犬の涙やけを悪化させるタブー行為4選 主な原因や普段からできる対処法まで

犬の涙やけを悪化させるタブー行為4選 主な原因や普段からできる対処法まで

犬の目の下の毛が赤茶色に変色する涙やけは、悪化すると皮膚炎などを引き起こすことがあります。愛犬が涙やけを起こした場合、飼い主は、涙やけを悪化させるタブー行為を避けるよう注意が必要です。この記事では、犬の涙やけを悪化させるタブー行為と、涙やけの原因や予防法についてご紹介します。

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記事の監修

めのうアニマルクリニック院長。猫が大好きなあまり、犬と猫を分けた動物病院を開院。「犬にも猫にも優しい動物病院」をコンセプトにしています。腫瘍学を得意分野としていますが、しつけに対しても力を入れており、パピークラスを開校して子犬のトレーニングを行っています。

犬の涙やけとは?

涙やけをしている白い犬

犬の涙やけとは、目の下の毛が赤茶色に変色することを言い、病名ではありません。涙は目の乾燥を防いだり、異物を排除したりする働きをします。

しかし涙の量が異常に増えたり、涙が目の表面にとどまれなかったり、涙の通り道に異常があったりすると涙が目から溢れ出てしまいます。

何らかの原因で涙が目から溢れ出てしまう状態を「流涙症」と言い、流涙症によって目の周りが常に涙で濡れた状態になると涙やけが起こります。涙は無色透明ですが、毛についたままの状態で時間が経過すると、酸化や雑菌の繁殖が起こり赤茶色に変色します。

犬の涙やけの原因は?

涙やけをしているプードル

犬の涙やけの原因はさまざまです。主な原因として、以下の6つが挙げられます。

1.鼻涙管閉塞

犬の涙やけの原因の中で最も多いと言われているのは、鼻涙管閉塞です。犬の目と鼻は繋がっており、涙は目頭にある涙点から涙小管、涙嚢、鼻涙管を順番に通って、最後に鼻に流れるシステムになっています。

しかし先天的に鼻涙管が細い、涙点がない、あるいは後天的な外傷や腫瘍といったことが原因で、鼻涙管が閉塞してしまうことがあります。鼻涙管閉塞になると涙が鼻に流れていかず、目から溢れ出てしまい、涙やけが起こります。

トイプードルやマルチーズは先天的に鼻涙管が細かったり、閉塞していたりすることが多いため、涙やけを起こしやすいです。

2.眼瞼内反症

眼瞼内反症とは、まぶたが内側(眼球側)に巻き込まれている状態のことです。いわゆる「逆さまつげ」であり、まつげが目の表面を刺激するため涙が過剰に分泌され、涙やけを引き起こします。

眼瞼内反症による涙やけを起こしやすい犬種として、シーズーやパグが挙げられます。

3.マイボーム腺機能不全

涙には薄い脂質の層があり、それによって水分の蒸発を防いだり、涙が目から溢れ出るのを防いだりしています。その脂質を分泌しているのが、まぶたの縁にあるマイボーム腺です。

何らかの原因でマイボーム腺の機能が低下することを、マイボーム腺機能不全と言います。マイボーム腺機能不全になると目が乾燥しやすくなって涙の量が増えたり、涙が目の表面にとどまれずに溢れ出たりします。その結果、涙やけになってしまうのです。

4.アレルギー

ハウスダストやノミ、花粉などにアレルギーがある犬は、アレルギー反応によって目に結膜炎が生じると、涙の量が増えて涙やけを起こすことがあります。

アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)は多岐にわたるため、アレルゲンを特定するためには動物病院での検査が必要です。

5.目にゴミや毛が入っている

犬の目に異物が入ると、それを目の外に排除するために涙が大量に分泌されます。そのため、犬の目にゴミなどが入っていると涙の分泌量が増え、涙やけが起こることがあります。

また、目の周りの毛が長い犬は毛が目に入りやすく、目の表面を刺激して涙が増えることもあります。

6.水分不足

水分不足も涙やけの原因の一つです。水分が不足すると代謝が低下し、鼻涙管に老廃物が溜まって詰まりやすくなります。鼻涙管が詰まると涙が鼻へ流れず目から溢れ出てしまい、涙やけを起こす可能性があります。

犬の涙やけを悪化させるタブー行為は?

涙を流す犬

愛犬が涙やけを起こした場合、悪化させないために、以下のタブー行為は避けましょう。

1.涙をそのままにする

目から溢れ出た涙を拭かずにそのままにしておくと目の周りの毛が濡れた状態になり、細菌が繁殖しやすい環境になります。細菌が繁殖すると涙やけが悪化し、皮膚炎を起こしたり、においが発生したりする可能性があります。

愛犬が涙やけを起こしたら、涙をこまめに拭き取ってあげましょう。

2.定期的にトリミングを行わない

犬種によっては、トリミングを行わないことによって目の周りの毛が長くなり、それが目に入り、涙が増える原因になります。そのため、定期的にトリミングを行わないと、涙やけが悪化する可能性があります。

3.体に合わないドッグフードを与え続ける

アレルゲンが含まれているなど、体に合わないドッグフードを与え続けると涙やけが悪化することがあります。

特に、人工着色料や保存料などの添加物、牛肉、鶏肉、乳製品などに含まれるタンパク質がアレルゲンとなって目の痒みを引き起こし、涙が増える原因となります。

4.動物病院を受診しない

涙やけには必ず原因があります。その原因を突き止めずに放置すると、涙やけが悪化する可能性が高くなります。涙やけ自体は病気ではありませんが、悪化すると皮膚炎を引き起こす可能性があります。

そのため、動物病院を受診せずに放置するのは避けるべきです。愛犬が涙やけを起こした場合は、早めに動物病院を受診し、涙やけの原因を特定してもらいましょう。原因に合わせて適切な治療や対処を行うことが大切です。

犬の涙やけの予防法は?

目元を拭かれるシーズー

犬の涙やけの原因には先天的なものも多いため、予防するのは難しい部分もあります。以下では、普段からできる涙やけの対処法を4つご紹介します。

1.涙をこまめに拭き取る

涙やけは、涙で毛が長時間濡れたままの状態になることで起こります。そのため、こまめに涙を拭き取ることが涙やけの予防に繋がります。愛犬の目から涙が溢れていることに気づいたら、清潔なガーゼやコットンで拭き取りましょう。

目頭を拭くときは上から下に、目の周りを拭くときは目頭から目尻に向かって優しく拭き取ります。目の周りはデリケートなので、力を入れないように注意しましょう。

2.目の周りの毛を定期的にトリミングする

シーズー、シュナウザー、ヨークシャーテリア、マルチーズといった、顔周りの毛が長くなる犬種では、目の周りの毛を定期的にトリミングし、短く保つことが大事です。目の周りの毛を短く保つことで目に毛が入って涙が出るのを防ぎ、その結果、涙やけも防ぐことになります。

3.十分な水分摂取

水分不足が涙やけの原因になることもあるため、新鮮な水をいつでも飲めるようにしておきましょう。また、ドライフードをぬるま湯でふやかしたり、ウェットフードを与えたりするなど、食事から水分補給できる工夫をするのもおすすめです。

1日に必要な犬の飲水量は、 体重1kgあたり50~60mlが目安です。

4.体に合ったドッグフードを与える

愛犬の体に合ったドッグフードを与えることで、涙やけを予防できることもあります。原材料にアレルゲンが含まれていないものや、人工着色料や保存料が無添加のものなど、愛犬の体質や健康状態に合わせたドッグフードを選びましょう。

体に合った食事は、愛犬の全体的な健康を支えてくれます。

まとめ

涙やけをしているチワワ

犬の目の下の毛が赤茶色に変色することを涙やけと言います。涙やけ自体は病気ではありませんが、悪化すると皮膚炎などの二次的な問題を引き起こす可能性があります。

愛犬が涙やけを起こした場合は、ご紹介したタブー行為を避け、動物病院で原因を特定してもらいましょう。そして、その原因に合わせて適切な治療や対処をすることが重要です。

涙やけは、一度なると改善するのが難しいと言われているため、ならないようにするのが一番です。ぜひ今回紹介した対処法を実践して、愛犬の涙やけを防ぎましょう。

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