は人間ほど満腹中枢が発達しておらず、食いちぎったものをほかの仲間にとられる前に丸のみするような習性もあります。
このような習性をもつため、犬はもらった食べ物をゆっくり楽しんで食べるということができません。一日の食事の時間が決まっていてもその時間以外にもらえないことが分かっていれば、ほかの犬や人にとられる前にひとりでがっついて飲み込んでしまうのです。
固かったり大きかったりするおやつはすぐさま飲み込んでしまえないため、ハウスに持ち込んで隠して独り占めしようとするのですね。
2.おもちゃ
犬はおもちゃも大好きです。
飼い主さんと一緒に遊ぶお気に入りもあれば、ずっとひとりでガジガジと噛んでいたいおもちゃもあります。またありがたくないことですし、本当はいけないことなのですが、飼い主のにおいのついたもの(タオルや靴下)も愛犬には大好きなおもちゃになります。
自分にとって大切なお気に入りのおもちゃは、寝床やハウスに持ち込んで隠しておくことも珍しくありません。飼い主さんとしては寝床やハウスの奥にしまわれるそれらは片付けてしまいたくなる気持ちになりますが、犬にとっては大切過ぎて取り上げられてしまうことを恐れて隠し、そして独り占めしようとしているのです。
多頭飼育の場合は大好きなおもちゃを他の犬に取り上げられることを嫌がり、場合によっては喧嘩になってしまうこともあります。
独り占めする理由
犬は生後間もない時期から兄弟犬や母犬と一緒に暮らすことで、犬同士の付き合い方や自分の気持ちの伝え方などを学びます。この時期に十分に学ぶことができなかった犬は、自分の気持ちを伝えることが上手にできず、怖がりであったり神経質になりやすいと言われています。
特に、ひとりっ子(一匹だけで過剰にかわいがられた犬)は、自分の気持ちをうまく周りに伝えることができず、警戒心や独占欲をあらわにしやすくなる傾向があるようです。
自分の大切なものを守りたい、取られたくないというのは自然な感情ですが、行き過ぎると犬にとってもストレスなので子犬の頃から甘やかしすぎないように注意することも必要です。
また、犬が納得していないのに揶揄ってご飯を取り上げる、おやつを取り上げる、おもちゃを取り上げるなどということを繰り返すと、食べものやおもちゃに対する執着が必要以上に強くなってしまいます。手を伸ばしただけで「取られる」と勘違いして、唸ったり攻撃してきたりするようになってしまうことも。
そのような犬の場合、まずは『人間の手は、食べ物を取り上げる手ではなく、食べ物をくれたり撫でたりしてくれる手である』ということを認識してもらう必要があります。
そのためには、ハウスやクレートなどに持ち込んだものはむやみに取り上げず、犬が独り占めをして過敏になっている時には、過剰に警戒しなくてもいいことをゆっくり教えてあげましょう。
まとめ
犬が独り占めしたいものに意識を向けているときは、接する飼い主側も気を付ける点があります。
食べものであれば、ゆっくり食べられるように邪魔をしない、見守るなどの配慮をしてあげるようにしましょう。
おもちゃなどであれば、犬ごとに決まったものを与えてあげる、ハウスに持ち込んだものをすぐに取り上げない、などの配慮をしてあげるとよいのではないでしょうか。