他犬との関わりが苦手な犬の特徴
犬は同じ犬同士ならすぐに仲良くなれる、という訳ではありません。人間同士も合う・合わないがありますが、犬も同じように合う・合わないということもありますし、それぞれのパーソナルスペースの違いからトラブルになるケースも少なくありません。
では、他犬との関わりが苦手なタイプの犬には、どのような特徴があるでしょうか。
1.他犬に遠くから唸る・吠える
他犬に対して唸ったり吠えたりするのは、「威嚇」や「警告」のサインです。これらは自分の身を守るため、必死に「近づかないで!」と言っている状態です。
他犬に近寄られたくない犬は、許容できない距離に近づかれると、まずは威嚇として唸り始めます。「それ以上近づくな」「こっちにくると攻撃するぞ」という意思表示です。小さな唸り声のうちに距離を取れば、それ以上の行動にはなりません。しかし、その警告を無視して近づくと、唸り声は次第に大きくなります。
ある一定の距離より近づくと、唸るより吠える行動を見せます。興奮状態になり、背中の毛を逆立てたり口を大きく開けたりしてもっと激しく「こっちへ来ると攻撃するぞ!」と警告しているわけです。
これを無視してさらに近づくと、逃げ出してしまう場合もあれば、恐怖やパニックの状態になり実際に攻撃してしまう場合もあります。
2.固まって動かなくなる
威嚇するよりも、まず恐怖や萎縮で固まって動かなくなってしまう犬もいます。
目を逸らして体の側面を見せる行動は、相手に対して「対抗するつもりはありません」と服従する意思表示をしている状態です。
また、そもそも近くによって出会うことを回避するために、他犬を見つけると逃げ出すタイプの子もいます。
3.抱っこを要求する
恐怖やパニックから逃れるために、また安心したいために、飼い主に抱っこを要求して、ひとまず相手の犬の視界から外れたり距離を取ったりする子もいます。
飼い主に守られて安心し、リラックスしてくれる場合は、そのまま他の犬と距離を取ってあげましょう。
ただし、抱っこをしてから他の犬に対して吠え続ける場合は注意が必要です。
抱っこされたことで相手の犬より目線が高くなり、自分が大きく強くなったと勘違いしている可能性もあるからです。身を乗り出して威嚇をし続けている場合は、相手に対しても強いストレスを与えてしまいます。
飼い主の対処方法
犬が見せる「他の犬が苦手」というサインに気が付いたら、飼い主はどうしたらよいでしょうか。
できれば犬同士仲良くしてほしいと思うものですが、無理強いをするわけにはいきません。不安や恐怖から相手にかみついてしまったり、逃げ出してしまったりとトラブルや事故につながりかねないからです。
吠えたり唸ったりすることで相手の犬を遠ざけようとするタイプの犬は、唸ってから、吠えてから相手と遠ざかると「吠えたら相手が逃げた」と学習してしまう可能性があります。これが習慣化すると、他の犬を見ただけで吠えるようになりかねません。これは防ぎたい習慣です。ではどうしたらよいでしょうか。
吠える前に距離を取る練習をする
まず、散歩の最中に飼い主は周りをきちんと観察し、遠くに他の犬が見えた場合は、愛犬が唸り始める前に道を変えて距離を取る練習をしましょう。
慣れていない場合は、まずは「会わない」ことが大切なのです。会って吠えてしまうことを覚えないように、しっかり周辺に注意を払いましょう。
おやつ等で気を逸らす
また、相手との距離があるうちにおやつなどで犬の気を逸らし、さらに気持ちを相手の犬から飼い主に向けるように訓練することも大切です。
しっかり褒める
おやつに注目していることができたらしっかり褒め、多少相手の犬との距離が近づいても吠えなかったらしっかり褒め、ということを根気よく教えていきます。
これを繰り返すことで、他の犬が少し近づいても飼い主に注目していればいいことがあると覚えてもらえます。
基本のしつけで瞬時に集中できるようにする
「スワレ」や「マテ」の指示で、犬の注目を飼い主に向ける練習も必要です。これがしっかりできるようになると、いざ唸り始めてしまっても飼い主の方に注目させることができるようになります。
「してはいけないNG行為」も確認しておく
唸り始めてしまったり、他の犬と至近距離で出会ってしまったりした場合、リードを強く引っ張るのはNGです。
また、強い言葉で制止されたり行動を制限されたりすることで、犬が一気に興奮状態に陥り、余計に強く吠えてしまうようになります。
さらに、抱っこも相手の犬より目線が高くなって気が大きくなり、強く吠える原因になるのでNGです。抱き上げず、相手と距離を取りましょう。
まとめ
人同士にも相性があるように犬同士にも相性があります。また人見知りの人がいるように、犬見知りの犬もいるでしょう。
ドッグランで一緒に遊んでほしいから、といって愛犬の気持ちを無視して犬を無理やり社交的にすることはできません。
愛犬の気持ちに寄り添って、大きなストレスにならないように慣らしてあげてください。