何故犬には散歩をさせないといけないの?
毎日の適切な運動は、人にとっても犬にとっても大切です。
適切な運動により、骨が丈夫になり、関節や筋肉が強く柔らかくなり、心肺系が鍛えられて疲れにくくなります。また、万病の元となる肥満も防止できます。
つまり、愛犬に毎日適切な運動をさせるために最適な方法のひとつが散歩というわけなのです。
しかし、犬の散歩は「運動」だけが目的ではありません。外に出て散歩をすると、家の中だけでは味わえないさまざまな「刺激」を受けます。その結果、犬の探索欲求が満たされ、脳が活性化されるため、精神面での健康も維持できます。
さらには、飼い主さんと一緒に行動することで、お互いの信頼関係を深め、お互いの「絆」を深めることにもつながるのです。
このような理由から、家の中で自由に走り回っている超小型犬にも、自力で歩くことが難しくなってしまった老犬にも、外を散歩させることはとても必要性の高いことなのです。
犬の散歩に「適切な時間」とは
それでは、どの程度の時間や距離が適切なのかについて、犬種や年齢ごとの目安を見ていきましょう。
小型犬
回数:1〜2回/日
時間:30分ほど/回
距離:1〜2km程度/回
室内の遊びで運動量が足りている小型犬でも、外に出ることは重要です。ただし、特に体の小さいチワワのような超小型犬は、歩かせすぎないようにすることも大切です。
中型犬
回数:2回/日
時間:30〜45分ほど/回
距離:2km程度/回
ボーダー・コリー、ウェルシュ・コーギーなど、他の犬種よりもたくさんの運動が必要な犬種は、散歩以外にも一緒に遊ぶ時間を作ったり、ドッグランで思いっきり走らせる時間を作ることも併用するとよいでしょう。
大型犬
回数:2回/日
時間:30〜60分ほど/回
距離:2〜4km程度/回
体格が大きい犬に、激しい運動はおすすめできません。かえって骨や関節を傷めてしまうことがあるからです。大型犬の場合は、時間をかけてゆっくりと歩く散歩がおすすめです。
子犬
まだ混合ワクチンの接種が完了していない時期の子犬は、普通の散歩をさせてはいけません。
ただし、外の刺激を与えることは子犬にも良いことなので、飼い主さんが抱っこをした状態で家の周囲を散歩することをおすすめします。
老犬
老犬でも自力で歩けるようなら、1日1回、10分程度の無理のない散歩をさせてあげるとよいでしょう。
また、自力では歩けなくなった場合、ドッグカートなどに乗せて外の雰囲気を感じさせてあげると、さまざまな刺激で認知症の進行を抑えたり、元気を取り戻したりすることもあるのでおすすめです。
犬の散歩にとって「時間」や「距離」以外にも大切なこと
愛犬の散歩をの時間充実させるための要素は、その長さや距離だけではありません。冒頭でお伝えした通り、散歩の目的には3つのキーワードがありました。「運動」「刺激」「絆」です。
このうち「刺激」に着目してみましょう。毎日同じ時間に同じコースを散歩していたとしたら、どうでしょうか。マンネリ化してしまい、せっかくの散歩も、あまり刺激を感じられなくなってしまうでしょう。
犬の散歩では、ぜひさまざまなルートを用意し、わざと時間をずらしてみてください。コースの違いや時間の違いによるバリエーションが、愛犬の好奇心を満たしてくれるはずです。
そして「絆」です。散歩では、愛犬と飼い主さんのコミュニケーションがとても大切です。アイコンタクトを取りながら、必要に応じて指示を出しながら愛犬の安全を確保し、散歩しましょう。それが、楽しく安全で周囲に迷惑をかけない散歩を実現させ、愛犬との絆を深める機会にもなるのです。
愛犬との散歩中は、考え事をして上の空になったり、スマホを気にしたりするのはやめましょう。せっかくの愛犬との絆を深められる大切なチャンスを逃さないように、愛犬との時間を大切に過ごしたいですね。
まとめ
今回ご紹介した時間や距離は、すべて目安です。犬種特性や個々の性格によっては、あまり散歩をしたがらない、もしくは飼い主さんがへとへとになってもまだ散歩をしたがることがあるかもしれません。
適切な散歩は、その子の様子を観察した上で飼い主さんが最終的に判断し、調整することが理想です。適切な散歩量の目安としては、「帰宅したら昼寝を始める」くらいの疲れ方です。「帰宅してすぐに遊び始める、遊びたがる」のは、散歩の量が少なすぎるでしょう。
また、歩いているうちに喉をゼーゼーと鳴らし始めたり、呼吸をするのに首を伸ばしたりし始めたら、すぐに切り上げましょう。息切れの症状です。歯茎や舌が青白い、ふらつくなど具合が悪そうなら、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
「超小型犬だから」とか「週末にドッグランでたくさん運動させたから」等と言って毎日の散歩をおろそかにせず、愛犬の心身の健康を維持し、飼い主さんとの絆を深めましょう。