1.怖い経験を思い出した
散歩をしているときに犬が突然立ち止まったり、別の方向に行こうとしたり、動こうとしなくなったりしたら、「そっちには行きたくない!」と言っているのかもしれません。
これから進もうとしている方向に、過去に嫌な思いや怖い思いをした場所があったり、苦手な人に会った場所があったりと何らかのトラウマを抱えている可能性があります。
よくあるケースとしては、苦手な注射を打った動物病院がある方向に進みたがらない、工事現場の大きな音を怖がっていて別方向に行こうとするといったことが挙げられます。
そうしたときに無理やり連れて行こうとすると、不安な気持ちや怖い思いを飼い主さんが理解してくれないことにショックを受けて、不信感を持つきっかけになってしまうことがあります。
また、より一層そちらの方向に怖いイメージを持つようにもなるので、まずは原因を特定したうえで、少しずつ慣らしていってあげることが大切です。
2.慣れない場所に緊張している
初めて行った場所やあまり慣れていない場所で犬が立ち止まっているときは、緊張していることが考えられます。
特に、慎重派で不安や緊張を感じやすい犬は、その場所を把握・理解して、気持ちが落ち着くまでは簡単に動こうとしません。
動くことは自分の身を危険にさらしたり、対峙している相手を刺激したりする可能性があるため、ジッと止まって様子をうかがっているのです。
こうしたときも強引に動かそうとするのではなく、犬の気持ちが落ち着くまでそばで待っていてあげてください。また、優しく声掛けや誘導をして、自信を持って動けるようにサポートしてあげるといいでしょう。
3.その場に気になることがある
犬が立ち止まってキョロキョロとしていたり、地面のにおいをかいだりしているときはその場に何か気になることがある可能性も考えられます。
特に、緊張した様子やそこからすぐに離れようとしているような様子が見られない場合は、その場所でしたいことがあるのかもしれません。
犬にとって散歩などで外に出ることは、とても刺激的で楽しいことです。においや音、景色などは犬にとってとても重要な情報源で、それをもとに様々なことを知ったり考えたりしているのです。
立ち止まったまま遠くを見つめて耳を澄ましていたり、空中に漂うにおいをかぎ取ったりと、私たち人間にはわからない情報を集めていることもあるでしょう。
犬や飼い主さんが立ち止まっていて危なくない場所であれば、少しの間一緒にとどまり、犬の好奇心を満足させてあげてください。
4.疲れている、体が痛い
いつもより長く散歩をしているときや、普段とは違う場所にお出かけをしたときなど、犬は心身に疲れを感じて動きたがらなくなることがあります。
また、単純に疲労を感じているだけでなく、体のどこかに痛みや違和感を感じている可能性もあるでしょう。
立ち止まって動かなかったり、座り込んでしまったりしたときは、体力的に疲れている可能性と体の異常の可能性を考えてみてください。
関節を痛めていたり足裏に傷ができていたりすることもあるので、全身をよく目視したり手で触ったりしてチェックしてみましょう。
休憩をしても全く動きたがらなかったり、体を触られると痛がったり嫌がったりすることがあれば、念のため動物病院を受診して相談してみてください。
5.伝えたいことや要求がある
飼い主さんに対する意思表示として、犬が立ち止まることもあります。立ち止まることで飼い主さんの意識を自分に向けて、してほしいことを伝えようとするのです。
進もうとしている方向が自分が行きたい方向ではないときに、立ち止まって「そっちじゃない!」と伝えようとすることもありますし、立ち止まることで抱っこしてもらおうとすることもあるでしょう。
「動かずにいたら抱っこしてもらえた」「止まっていたらおやつをもらえた」など、犬は自分にとって得がある“成功体験”をよく記憶するので、それらを求めて立ち止まることもあるのです。
このような場合、犬の要求をいつも聞いてしまうとどんどん主張が強くなり、わがままになってしまう可能性があるので、見極めと接し方には注意が必要です。
まとめ
犬が散歩中に立ち止まったり動かなくなったりすることは、多くの飼い主さんが経験することだと思います。
ただ疲れていたり、気になることがあったりして一時的に立ち止まることもあれば、強いトラウマによって動けなくなっていることもあります。また、わがままを通そうとして、自己主張のために立ち止まるという手段を取る犬も少なくありません。
大切なことは、犬の表情やボディランゲージをしっかりと観察して、立ち止まっている原因や心理を探ることです。そのうえで適切な対応をして、愛犬と良好なコミュニケーションを取れるように配慮しましょう。