1.守ってもらえて安心
犬は不安を感じたり怖い思いをしたりしているとき、飼い主さんなど信頼できる人に体を寄せます。群れで生きていた動物は、自分の身を守るために仲間と体を寄せ合う行動をすることが多くあります。
そのため、家庭犬も不安や緊張を感じているときに、飼い主さんに体をぴったりとくっつけたり、ひざの上に乗ってきたりする様子が見られるでしょう。そのような気持ちでいるときに、飼い主さんに抱っこしてもらうと「守ってもらえている」という安心感を感じられます。
社会化が十分にできていなかったり、憶病な気質を持っていたりする犬は、慣れない場所に行ったり知らない人を怖がることがあります。そのような時、飼い主さんに抱っこをせがむこともあると思いますが、毎回その要求に応じないように気をつけてください。
飼い主さんの腕の中にいれば安心するとは思いますが、様々なものや状況に慣れて社会性を身につけることもとても大切です。外で抱っこばかりして過保護に育てすぎず、不安なことも犬自身に乗り越えさせるようにぜひサポートしてあげてください。
2.あたたかい、楽
動物は寒さを感じているときに、仲間で身を寄せ合って暖を取ることがあります。そのため、犬も飼い主さんにぬくもりを求めて抱っこをせがむことがあるでしょう。
また、お出かけをしたときに疲れてこれ以上歩きたくない、というときに抱っこをしてもらいたいと考える犬も少なくありません。
抱っこされることであたたかさや心地よさを感じたりする犬は多いので、特別な理由がなくても飼い主さんに抱っこを求めることもめずらしくないでしょう。
3.落ちそうで怖い
飼い主さんが立って抱っこをすると、当然のことながら犬の足は地面についていない状態になります。四つ足が地面についていないだけでも不安定ですが、正しい抱き方をしなければより一層安定感がなくなり、犬は「落ちそう」「高くて怖い」などと感じることがあります。
適切でない抱き方をすると、犬は居心地が悪く、腕の中からジャンプして逃げようとすることがありますが、これも非常に危険です。飼い主さんの胸の高さから落ちると、犬の足腰の関節への負担はとても大きく、骨折や脱臼をしてしまうこともあります。
そのような経験を一度でもすると、その後抱っこしたときも「怖い」と思ってしまい、安心して過ごせないでしょう。
4.自由にして欲しい
元気いっぱいで動くことが好きな犬は、抱っこされて動きを制限されることを嫌がることもあります。
抱っこは愛情表現で安心感を感じる犬もいますが、犬が遊んでいるときや眠っているときなどはしない方がいいでしょう。
そのようなときは、犬が自分の好きなように動きたいと思っていたり、放っておいて欲しいと感じていたりすることが多いので、抱っこすることで嫌な思いをさせてしまうかもしれません。
愛犬とのスキンシップは、飼い主さんがしたいときやしたいようにだけするのではなく、必ず状況や愛犬の表情を確認しておこなうようにしてください。
5.痛い
犬を抱っこしているとき、腕に力を入れすぎたり、不安定な抱き方をしたりすると、犬は体に痛みを感じることがあります。また、抱っこをして支えている部分に怪我をしていたり病気があったりする場合も、苦痛を感じてしまうことはあるでしょう。
普段は抱っこされることを喜ぶ犬が、抱き上げたときにすぐに逃げたり嫌がったりする素振りを見せたら、抱き方が不適切か体のどこかに怪我や病気を抱えている可能性があるので注意してみてください。
また、犬を人間の子どものように「縦抱き」するのも危険です。体を立てた状態で腕に腰掛けさせるような形で抱っこをする人もいますが、四つ足で動く犬にとっては非常に負担の大きな体勢なので絶対にやめてください。
特に、ダックスフンドやコーギーのように胴長の犬は、腰や背骨(脊椎)への負担が大きいので、犬の背骨が地面に対して水平になるようにして抱っこしましょう。
まとめ
愛犬を愛おしく思う気持ちでハグをしたり、移動のために抱き上げたりと、犬を抱っこする機会は少なくないと思います。
抱っこされることに喜びを感じる犬もいますが、状況によっては不快に感じてしまうこともあるので、犬の表情や仕草をしっかり観察して気持ちを読み取ってあげてください。
一方的な愛情表現やスキンシップを続けると、信頼関係を失ってしまったり咬傷事故の要因になったりする可能性もあるので十分注意しましょう。