1.ポジティブな気持ちになれる
犬が飼い主さんのニオイを好んで嗅ぐ行動はよく見られるものです。その理由として「飼い主さんのニオイを嗅ぐことで前向きな気持ちになれるから」というものが挙げられます。
これは脳科学の研究によって実証されていることで、飼い主さんのニオイを嗅いだときの犬の脳の変化によって考えられていることです。
アメリカ・エモリー大学の神経科学者であるグレゴリー・バーン氏は、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて犬の脳画像解析をおこないました。
まず、実験にしっかりと取り組めるようにトレーニングされた犬に、「自分自身」「知らない犬」「一緒に暮らしている犬」「知らない人間」「一緒に暮らしている人間」という5種類のニオイを嗅がせます。
そのときに犬の脳内で起きている変化を分析したところ、特に『「一緒に暮らしている人間」のニオイを嗅いだときに、脳内で快感を司る部分が強く反応する』ということが明らかになりました。
それにより、犬は飼い主さんのニオイを嗅ぐことで、「前向きな希望」や「好意的な感情」を抱くということがわかったのです。
ただし、犬の感情や脳の変化に関してはまだまだ分からないことも多く、なぜ飼い主さんのニオイによってポジティブな感情になるかまでは明確になっていないようです。
2.気持ちが落ち着く、安心する
犬は見知らぬものや人、場所に対して不安を感じることがあり、反対によく見知ったものに対して安心感を抱きます。
いつもそばにいる飼い主さんのニオイを嗅ぐことで気持ちが落ち着いたり、安心感を得られたりするとも考えられています。
そのため、ひとりで過ごしているときに不安を感じると、飼い主さんのニオイがするベッドや洋服のうえで寝るという行動をとる犬は少なくありません。
また、慣れないペットホテルに預けるときには飼い主さんや家のニオイがついたものを持たせると、安心感を感じてリラックスして過ごせるとも考えられています。
3.飼い主さんのことを知りたい
犬が飼い主さんのニオイを念入りに嗅いでいるとき、「飼い主さんのニオイが好きだから」というだけでなく、「飼い主さんのことをもっと知りたいから」という気持ちを抱いていることもあります。
犬は嗅覚が非常に優れていて、細かいニオイの嗅ぎ分けが得意だとされています。人間が視覚によって多くの情報を得るように、犬はニオイから様々な情報を得ているのです。
そのため、飼い主さんが何をしていたのか、どこに行ってきたのかなど、気になることがあるときに飼い主さんのニオイを念入りに嗅いで情報を得ようとします。
特に飼い主さんが外出先から帰ってきたときなどは、飼い主さん自身や持ちもののニオイをしつこく嗅ごうとすることがあるのです。
飼い主のにおいでも苦手なものがある
犬は飼い主さんのニオイが好きで、自分から進んで嗅ぎたがることが多いと思います。しかし、飼い主さんからするニオイだとしても、犬は苦手だと感じるものもあります。
以下のものに対して不快感や苦痛を感じる犬は多いので、犬と触れ合うときは配慮してあげるといいでしょう。
- 香水やマニキュア
- たばこ
- アルコール
- アロマやお香
- 柔軟剤や芳香剤
自宅でこれらのものを使用する場合は、犬がいない場所で利用したり、使用量を抑えたりして気を付けてあげてください。
まとめ
今回は、犬が飼い主のニオイを好む理由について解説しました。
犬は飼い主さんのニオイを嗅ぐことで安心感を得たり、前向きな気持ちになったりします。そしてそれは、感覚的なことだけでなく脳科学で証明されていることもあります。
犬にとっての精神的な支えになれるということは、飼い主としてはとてもうれしいものですよね。